• 内定辞退で「人事が罵倒」は実在する 「お前なめてんのか」「謝りに来たら骨折させる」

    5月に入り、内定が取れずに焦りを募らせる学生がいる一方で、すでに複数の企業から内定をもらっている就活生もいる。入社する会社はひとつしか選べないので、それ以外の会社には断りの連絡を入れなければならない。

    しかし学生は、連絡の前に緊張感を高めることになる。内定を辞退すると、採用担当者に怒鳴られ、頭からコーヒーや牛丼をかけられる、などといった噂があるからだ。にわかには信じがたいが、日経新聞(電子版)によると全くのウソでもないという。

    リクルーター激怒「君の出身大学から二度と採用しない」

    4月30日付けの学生向けコーナー「就活探偵団」が配信した記事「内定辞退、修羅場でむき出しになる人事の本性」では、内定辞退にまつわるエピソードを紹介している。

    ある学生が内定を辞退するためにメガバンクに電話をかけたところ、「お前なめてんのか」と怒鳴られたという。仕方なく、謝罪に伺いますとメールで送ったところ、

    「謝りに来たら骨折させる」

    と返事が来た。ビクビクしながら会社に行き、なんとか受け入れてもらえたそうだ。

    また、関西の大手電子部品メーカーの内定を辞退した男子学生は、電話口で人事担当者に「君1人を採用するのになんぼカネかかったか、わかっとんのか!」と関西弁で罵倒された。さらには別の担当者からも電話が来て、

    「君は内定者懇談会で関西まで来たが、新幹線代をだまし取ったことになる」
    「今後君の出身大学から二度と採用しない。それでもいいのか!」

    と責められたという。さすがに暴力の例はないが、その怒りは一様に半端ではない。

    なぜ、人事はそこまで怒るのか。記事に登場する2人の採用担当者の話によると、新卒採用では選考に1人あたり「1000万円」のコストをかけている。さらに、人事は良い人材を引っ張ってくるのが仕事のため、内定を辞退されると上司から無能扱いされ、考課にも響くのだという。

    記事の終わりでは、編集部が「企業も人材確保に必死。企業が怒るのも無理はない。就活生は誠意を持った対応を」と、企業側に同情を寄せるコメントをしている。

    「内定辞退の多発」はシステムの問題か

    一方、日経の読者コメントコーナーでは、会社に対して厳しい声が相次いだ。

    「企業は何様? 職業を選ぶ権利は学生側にある。縁がなかっただけ」
    「要は、内定辞退が出てくる前に、学生との良好な関係が築いておくのが大切なことでは?」

    また、そもそもこうした事態が生じるのは現在の「シューカツ」に問題があるとする見方もある。学生は就職先を確保するため、数十社にエントリーするのが普通になっている。しかも、どの会社に対しても「御社が第一志望です!」と言わないと選考は通らない。

    そして、複数内定が出た学生は、どこかの内定を辞退する。企業は騙されたと感じるのかも知れないが、こういった学生側の都合もあるわけだ。

    「現状の就職活動のシステム上、内定辞退が多発するのはやむを得ない。根本を変えようとせずに、学生の無責任さに感情を爆発させるのはお門違い」

    このほかネットでは、内定辞退で学生が罵倒される「悪習」をなくすため、学生がスマホで人事担当者とのやりとりを録音して公開すればいい、という声も出ている。しかし、逆に「盗聴」や「機密漏えい」の疑いをかけられるリスクもあり、慎重な意見もある。

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