深夜スタートの合コンなのに! ゴチ度ゼロの三井物産 2012年6月14日 仕事のエコノミクス ツイート 就職の人気ランキングでも常に上位にランキングする三井物産。三菱商事、住友商事と並んで日本を代表する総合商社で、三井グループの中核企業だ。 総合商社といえば、「高給取り」「体育会系で激務」「商社ということだけでモテる」というイメージがあるけど、ホントにそうなの? メーカーの営業で働く私が女友達と、若手商社マンと合コンして確かめて来ました! ■参加メンバー●男子カジワラ(24):今回の幹事で営業。お笑いコンビのキングコングの梶原似。身長低めできゃしゃ。高い声でよくしゃべる ソリマチ(25):高身長のイケメンで営業。反町隆似でがっちり体型。見た目チャラ系 オカダ(24):黒髪ストレートのV6岡田似の営業。まじめで、あまり商社マンらしくない 短髪(27):色黒の元スポーツマン。あまりしゃべらない営業。帰国子女で語学堪能 ●女子私(24):メーカーの営業。商社マンとの結婚に憧れる お姉(24):本日の幹事。メーカー営業。しっかり者。合コン大好きだが、チャラい男は嫌い キャンキャン(24):雑誌「キャンキャン」系のメーカー営業。お姉と同じ会社。合コン百戦錬磨。とりあえずスペックの高い男の子が好き 清楚(25):メーカーの開発。素朴なメガネ女子。合コンは初参加 ◇ いつもオールの合コンってアリなの!? 今回の合コンの開催は金曜日。スタートは21時30分からの予定だったが、仕事が終わり次第、お店集合ということになった。「やっぱり総合商社は激務なのかなぁ~?」なんて、その時は思っていた私。しかし、その考えは甘かったことがわかる。 合コン当日、女子メンバーは先にお店に到着。東京駅近くの個室居酒屋だ。お店を幹事のカジワラに任せたら、選んだのがここだった。三井物産がある大手町から近いということもあるらしい。店に入った瞬間、思わず心で叫んだ私。 えー、天下の三井物産でしょ!? これでいいのぉ!! いかにも学生の飲み会で使われそうなお店でビックリ!! 高給取りの商社マンだから「夜景見ながらワインで乾杯!」と期待していた女子メンバー。その期待は見事に裏切られた…。 私、総合商社に友達がいるから、20代でも結構、良い給料だって知ってるんだよねぇ~。それなのに、このチョイスですか。この時点でちょっとイラッときた。 そして、ここからが男子メンバーが来るまで長いこと長いこと。22時30分を回ってもまだ来ない。いくら忙しい商社マンだからって、女の子を待たせるとは、いい度胸をしているわね。 いい加減、お腹もへってきたし、ノドも乾いてきたぞ。このまま女子会に変更してスタートちゃおっか…と思い始めた女性陣。そんな時に、ようやく男性陣が到着。 カジワラ 「お待たせしました~。合コンはだいたいオールになっちゃうんだよね~」 私 「そうなんですかぁ~。お仕事忙しいですもんねぇ」 オイオイ、遅れてきて最初に、その言葉はないでしょ。 時計を見るとなんと、23時!! もう深夜ですよ、深夜。日付も変わっちゃいますよ、わかってます? いくらなんでもこんな時間からのスタートはありえな~い! それに、だいたいオールって…いつも一体どんな合コンしているんだ。深夜の合コンで常に女の子をお持ち帰りしようという作戦なのか? ◇ いきなりの自慢話と名刺にビックリ! 今回の合コンは男子、女子4名。やっとメンバーがそろったところで、まずは「カンパーイ」。 そして、参加男子をさりげなくチェックする女性陣。ぱっと見、ソリマチとオカダ似の2人はイケメンだ! よしよし。イケメンがいるとわかって待ち時間も仕事の疲れも吹っ飛ぶ現金な私たち。商社だからといってもやっぱり顔は最重要ポイントでしょ! 乾杯が終わると、まずはソリマチが学生時代の話を始めた。 ソリマチ 「俺、学生時代に演劇サークル立ち上げたんだよねー」 お姉 「へぇ~。どんなことしてたの?」 ソリマチ 「演技もしてたけど、オレは演出もやってたからな」 エッ、合コンのしょっぱなから自慢話!? ソリマチは「演劇サークルを立ち上げた」というところに注目してほしかったらしい。会っていきなり「自分スゴイだろ」アピールはないよね。それに私、演劇にあんまり興味ないし。 その後も演出の話を熱く語るソリマチ。ちょっと引き気味の女性陣。とりあえず聞くふりをしてスルーしておく。 ソリマチの話がようやく終わったところで、オカダが自己紹介を始めた。 オカダ 「はじめまして。○○です。あ、○○という字が難しくて、名刺、よかったらどうぞ…」 と、女性陣に名刺を配り始めたオカダ。 エッ、いきなり名刺であいさつ!? これは合コンだよ、異業種交流会じゃないんだよ、と心の中でツッコむ私。 しかも、オカダはまったく人の目を見ようとしない。どんだけシャイなのよぉ~。 「ガツガツしている」という商社マンのイメージを持っていた私。でも、オカダは、それとは違っていた。そして、紺ジャケットに細身のグレーのパンツに茶色い革靴と男性陣の中では一番オシャレだった。オカダ、ちょっとイイかも。 ◇ 出た! 財閥、大手自慢! スゴイのはアンタじゃないっつーの!! さて、合コンも中盤。話題は仕事のことになった。 三井物産は歴史もある大企業だから上下関係は厳しそうと思っていた私。話を聞くと予想通り、社内ではかなり丁寧な口調を使わなければいけないらしい。 カジワラ 「上司に何かを頼まれた時は『はい、承知いたしました!』か『いいえ、わかりません』のどっちかしか言えないんだぜー。ちょっとでも微妙な返事したらメチャクチャ怒られるからな。上の言うことは絶対だよ」 ここでキャンキャンが満面の笑みでカジワラを持ち上げる。 キャンキャン 「大変ですねぇ~。がんばってて偉いなぁ~」 すると、調子にのったカジワラが一言。 カジワラ 「財閥系だからね、これくらいは仕方ないよ。早く上にいけたら楽かもな~」 出た! 財閥そして大手企業自慢。でも、スゴイのは会社であって、アンタじゃないっつーの! 引き続き、カジワラに愛想を振りまくキャンキャン。 キャンキャン 「さすが三井物産ですねぇ~」 今まで数々の合コンで男子の人気を集めてきたキャンキャン。男子をうまぁ~く転がすテクニックは天下一品だ。今回もカジワラからも自慢話をチョイチョイ引き出して、自分をアピール。カジワラはキャンキャンの術中には完全にはまったようだ。スゴイよ、キャンキャン。勉強になります。 これで気を良くしたカジワラ。自慢話はまだ続く。 カジワラ 「ちなみに海外勤務になると、手当がもらえて、物価も日本より安いから実質給料倍くらいになるぜぇ~」 女子全員 「ホントぉ~!?」 これには女子全員が喰いついた。どこに飛ばされるかはわからないけど、やっぱり普通の企業とは手当もケタが違うのね。 続いて話題は社内でのメールのことに。 お姉 「ウチらは、社内メッセンジャーを使ったりもしてますよ。時々、同期とはメッセンジャーでグチとか言いあってます」 男子全員 「マジで! ありえない、ありえない、うらやましいなー」 すると、ソリマチが一言。 「そんじゃ、女の子誘うのもメッセでできるじゃん」 オイオイ、そんな事には使わないって。これじゃ、三井物産に社内メッセンジャーが入ったらどうなることやら。ソリマチ、意外と要注意人物かも…と思う私。そして、その予感はすぐ確信に変わることになる。 ◇ 女子を置いて先に帰るなんて、ありえな~い! 合コンも後半。女子が飲めるということもあって、ビール→焼酎→ワインの順で次々とお酒が進み、男性陣はかなり酔っぱらっていた。すると、酔っ払ったソリマチが私に近寄ってきた。 ソリマチ 「てかさ、○○ちゃん肩出しすぎじゃない?!こんなんで会社行けるのー?」 私 「あっ、服装結構自由なんでぇ~」 ソリマチ 「いいなー、ウチの女の子にもこういう服を着てきてほしいよなー」 と言ったソリマチ。その言葉に合わせるように、すばやい動きで触ってきた!! ちょっとー!どうゆうことぉー!ありえなぁーーーーい!! すかさず逃げる私。ちょっと、なに勝手に触ってんのよ! アンタのために、この服を着てきたわけじゃなんだからね。 商社マンは同僚と合コンを開いて何人をお持ち帰りできるか、男同士で競っていると総合商社の友人から聞いていた私。ソリマチも同じかぁ? そういえば「総合商社」っていうだけでモテるとも言ってたな~。その手は私には通用しないよ。甘い、甘い。 ソリマチの行動に気が動転してしまった私。ようやっと落ち着いて、周りを見ると、オカダと清楚がなにやら話をしている。 清楚 「合コンは良くやるんですか?」 オカダ 「合コンはほとんど行かない。忙しいから」 清楚 「どんなお仕事をしていらっしゃるんですか?」 2人とも真面目だなぁ~。ここから2人は仕事の話に突入。どうやら気が合うらしい。あ~、私もオカダと話したかったなぁ~。でも二人はイイ感じだし、なんか微笑ましい。今回はあきらめるよ、私。がんばってね、清楚。 しかし、オカダは、そんな私の気持ちを裏切るような行動に出た。2時を過ぎた頃「明日は英語の勉強と上司とのゴルフがあるので失礼します」といって帰ってしまったのだ! 残った男性陣に聞いたところ、営業は将来的にほぼ海外転勤になるため、英語の勉強は欠かせないらしい。また、土日に上司や取引先とゴルフ接待もあるため、今から練習しているという。 帰るオカダの姿を見て、カジワラ、ソリマチ、短髪は「オレも勉強しなきゃな~、帰国子女じゃないからな~」。へぇ~、結構、仕事熱心なのね。ちょっと見直したよ、君たち。 でも、オカダ~、いくらなんでも自分を優先しすぎだろ~! 女子を置いて先に帰るってどういうこと!? 少しは清楚のことも考えろよ~! ◇ 合コンの最中に寝るな! 時計を見ると、なんと4時!! かなりのハイペースで飲み続けたためか、ソリマチもとうとう飲みつぶれてしまった。ちょっとホッとする私。しかし、それは甘かった…。ここからカジワラが再び自分自慢の独演会をスタートさせたのだ。 カジワラ 「日経平均株価がどうのこうの~」 「ITベンチャーは収益率が高くて投資先としてはすばらしいんだよ!」 「俺の部署はほかのみんなとは違って、おカネを動かしてるからなー」 まあ~、それにしても、よくそんだけ一方的にしゃべれるな~。カジワラは、他の3人と違って投資の仕事にもかかわっていることが、とてつもな~く自慢らしかった。プライドは人一倍高そうだ。 そして、話をするカジワラの目線はキャンキャンに一点集中。 え~と、女子はあと3人いるんですけど! アンタのつまらない自慢話しに付き合ってあげているんだからさぁ、少しは気を遣えっつーの!! しかし、ソリマチといい、カジワラといい、自慢話好きが多いなぁ~。商社マンって「自分大好き人間」が多いのかも。 なんて思って、ふと席を見回して見ると男子が一人いない気が…。短髪だ! どこにいった短髪? 姿が見えないぞ。合コン中も静かだった短髪。途中でまで姿を見かけたが、ふと気付くと席から消えていた。 その短髪は私がトイレに行く途中で発見!なんと店の通路で寝ていた!! カジワラの話では、彼は今日(正確には昨日)、仕事が相当立て込んで忙しかったらしい。 短髪、忙しくても合コンには参加するガッツは買うよ。でも、いくら疲れているからって、女子をほっておいて、お店で寝てしまうのは、男子としても社会人としてもありえないよ。そう思った私、あえて短髪をそのまま放置した。 ◇ 朝まで付き合って割り勘ってど~ゆ~うこと!? 深夜にスタートした今回の合コン。結局始発まで飲み続けて終わった。 そしてお会計。朝まで付き合ったから、「当然おごりでしょ」と思っていた私。 すると、カジワラが「男5000円、女子は2000円ねー」と言ってきた。仕方なく、おカネを払う女性陣。 ちょっと~、朝までさんざん自慢話に付き合ってあげたのに、中途半端な割り勘って、ど~ゆ~うこと!? 高給取りの商社マンなのにセコすぎない? と怒りが込み上げてきた私。 しかし、合コン百戦錬磨のキャンキャンは違った。カジワラとメルアドを交換。「カジワラはどうでもいいけど、彼の友達で新しい三井物産の人との合コンを組んでもらう♪」と帰り道で一言。さすが、キャンキャン。転んでもタダでは起きないアンタはスゴイよ。今度、その合コンテクをレクチャーしてね。 だが、キャンキャンの考えは甘かった。後日、開かれた合コンで、自分をモテポジションにしようとしたカジワラが連れてきたのは明らかに自分よりもイケテない男性4人組。イケメン商社マンをゲットしようとしたキャンキャンの目論見は見事に崩れさったのだ…。 「三井物産ならだれでもいいってわけじゃない!」と怒りながら私に話したキャンキャン。どうやらカジワラの方が一枚上手だったようだ。 ■総評 深夜スタートのオール、自慢話がさく裂、中途半端な割り勘と、「商社マン」ということで期待した女子の気持ちを見事に裏切るヤレヤレな合コンだった。ただ、日本を代表する総合商社というだけあって、話を聞くと厳しい上下関係の中、大きな仕事をしているようだった。 気になる年収は部署によってかなり開きはあるが、キャリコネの登録データ(三井物産の給与はこちら)を見ると新卒で入社して1~2年でも、500万程はもらっているみたいで、やはり高給取りのようだ。だからこそ、店選び、割り勘は非常に残念だった。 収穫だったのはオカダのような男子もいるということ。イケメンで仕事熱心、そして合コンにもあまり行かない。その上、次の日の朝には女子全員に「昨日はありがとうございました。」のメールを送って来た。この礼儀正しさとまめさは女子には嬉しいだろう。 ただ、カジワラによると「彼は社内でモテる。そういう男子は結婚も早い」。そして「残っている人は遊んでいる人か離婚した人」ということらしい。残念だが、もしかすると、オカダのようなイケメンで堅実な商社マンと出会うのは、合コンではちょっと難しいのかもしれない。
深夜スタートの合コンなのに! ゴチ度ゼロの三井物産
就職の人気ランキングでも常に上位にランキングする三井物産。三菱商事、住友商事と並んで日本を代表する総合商社で、三井グループの中核企業だ。
総合商社といえば、「高給取り」「体育会系で激務」「商社ということだけでモテる」というイメージがあるけど、ホントにそうなの? メーカーの営業で働く私が女友達と、若手商社マンと合コンして確かめて来ました!
■参加メンバー
●男子
カジワラ(24):今回の幹事で営業。お笑いコンビのキングコングの梶原似。身長低めできゃしゃ。高い声でよくしゃべる
ソリマチ(25):高身長のイケメンで営業。反町隆似でがっちり体型。見た目チャラ系
オカダ(24):黒髪ストレートのV6岡田似の営業。まじめで、あまり商社マンらしくない
短髪(27):色黒の元スポーツマン。あまりしゃべらない営業。帰国子女で語学堪能
●女子
私(24):メーカーの営業。商社マンとの結婚に憧れる
お姉(24):本日の幹事。メーカー営業。しっかり者。合コン大好きだが、チャラい男は嫌い
キャンキャン(24):雑誌「キャンキャン」系のメーカー営業。お姉と同じ会社。合コン百戦錬磨。とりあえずスペックの高い男の子が好き
清楚(25):メーカーの開発。素朴なメガネ女子。合コンは初参加
◇
いつもオールの合コンってアリなの!?
今回の合コンの開催は金曜日。スタートは21時30分からの予定だったが、仕事が終わり次第、お店集合ということになった。「やっぱり総合商社は激務なのかなぁ~?」なんて、その時は思っていた私。しかし、その考えは甘かったことがわかる。
合コン当日、女子メンバーは先にお店に到着。東京駅近くの個室居酒屋だ。お店を幹事のカジワラに任せたら、選んだのがここだった。三井物産がある大手町から近いということもあるらしい。店に入った瞬間、思わず心で叫んだ私。
えー、天下の三井物産でしょ!? これでいいのぉ!!
いかにも学生の飲み会で使われそうなお店でビックリ!!
高給取りの商社マンだから「夜景見ながらワインで乾杯!」と期待していた女子メンバー。その期待は見事に裏切られた…。
私、総合商社に友達がいるから、20代でも結構、良い給料だって知ってるんだよねぇ~。それなのに、このチョイスですか。この時点でちょっとイラッときた。
そして、ここからが男子メンバーが来るまで長いこと長いこと。22時30分を回ってもまだ来ない。いくら忙しい商社マンだからって、女の子を待たせるとは、いい度胸をしているわね。
いい加減、お腹もへってきたし、ノドも乾いてきたぞ。このまま女子会に変更してスタートちゃおっか…と思い始めた女性陣。そんな時に、ようやく男性陣が到着。
カジワラ
「お待たせしました~。合コンはだいたいオールになっちゃうんだよね~」
私
「そうなんですかぁ~。お仕事忙しいですもんねぇ」
オイオイ、遅れてきて最初に、その言葉はないでしょ。
時計を見るとなんと、23時!! もう深夜ですよ、深夜。日付も変わっちゃいますよ、わかってます? いくらなんでもこんな時間からのスタートはありえな~い!
それに、だいたいオールって…いつも一体どんな合コンしているんだ。深夜の合コンで常に女の子をお持ち帰りしようという作戦なのか?
◇
いきなりの自慢話と名刺にビックリ!
今回の合コンは男子、女子4名。やっとメンバーがそろったところで、まずは「カンパーイ」。
そして、参加男子をさりげなくチェックする女性陣。ぱっと見、ソリマチとオカダ似の2人はイケメンだ!
よしよし。イケメンがいるとわかって待ち時間も仕事の疲れも吹っ飛ぶ現金な私たち。商社だからといってもやっぱり顔は最重要ポイントでしょ!
乾杯が終わると、まずはソリマチが学生時代の話を始めた。
ソリマチ
「俺、学生時代に演劇サークル立ち上げたんだよねー」
お姉
「へぇ~。どんなことしてたの?」
ソリマチ
「演技もしてたけど、オレは演出もやってたからな」
エッ、合コンのしょっぱなから自慢話!? ソリマチは「演劇サークルを立ち上げた」というところに注目してほしかったらしい。会っていきなり「自分スゴイだろ」アピールはないよね。それに私、演劇にあんまり興味ないし。
その後も演出の話を熱く語るソリマチ。ちょっと引き気味の女性陣。とりあえず聞くふりをしてスルーしておく。
ソリマチの話がようやく終わったところで、オカダが自己紹介を始めた。
オカダ
「はじめまして。○○です。あ、○○という字が難しくて、名刺、よかったらどうぞ…」
と、女性陣に名刺を配り始めたオカダ。
エッ、いきなり名刺であいさつ!? これは合コンだよ、異業種交流会じゃないんだよ、と心の中でツッコむ私。
しかも、オカダはまったく人の目を見ようとしない。どんだけシャイなのよぉ~。
「ガツガツしている」という商社マンのイメージを持っていた私。でも、オカダは、それとは違っていた。そして、紺ジャケットに細身のグレーのパンツに茶色い革靴と男性陣の中では一番オシャレだった。オカダ、ちょっとイイかも。
◇
出た! 財閥、大手自慢! スゴイのはアンタじゃないっつーの!!
さて、合コンも中盤。話題は仕事のことになった。
三井物産は歴史もある大企業だから上下関係は厳しそうと思っていた私。話を聞くと予想通り、社内ではかなり丁寧な口調を使わなければいけないらしい。
カジワラ
「上司に何かを頼まれた時は『はい、承知いたしました!』か『いいえ、わかりません』のどっちかしか言えないんだぜー。ちょっとでも微妙な返事したらメチャクチャ怒られるからな。上の言うことは絶対だよ」
ここでキャンキャンが満面の笑みでカジワラを持ち上げる。
キャンキャン
「大変ですねぇ~。がんばってて偉いなぁ~」
すると、調子にのったカジワラが一言。
カジワラ
「財閥系だからね、これくらいは仕方ないよ。早く上にいけたら楽かもな~」
出た! 財閥そして大手企業自慢。でも、スゴイのは会社であって、アンタじゃないっつーの! 引き続き、カジワラに愛想を振りまくキャンキャン。
キャンキャン
「さすが三井物産ですねぇ~」
今まで数々の合コンで男子の人気を集めてきたキャンキャン。男子をうまぁ~く転がすテクニックは天下一品だ。今回もカジワラからも自慢話をチョイチョイ引き出して、自分をアピール。カジワラはキャンキャンの術中には完全にはまったようだ。スゴイよ、キャンキャン。勉強になります。
これで気を良くしたカジワラ。自慢話はまだ続く。
カジワラ
「ちなみに海外勤務になると、手当がもらえて、物価も日本より安いから実質給料倍くらいになるぜぇ~」
女子全員
「ホントぉ~!?」
これには女子全員が喰いついた。どこに飛ばされるかはわからないけど、やっぱり普通の企業とは手当もケタが違うのね。
続いて話題は社内でのメールのことに。
お姉
「ウチらは、社内メッセンジャーを使ったりもしてますよ。時々、同期とはメッセンジャーでグチとか言いあってます」
男子全員
「マジで! ありえない、ありえない、うらやましいなー」
すると、ソリマチが一言。
「そんじゃ、女の子誘うのもメッセでできるじゃん」
オイオイ、そんな事には使わないって。これじゃ、三井物産に社内メッセンジャーが入ったらどうなることやら。ソリマチ、意外と要注意人物かも…と思う私。そして、その予感はすぐ確信に変わることになる。
◇
女子を置いて先に帰るなんて、ありえな~い!
合コンも後半。女子が飲めるということもあって、ビール→焼酎→ワインの順で次々とお酒が進み、男性陣はかなり酔っぱらっていた。すると、酔っ払ったソリマチが私に近寄ってきた。
ソリマチ
「てかさ、○○ちゃん肩出しすぎじゃない?!こんなんで会社行けるのー?」
私
「あっ、服装結構自由なんでぇ~」
ソリマチ
「いいなー、ウチの女の子にもこういう服を着てきてほしいよなー」
と言ったソリマチ。その言葉に合わせるように、すばやい動きで触ってきた!!
ちょっとー!どうゆうことぉー!ありえなぁーーーーい!!
すかさず逃げる私。ちょっと、なに勝手に触ってんのよ! アンタのために、この服を着てきたわけじゃなんだからね。
商社マンは同僚と合コンを開いて何人をお持ち帰りできるか、男同士で競っていると総合商社の友人から聞いていた私。ソリマチも同じかぁ? そういえば「総合商社」っていうだけでモテるとも言ってたな~。その手は私には通用しないよ。甘い、甘い。
ソリマチの行動に気が動転してしまった私。ようやっと落ち着いて、周りを見ると、オカダと清楚がなにやら話をしている。
清楚
「合コンは良くやるんですか?」
オカダ
「合コンはほとんど行かない。忙しいから」
清楚
「どんなお仕事をしていらっしゃるんですか?」
2人とも真面目だなぁ~。ここから2人は仕事の話に突入。どうやら気が合うらしい。あ~、私もオカダと話したかったなぁ~。でも二人はイイ感じだし、なんか微笑ましい。今回はあきらめるよ、私。がんばってね、清楚。
しかし、オカダは、そんな私の気持ちを裏切るような行動に出た。2時を過ぎた頃「明日は英語の勉強と上司とのゴルフがあるので失礼します」といって帰ってしまったのだ!
残った男性陣に聞いたところ、営業は将来的にほぼ海外転勤になるため、英語の勉強は欠かせないらしい。また、土日に上司や取引先とゴルフ接待もあるため、今から練習しているという。
帰るオカダの姿を見て、カジワラ、ソリマチ、短髪は「オレも勉強しなきゃな~、帰国子女じゃないからな~」。へぇ~、結構、仕事熱心なのね。ちょっと見直したよ、君たち。
でも、オカダ~、いくらなんでも自分を優先しすぎだろ~! 女子を置いて先に帰るってどういうこと!? 少しは清楚のことも考えろよ~!
◇
合コンの最中に寝るな!
時計を見ると、なんと4時!! かなりのハイペースで飲み続けたためか、ソリマチもとうとう飲みつぶれてしまった。ちょっとホッとする私。しかし、それは甘かった…。ここからカジワラが再び自分自慢の独演会をスタートさせたのだ。
カジワラ
「日経平均株価がどうのこうの~」
「ITベンチャーは収益率が高くて投資先としてはすばらしいんだよ!」
「俺の部署はほかのみんなとは違って、おカネを動かしてるからなー」
まあ~、それにしても、よくそんだけ一方的にしゃべれるな~。カジワラは、他の3人と違って投資の仕事にもかかわっていることが、とてつもな~く自慢らしかった。プライドは人一倍高そうだ。
そして、話をするカジワラの目線はキャンキャンに一点集中。
え~と、女子はあと3人いるんですけど! アンタのつまらない自慢話しに付き合ってあげているんだからさぁ、少しは気を遣えっつーの!!
しかし、ソリマチといい、カジワラといい、自慢話好きが多いなぁ~。商社マンって「自分大好き人間」が多いのかも。
なんて思って、ふと席を見回して見ると男子が一人いない気が…。短髪だ!
どこにいった短髪? 姿が見えないぞ。合コン中も静かだった短髪。途中でまで姿を見かけたが、ふと気付くと席から消えていた。
その短髪は私がトイレに行く途中で発見!なんと店の通路で寝ていた!! カジワラの話では、彼は今日(正確には昨日)、仕事が相当立て込んで忙しかったらしい。
短髪、忙しくても合コンには参加するガッツは買うよ。でも、いくら疲れているからって、女子をほっておいて、お店で寝てしまうのは、男子としても社会人としてもありえないよ。そう思った私、あえて短髪をそのまま放置した。
◇
朝まで付き合って割り勘ってど~ゆ~うこと!?
深夜にスタートした今回の合コン。結局始発まで飲み続けて終わった。
そしてお会計。朝まで付き合ったから、「当然おごりでしょ」と思っていた私。
すると、カジワラが「男5000円、女子は2000円ねー」と言ってきた。仕方なく、おカネを払う女性陣。
ちょっと~、朝までさんざん自慢話に付き合ってあげたのに、中途半端な割り勘って、ど~ゆ~うこと!? 高給取りの商社マンなのにセコすぎない?
と怒りが込み上げてきた私。
しかし、合コン百戦錬磨のキャンキャンは違った。カジワラとメルアドを交換。「カジワラはどうでもいいけど、彼の友達で新しい三井物産の人との合コンを組んでもらう♪」と帰り道で一言。さすが、キャンキャン。転んでもタダでは起きないアンタはスゴイよ。今度、その合コンテクをレクチャーしてね。
だが、キャンキャンの考えは甘かった。後日、開かれた合コンで、自分をモテポジションにしようとしたカジワラが連れてきたのは明らかに自分よりもイケテない男性4人組。イケメン商社マンをゲットしようとしたキャンキャンの目論見は見事に崩れさったのだ…。
「三井物産ならだれでもいいってわけじゃない!」と怒りながら私に話したキャンキャン。どうやらカジワラの方が一枚上手だったようだ。
■総評
深夜スタートのオール、自慢話がさく裂、中途半端な割り勘と、「商社マン」ということで期待した女子の気持ちを見事に裏切るヤレヤレな合コンだった。ただ、日本を代表する総合商社というだけあって、話を聞くと厳しい上下関係の中、大きな仕事をしているようだった。
気になる年収は部署によってかなり開きはあるが、キャリコネの登録データ(三井物産の給与はこちら)を見ると新卒で入社して1~2年でも、500万程はもらっているみたいで、やはり高給取りのようだ。だからこそ、店選び、割り勘は非常に残念だった。
収穫だったのはオカダのような男子もいるということ。イケメンで仕事熱心、そして合コンにもあまり行かない。その上、次の日の朝には女子全員に「昨日はありがとうございました。」のメールを送って来た。この礼儀正しさとまめさは女子には嬉しいだろう。
ただ、カジワラによると「彼は社内でモテる。そういう男子は結婚も早い」。そして「残っている人は遊んでいる人か離婚した人」ということらしい。残念だが、もしかすると、オカダのようなイケメンで堅実な商社マンと出会うのは、合コンではちょっと難しいのかもしれない。