「ゲームがつまらないんじゃなくて、自分がヘタなだけ」 10日で会社を辞めた社員への助言ブログが反響 2014年4月21日 仕事のエコノミクス ツイート ヨドバシカメラの人事担当者が、就職情報サイト「リクナビ2015」の人事ブログに寄せた内容が話題を呼んでいる。タイトルは「新入社員が退職した」というもの。 今春入社した新卒社員のKさんが、「わずか10日」で退職を申し出てきた。理由は、販売が「アルバイトの延長のような仕事」にしか思えず、続けていくことはできないと思ったから。辞めた後、Kさんは公務員を目指すのだという。 楽しさにたどり着く前に辞めれば「幸せになれない」 なぜ公務員になりたいのかを聞いても、Kさんからはしっかりした答えが返ってこない。人事担当者は慰留を諦めつつ、「働いて幸せ」と思える考え方を自ら伝えることにした。 まず、Kさんが好きだというゲームの話をし、 「ガンダムEXVSを初めてプレイする人が、対戦プレイで君に勝てるかな?」 と切り出す。それはムリと答えるKさんに、「手も足も出せずにキミに負けた初心者くんが『ガンダムエクストリームバーサスなんてつまらない!クソゲーだ!』と言ったとしたら、Kさんはどう思う?」とさらに問いかける。 「ゲームがつまらないんじゃなくて、自分がヘタなだけじゃないですか」 このKさんの答えを受けて、人事担当者は「楽しさを理解するには練習と経験が必要」と説き、ちょっとやってみただけで「つまらない」とか「自分には向いていない」というのは早すぎるという話に誘導する。 これは仕事も同じで、転職を繰り返す人は「楽しさにたどり着く前に職を変えてしまうから、幸せになれない」と指摘。「大切な人生だ。自分がどんな職につくべきかを、もっと真剣に考えたほうがいいと思うよ」とKさんを諌めたそうだ。 ブログは、相談を終え退職届を提出して去っていくKさんが「それまでと違って後ろ向きな逃避ではない、前を向いて一歩踏み出そうとする者の顔をしていた」と締めている。 この記事はSNSで拡散され、約3000件もツイートされるほど話題になった。内容は人事担当者に好意的な感想が多い。 会社に「楽しいチュートリアル」は必要なのか 特に評価が高かったのは、若者が興味を持てるように、ゲームを例に出して語ったセンスだ。 「辞めていく人間にそこまで言ってくれるなんて」 「こういう上司のいる会社に新卒で入りたかった」 新人が数か月で嫌になり、地元で公務員を目指したいというパターンは、ブログやQ&Aサイトに数多く見られる。今どきの若者が壁にぶつかったときの、よくある話といえる。 しかし、公務員になるためのハードルは低くない。2014年度の東京都職員(大卒程度)の採用試験の申込情報を見ると、「行政(一般方式)」は倍率11.8倍という難関だ。 仮に試験に合格したとしても、生産人口の減少や国の財政再建の流れから考えて、地方自治体の予算は将来的に縮小し、業務環境は厳しくなることが予想される。そう考えると、人事担当者の助言にも説得力が出てくる。 一方で、担当者の言葉が「共感できない説教」という反論もある。いまどきの良いゲームには「楽しいチュートリアルがある」のであり、「初心者がプレイしながら操作方法を学べる」ような丁寧な教育ステップが、会社に不足していたというのだ。 この意見に、ファミコン世代の30代会社員は、「ゲームを甘く見すぎている」と批判的だ。 「僕らの時代では、ゲームは、死んで(失敗して)も死んでも、諦めずに食いついてようやくモノにするのが当然でしたよ。それに比べると、今のゲームは初心者にも至れり尽くせりすぎなんです。むしろ、ぬるいゲームばかりしているから10日で辞めちゃうんですよね」 あわせてよみたい:「入社3年は働け」に読者反発
「ゲームがつまらないんじゃなくて、自分がヘタなだけ」 10日で会社を辞めた社員への助言ブログが反響
ヨドバシカメラの人事担当者が、就職情報サイト「リクナビ2015」の人事ブログに寄せた内容が話題を呼んでいる。タイトルは「新入社員が退職した」というもの。
今春入社した新卒社員のKさんが、「わずか10日」で退職を申し出てきた。理由は、販売が「アルバイトの延長のような仕事」にしか思えず、続けていくことはできないと思ったから。辞めた後、Kさんは公務員を目指すのだという。
楽しさにたどり着く前に辞めれば「幸せになれない」
なぜ公務員になりたいのかを聞いても、Kさんからはしっかりした答えが返ってこない。人事担当者は慰留を諦めつつ、「働いて幸せ」と思える考え方を自ら伝えることにした。
まず、Kさんが好きだというゲームの話をし、
と切り出す。それはムリと答えるKさんに、「手も足も出せずにキミに負けた初心者くんが『ガンダムエクストリームバーサスなんてつまらない!クソゲーだ!』と言ったとしたら、Kさんはどう思う?」とさらに問いかける。
このKさんの答えを受けて、人事担当者は「楽しさを理解するには練習と経験が必要」と説き、ちょっとやってみただけで「つまらない」とか「自分には向いていない」というのは早すぎるという話に誘導する。
これは仕事も同じで、転職を繰り返す人は「楽しさにたどり着く前に職を変えてしまうから、幸せになれない」と指摘。「大切な人生だ。自分がどんな職につくべきかを、もっと真剣に考えたほうがいいと思うよ」とKさんを諌めたそうだ。
ブログは、相談を終え退職届を提出して去っていくKさんが「それまでと違って後ろ向きな逃避ではない、前を向いて一歩踏み出そうとする者の顔をしていた」と締めている。
この記事はSNSで拡散され、約3000件もツイートされるほど話題になった。内容は人事担当者に好意的な感想が多い。
会社に「楽しいチュートリアル」は必要なのか
特に評価が高かったのは、若者が興味を持てるように、ゲームを例に出して語ったセンスだ。
新人が数か月で嫌になり、地元で公務員を目指したいというパターンは、ブログやQ&Aサイトに数多く見られる。今どきの若者が壁にぶつかったときの、よくある話といえる。
しかし、公務員になるためのハードルは低くない。2014年度の東京都職員(大卒程度)の採用試験の申込情報を見ると、「行政(一般方式)」は倍率11.8倍という難関だ。
仮に試験に合格したとしても、生産人口の減少や国の財政再建の流れから考えて、地方自治体の予算は将来的に縮小し、業務環境は厳しくなることが予想される。そう考えると、人事担当者の助言にも説得力が出てくる。
一方で、担当者の言葉が「共感できない説教」という反論もある。いまどきの良いゲームには「楽しいチュートリアルがある」のであり、「初心者がプレイしながら操作方法を学べる」ような丁寧な教育ステップが、会社に不足していたというのだ。
この意見に、ファミコン世代の30代会社員は、「ゲームを甘く見すぎている」と批判的だ。
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