エイボン「女性年度賞」辛淑玉氏 「置き去りにされた人たちと生きていきたい」 2014年2月3日 仕事のエコノミクス ツイート エイボン・プロダクツは2014年1月31日、「エイボン女性年度賞」の授賞式を東京・新宿で開催した。同賞は1979年に設立され、「人々に勇気や希望を与える女性を表彰する賞」として、婦人運動家の市川房枝氏や、政治家の猪口邦子氏らが受賞している。 2013年度は、人材育成コンサルタントの辛淑玉(シン・スゴ)氏ら3組が受賞した。辛氏は博報堂に4年間勤務し、1985年に人材育成会社・香科舎(コウガシャ)を設立、さらに96年には人材育成技術研究所を開設した。おもに女性の人材育成に取り組み、数多くの人材を輩出している。 「働く女性の苦労」を理解 辛氏は人材育成コンサルタントとして、企業内研修の講師を務めることもあるが、研修を受けられる人たちは圧倒的に男性が多く、まだまだ女性を取り巻く環境は厳しいものだという。 「女の人が働くことがどんなに大変なことなのかを、私は自分も身をもって知っています。そんな多くの女性たちに支えられた賞を受けられたことは、本当に誇りです」 昨年の活動で目立ったのは、ヘイトデモ・ヘイトスピーチ対策だ。13年9月には国際ネットワーク「のりこえねっと」を設立し、ヘイトスピーチやレイシズムを乗り越える新しい共生社会の実現を目指している。 授賞式のスピーチで辛氏は、のりこえねっとには設立1か月間で20万件以上もの「嫌がらせのメール」と「サーバー攻撃」が寄せられたことを明かした。昨年中、日本全国では約530件ものヘイトデモがあったという。 「そこで叩かれている人がどういう人なのか。私のような在日、そして韓国人、中国人、沖縄、婚外子、社会が障害になっている人たち、被爆者2世3世、東日本大震災の被災者たちです」 「容赦ない言葉の暴力」に立ち向かう 実際に辛氏も直接の攻撃にさらされ、授賞式当日も「早く半島へ帰れ、生ごみ」と書かれたメールを受け取った。 「声を上げる者に対して容赦ない罵倒の暴力が浴びせられています。そんな置き去りにされた人たちと一緒に生きていきたい、そしてその人たちと未来をつくりたいと思っています」 審査員を務めた臨床心理士の香山リカ氏は、辛氏の受賞についてこう講評している。 「人材育成の活動をされながら、常にそのとき社会の一番困っている人に寄り添った活動をしてこられた。ヘイトスピーチに関しても、中止させるとか罰するではなくて、乗り越えるという活動。それを顕彰したいという気持ちになりました」 賞は辛氏のほか、水俣病患者の悲しみと怒りをつづった『苦海浄土 わが水俣病』の著作がある作家・石牟礼道子氏と、1964年の東京五輪・女子バレーボールで金メダルを獲得した「東洋の魔女」メンバーに与えられている。 あわせて読みたい:外国人労働者「受け入れ」できるか?
エイボン「女性年度賞」辛淑玉氏 「置き去りにされた人たちと生きていきたい」
エイボン・プロダクツは2014年1月31日、「エイボン女性年度賞」の授賞式を東京・新宿で開催した。同賞は1979年に設立され、「人々に勇気や希望を与える女性を表彰する賞」として、婦人運動家の市川房枝氏や、政治家の猪口邦子氏らが受賞している。
2013年度は、人材育成コンサルタントの辛淑玉(シン・スゴ)氏ら3組が受賞した。辛氏は博報堂に4年間勤務し、1985年に人材育成会社・香科舎(コウガシャ)を設立、さらに96年には人材育成技術研究所を開設した。おもに女性の人材育成に取り組み、数多くの人材を輩出している。
「働く女性の苦労」を理解
辛氏は人材育成コンサルタントとして、企業内研修の講師を務めることもあるが、研修を受けられる人たちは圧倒的に男性が多く、まだまだ女性を取り巻く環境は厳しいものだという。
昨年の活動で目立ったのは、ヘイトデモ・ヘイトスピーチ対策だ。13年9月には国際ネットワーク「のりこえねっと」を設立し、ヘイトスピーチやレイシズムを乗り越える新しい共生社会の実現を目指している。
授賞式のスピーチで辛氏は、のりこえねっとには設立1か月間で20万件以上もの「嫌がらせのメール」と「サーバー攻撃」が寄せられたことを明かした。昨年中、日本全国では約530件ものヘイトデモがあったという。
「容赦ない言葉の暴力」に立ち向かう
実際に辛氏も直接の攻撃にさらされ、授賞式当日も「早く半島へ帰れ、生ごみ」と書かれたメールを受け取った。
審査員を務めた臨床心理士の香山リカ氏は、辛氏の受賞についてこう講評している。
賞は辛氏のほか、水俣病患者の悲しみと怒りをつづった『苦海浄土 わが水俣病』の著作がある作家・石牟礼道子氏と、1964年の東京五輪・女子バレーボールで金メダルを獲得した「東洋の魔女」メンバーに与えられている。
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