• 職場復帰からのうつ病再発… そんなリスクを避けるには

    働く人のうつ病が問題視されるようになって久しい。再発率は60%以上と言われており、一度再発するとその後の再発率がさらに上がるといわれている。

    つまりたとえ休職しても、職場復帰した後に再発すれば、再び休職を繰り返す可能性があるのだ。こうしたリスクに対処するため「リワーク(職場復帰)支援」という考え方が広がりつつある。

    心の病のリハビリする「リワーク支援」

    リワーク支援とは、うつ病をはじめとするメンタルヘルス不調によって休職中の人を対象に、復職を支援し再発リスクを低減させる取り組みだ。

    具体的な支援の内容はさまざまだ。カウンセリングや認知行動療法といった医療面からのアプローチもあれば、実際の仕事を想定したロールプレイングやグループディスカッションなど実践的なプログラムもある。いずれも大元にあるのは、

    「うつ病から即座に職場復帰を目指すのではなく、徐々に働くことに慣れながら、再発を予防してスムーズな復職を目指そう」

    というスタンス。骨折した人がリハビリを経て職場に戻るのと同じように、心の病もリハビリを経てから復帰しよう、というわけだ。

    こうしたうつ病のリワーク支援は、おもに独立行政法人や医療機関が中心に行っているが、最近は企業が手掛ける例も増えている。

    グループワーク通じて社会復帰

    たとえばリヴァという会社では、2011年からうつ病患者の社会復帰支援サービス「オムソーリ」を展開している。利用料金は1回あたり約800円(前年度の課税所得によって変動)だ。

    同社の支援プログラムは、利用者同士の相互作用が重視されている。キャリコネ編集部の取材に対して、広報を務める松浦秀俊さんはこう述べる。 

    「課題解決型のグループワークや農作業などを通じて、当事者同士が刺激し合える仕組みになっています。チームとしてプログラムを実施することで、自分の考え方や行動基準などについての『気づき』を得られるんです」

    また、企業での教育研修を実施していた社員もプログラム作成に携わっており、「より実践的な内容になっているのが当社の強み」とのことだ。

    プログラムは3~6か月ほどかけて実施される。その結果再就職できた人は、安定的に働き続けるための支援が6か月間受けられる。「オムソーリ」ではこれまでに106名の人が社会復帰し、そのうち約100名が現在も仕事を続けている。

    目標は「継続して働き続けること」

    しかし、うつ病からの復職にはまだまだ課題も残されている。

    「うつ病になった社員は『早く職場に戻らなければ』と焦って、視野が狭くなりがち。大事なのはただ職場に戻ることではなくて、継続して働き続けること。そのためには働き方、自分らしい生き方を見つめ直す観点も大切ではないでしょうか」

    またメンタルヘルスそのものに対する無理解もまだまだ残っている。特に中小企業に関してはまだまだ十分とは言い難い。

    労務行政研究所の「企業におけるメンタルヘルスの実態と対策」調査では、従業員300人未満の企業のうち27.6%が「メンタルヘルス対策を特に実施していない」そうだ。

    だが、同じ調査では63.5%の企業が「メンタルヘルス不調により1か月以上欠勤・休職している社員がいる」と答えた。現在日本人のうつ病患者は約100万人。働く個人にとっても企業にとっても、適切な支援が必要といえるだろう。

    あわせてよみたい:職場の「シリコンバレー症候群」を活用せよ  

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