コミュニケーションの極意(1) 人は、「興味のないハナシ」は聴かない 2012年7月6日 仕事のエコノミクス ツイート ビジネスパーソンにとってもっとも重要な能力は「コミュニケーション力」だといわれています。では、そもそも「コミュニケーション力がある」というのは、どういう状態なのでしょうか。そこで、今回から人とコミュニケーションをするための「極意」を4回にわたって解説していきます。 ◇ まず、英語の「コミュニケーション」というコトバのもともとの意味を考えてみましょう。語幹となっている「comm」はラテン語で、「共に」という意味があります。共同体を表す「コミュニティ」とか、共産主義の「コミュニズム」など、何かしら「共有する」というニュアンスが入っています。 ここからもわかるとおり、コミュニケーションの基本は、相手と何かを「共有」することにあります。 「コミュニケーション力がある」というと、一般的には「話が面白い」「話題が豊富」といった「話し上手」なイメージがありますが、単なる情報伝達ではなく、相手とテーマを共有することが前提なのです。 そう考えると、いくら話術に優れているとしても、ベラベラと一方的に話すだけでは、コミュニケーションが成立しているとはいえないわけです。 「共有できる何かがあること」がコミュニケーションの前提条件だとするならば、相手と共有できるものがない、つまり相手に「自分には関係ない」と判断されてしまった場合、そのテーマが話し手にとっていくら重要なものであっても、コミュニケーションは成立しない、ということになります。例えば以下のような会話です。 (例1) 「ねえねえ、昨日のサッカー観てた? まさかあそこのファールでフリーキックが入るとは思わなかったよね! 終了間際のトドメの一発もバシっと決まってさ、まさに完勝だよな~」 「…(観てないし、興味もないんだけど… 早く終わらないかな…)」 (例2) 「ということで、キミにはチームリーダーになってもらうことになった。 重責だし大変な時期だが、得ることも多いからキャリアには間違いなくプラスになる。 よろしく頼んだよ」 「…はい(うぜぇー また残業が増えるのかよ…)」 ◇ 相手が耳を傾けたいことに、ハナシをチューニングする 私たちは無意識のうちに、「相手は自分のハナシを聴いてくれているもの」という前提で話をしますし、そうであることを期待しています。しかし、実際は、例のような「気持ちの上でのすれ違い」は日々発生しているのです。 ラジオを聴きたい時には、受信機を局の周波数に合わせますよね。コミュニケーションもそれと同じなんです。 いくらそれが面白おかしい話で、素晴らしいトークのテクニックを持っていたとしても、「自分が言いたいこと」を一方的に言うだけでは伝わりません。 「相手が聴きたいこと」にまずチューニングして、それにあったコミュニケーションをとっていく必要があるのです。 あなたの話は「聴いてもらって当たり前」ではありません。 現実的には、「相手は自分の話をしっかり聴いてもいないし、興味さえない」というくらいの前提で、相手の関心に沿って、きちんと理解されているか確認しながら進めていくくらいがちょうどいいのです。 コミュニケーションとは「情報の交流」だけではなく、「感情の交流」でもあるのです。 (新田龍・人事コンサルタント)
コミュニケーションの極意(1) 人は、「興味のないハナシ」は聴かない
ビジネスパーソンにとってもっとも重要な能力は「コミュニケーション力」だといわれています。では、そもそも「コミュニケーション力がある」というのは、どういう状態なのでしょうか。そこで、今回から人とコミュニケーションをするための「極意」を4回にわたって解説していきます。
◇
まず、英語の「コミュニケーション」というコトバのもともとの意味を考えてみましょう。語幹となっている「comm」はラテン語で、「共に」という意味があります。共同体を表す「コミュニティ」とか、共産主義の「コミュニズム」など、何かしら「共有する」というニュアンスが入っています。
ここからもわかるとおり、コミュニケーションの基本は、相手と何かを「共有」することにあります。
「コミュニケーション力がある」というと、一般的には「話が面白い」「話題が豊富」といった「話し上手」なイメージがありますが、単なる情報伝達ではなく、相手とテーマを共有することが前提なのです。
そう考えると、いくら話術に優れているとしても、ベラベラと一方的に話すだけでは、コミュニケーションが成立しているとはいえないわけです。
「共有できる何かがあること」がコミュニケーションの前提条件だとするならば、相手と共有できるものがない、つまり相手に「自分には関係ない」と判断されてしまった場合、そのテーマが話し手にとっていくら重要なものであっても、コミュニケーションは成立しない、ということになります。例えば以下のような会話です。
(例1)
「ねえねえ、昨日のサッカー観てた? まさかあそこのファールでフリーキックが入るとは思わなかったよね! 終了間際のトドメの一発もバシっと決まってさ、まさに完勝だよな~」
「…(観てないし、興味もないんだけど… 早く終わらないかな…)」
(例2)
「ということで、キミにはチームリーダーになってもらうことになった。 重責だし大変な時期だが、得ることも多いからキャリアには間違いなくプラスになる。 よろしく頼んだよ」
「…はい(うぜぇー また残業が増えるのかよ…)」
◇
相手が耳を傾けたいことに、ハナシをチューニングする
私たちは無意識のうちに、「相手は自分のハナシを聴いてくれているもの」という前提で話をしますし、そうであることを期待しています。しかし、実際は、例のような「気持ちの上でのすれ違い」は日々発生しているのです。
ラジオを聴きたい時には、受信機を局の周波数に合わせますよね。コミュニケーションもそれと同じなんです。
いくらそれが面白おかしい話で、素晴らしいトークのテクニックを持っていたとしても、「自分が言いたいこと」を一方的に言うだけでは伝わりません。
「相手が聴きたいこと」にまずチューニングして、それにあったコミュニケーションをとっていく必要があるのです。
あなたの話は「聴いてもらって当たり前」ではありません。
現実的には、「相手は自分の話をしっかり聴いてもいないし、興味さえない」というくらいの前提で、相手の関心に沿って、きちんと理解されているか確認しながら進めていくくらいがちょうどいいのです。
コミュニケーションとは「情報の交流」だけではなく、「感情の交流」でもあるのです。
(新田龍・人事コンサルタント)