• 「ネトゲの戦績」で内定ゲットできる? 「ギルドマスターはマジ大変」と共感の声も

    履歴書の趣味欄に何を書くかは、悩みどころだ。特にマニアックなものを正直に記入するのは気が引ける。ところがスターバックスの最高情報責任者(CIO)を務めたスティーブン・ジレット氏は、入社時になんと「私はレベル70のパラディン」などネットゲームの戦績を履歴書に書き、見事採用されたという。

    米CNNの記事によると、ジレット氏は世界的に人気の高い「ワールド・ウォークラフト」の愛好者。パラディンとはゲーム内のジョブ(職種)の一つで、高い防御力と回復魔法が特徴だ。レベル70という数値からも、かなりやり込んでいたことがうかがえる。さらに、グループを束ねるギルドマスターも担当していた。

    やってる内容は「会社の管理職」とかなり近い

    ジレット氏はこれまでも履歴書に職務経歴と一緒に、ゲーム内でのギルドやランキングについて書いてきたといい、これがスタバ代表のハワード・シュルツ氏に目に止まった。

    ただし、スタバの前には米ヤフー!やメディアサイトのCNETで勤務し、現在はセキュリティソフト企業のシマンテックのCOOを務めているというから、ビジネス面でも経験豊富だったのだろう。

    米国には同様の経験を持つ人が、他にもいるようだ。ウォール・ストリート・ジャーナルは、履歴書にゲームの戦績を書いて、ミシガン大学情報学部のディレクター職に内定した女性を紹介している。この女性もゲーム内で500人が所属するギルドの管理をしていた。

    一体、ゲームの何が就職や転職に有利に働くのか。考えられるのは、ゲームを通して管理職のスキルを身につけている可能性がある点だ。

    多くのネットゲームでは、ギルドマスターが「初心者専用」「対人戦重視」などとギルドのコンセプトを設定し、そこから目標を決めて舵取りをする。

    ギルド内での役職任命や、メンバーの加入承認・除名などのなどの人事権も持ち、ゲームといえども、やっていることは会社の管理職とかなり近い。前出のジレット氏はギルドマスターとして、チーム編成やゲーム内の仮想銀行の管理などもしていた。

    人気ネトゲのギルド運営で「上場企業に内定」

    チャットやメッセージなどオンライン上でのコミュニケーションが得意というのも、仕事をする上では有利になる。ネトゲ上では、顔の見えない相手とゲームの進捗状況の確認や、タスク管理をする必要がある。

    このニュースはネットでも話題になり、2ちゃんねるにはギルドマスター経験者から、記事に共感するコメントが寄せられた。

    「実際やってみたらわかるけど、あれ(ギルドマスター)はマジで大変。一人ひとりゲームスキルも性格違うし、ボスの特徴とかスケジュール管理とかマジ仕事みたいになる」

    他にも、面接で人気ネットゲーム「ラグナロクオンライン」のギルド運営の話をしたところ、「日経225企業から内定でたわ」と明かす人がいたが、本当だろうか。

    一方で、「日本でこれ書いて受かるところなんてまずないだろ」といった声も少なくない。WSJの記事にも、面接でゲームの話をすると、仕事をしないで一日中ゲームをするのではないかと疑われるおそれがあると指摘する。あくまで付加要素と考えた方がよいのか。

    囲碁や将棋と何が違うのか

    ただし「仕事とゲームは無関係」と頭から否定するコメントに対しては、昭和のサラリーマンは管理職になると囲碁や将棋を嗜んだものだ、と反論する人もいる。何でも、これらのゲームを通じて、マネジメントを行うための「大局観」が学べるというのだ。

    実際、東大や早稲田、慶應、青学などの有名校では、論理的思考力や判断力などの「就業力」が培われるとして、囲碁の授業が行われていると各紙で報じられていた。

    囲碁や将棋がよくて、ネットゲームがダメな理由はないだろう。面白みのない人材ばかりだと悩む企業は、しょせん遊びとバカにするのではなく「ゲームの戦績」を参考にしてみてはどうだろうか。

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