• ブラック労働エンジニアの悲哀 「身体がむしばまれていくようだ」

    ある大企業のITエンジニアが書いたと思われる、21日のはてな匿名ダイアリーが話題になっている。その会社はソーシャルゲームを作る会社で、投稿者は「中身が腐りすぎてて居るだけで身体がむしばまれていくようだ」とさまざまな不満を書いている。

    現在は身元がバレるのを恐れたのか、その記事は削除されている。しかし記事内容の中には、ITエンジニアに関する興味深い記述もあった。

    リストラの噂は「すぐに広まる」横のつながり

    投稿者の会社では、エンジニアの給与の引き下げが行われたらしい。評価者もまともにその理由を説明できず、「行った仕事がすべてなかったことにされた」「仕事が一切評価されなかった」のだという。

    「コレは、エンジニアに対してはかなり有効なリストラであろう」
    「転職できる人間(単価の高い人間)から居なくなってくれる」

    と投稿者はいぶかっている。

    いくらひっそりリストラしたつもりでも、ブラック労働に敏感なITエンジニアたちは、その会社を遠ざけるようになる。エンジニアの間では、噂はすぐに広まってしまうからだ。

    都内のIT企業に勤める男性(30)に話を聞くと、優秀なエンジニアが、業界内の情報収集力に長けているのは事実だという。

    「いっしょに仕事をすると、たいてい仲間になって情報交換をするようになる。俺の会社はこうだとか、取引先はこういう状況だとか、友人の会社でこんなことがあったとか。業界内での話はよく聞きますね」

    「デスマーチ」や「IT土方」という言葉が生まれるほど、ITエンジニアの労働環境は厳しい場合も多い。だから、お互いの労働環境について情報交換をすることも多いのだ。

    「SNS禁止令」はブラック企業の証拠?

    ブラック企業のエンジニアたちは団結しあっているので、1人がホワイト企業への転職に成功すると、その噂も元職場や友人たちに広まる傾向にある。結果、ブラック企業からの「引き抜き」が行われることも多いのだ。

    「エンジニアは技術が確かな人と一緒に仕事がしたいですから、自分の職場で一緒に働きたいと思ったら積極的に紹介します。そういう人は多いですよ」

    「自分のスキルが生かせる」「定時で帰れる」「良い案件が多い」と言われたら、優秀なエンジニアは飛びつく。ブラックIT企業の経営者は注意した方がいい。

    だがブラック企業に勤めていると、外に出て人に会って話をすれば「脱出」のきっかけになるはずなのに、時間がなかったり、疲弊して何もする気が起きなくなってしまう人もいる。

    そうした人でも、ブログやSNSに自分のスキルや実績を載せておけば、他のエンジニアとの交流のきっかけとなりうる。書き込みを見てヘッドハントが来ることもザラだという。「退職しました」というブログエントリが多いのも、そうした理由からのようだ。

    会社の中には、エンジニアにも「SNS禁止令」を厳しく徹底しているところもあるが、これは引き抜き防止策の可能性もある。ブラック企業の見分け方のひとつのポイントになるかもしれない。

    あわせてよみたい:新人は「SNS禁止」だ!

  • 企業ニュース
    アクセスランキング

    働きやすい企業ランキング

    年間決定実績1,000件以上の求人データベース Agent Navigation
    転職相談で副業