• 受験生の「東大離れ」が加速 もはや入るメリットなし?-東大生の脳みそ(4)

    東大卒の落ちこぼれ会社員のふよっしーです。最近、受験生の東大離れが止まらないとか。河合塾が1月6日に発表した「2014年度入試直前動向」によると、模試の東大志望者数が前年比で94%に減少しているとのことでした。

    昨年の週刊朝日2013年12月20日号でも「止まらない『東大離れ』」という記事が組まれています。河合塾や駿台予備校など大手予備校の4人の分析担当者によるもので、「難関国立大は敬遠」と受験生が安全志向になっているのが原因だそうです。

    確かにそういう敬遠志向もあるかもしれませんが、むしろ「東大に行くメリット」を冷静に考え始めた人が増えているのではないでしょうか。

    東大中退後、獣医として大成功

    私が卒業した高校は、学年の約半数が東大に進む進学校でしたが、それでも以前と比べて東大志望者は少しずつ減っていました。

    入学後に何をするかを考えずに東大を受ける人間がほとんどでしたが、抜群の成績なのに、目的を持って進学先を考える同級生もいました。

    「国際関係論でいい先生がいるから、T大に行く」
    「サルの研究をしたいから、K大に行く」

    そんな生徒が増えた結果、120人はいた東大進学者は、20年で50人にも満たない状態になりました。しかし、これは必ずしも高校のレベルが下がったわけじゃないんですね。

    そういえば自分の同級生にも、せっかく「天下の東大」に入ったのに、自分の興味を見つめなおして他の大学や海外の大学に入り直した人もいました。文系だったのに医者になったり、経済学部をやめて美術史の研究家になった人もいました。

    獣医になった人は、東大をやめた直後は駅の改札員のバイトで糊口をしのいでいました。東大時代の同級生が通ると、駅帽をさらに目深に被りうつむいていたものです。

    しかし今では高級住宅街で開業し、イヌやネコやカメなどに傷クリームを塗って、マダムたちからたんまり治療費をもらっているようです。あそこで大きな方向転換を果たした彼の判断は、正しかったのだと思います。

    頭の良さの基準は1つじゃない

    私の高校の進路指導の教師は、東大以外の大学を「大学」と呼びませんでした。この教師が「大学にちゃんと行ったほうがいいよ」とアドバイスするときの「大学」は東大のことだったのです。こんな東大信仰を進学校の多くの教師が持っていた時代では、当然生徒も「大学受験=東大受験」という洗脳に染まってしまいます。

    確かに、官僚になったり大企業に入ったりするには、「東大卒」の肩書きは依然として有利かもしれません。その一方で、そういう将来を望まない学生に、東大に入る意味があるとはもはや言い切れません。

    もちろん、すべての受験生がその大学に入る意味をよく考えているわけではないでしょう。「自分の頭を試すのにちょうどいい」と東大を受ける受験生も残るはずです。しかし、そういう「そこに山があるから登る」的な発想の受験生に対しては、「頭の良さを測る基準」は1つじゃないと言いたい気がします。

    たとえば小説を書いたり起業したりするのは、教科書のない無から有を作るすごく頭を使う創造的な作業だと思います。

    さすがに周りに小説を書く東大生はいませんでしたが、起業した人はいます。一人は東南アジアから雑貨を輸入する貿易商社を、もう一人は医療データを解析するベンチャーを立ち上げました。

    貿易商社を作った人は司法試験を断念し一度は友人らの前から行方不明、医療データの解析ベンチャーを立ち上げた人は医学部に入れずやむなく別の学部に入学という、東大ではむしろ落ちこぼれの部類です。それでも大企業に入ったり公務員になったりした多数の東大生と違い、人からアゴで使われることなくそれなりのお金を稼いでいます。

    医療ベンチャーの経営者のほうは、友人達が志望どおりに医者になる中で医者をあきらめた自分にできることは何かを必死に考えたそうです。これなどは、何をあきらめ何に挑戦するかの「頭の良さ」を発揮できた例ではないでしょうか。

    また、貿易商社の経営者のほうは「東大はむしろ遠回りだった、最初から商売やればよかった」と私に以前語ってました。「頭の良さ」に自信のある方は、受験以外でそれを発揮されてはいかがでしょうか。

    あわせてよみたい:ある就活「伝説」に興奮する東大生たち 

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