コミュニケーションの極意(3) 言葉の裏に隠れた「相手の気持ち」に敏感になろう! 2012年7月20日 仕事のエコノミクス ツイート あなたは次のような言葉をかけられたとき、どのような反応をしていますか? 「苦労していた商談がようやくまとまりまして…」 「今月はずっと残業続きで…」 これらの言葉は往々にして、次のように続きます。 「苦労していた商談がようやくまとまりまして、すごくうれしかったんです」 「今月はずっと残業続きで… 苦労の割には達成感が少なく、非常に不本意な思いなんです」 これらは発言者の「気持ち」の表れであり、聴き手に対して何らかの反応やアクションを求めるものですよね。 そう考えると、この場合のコミュニケーションは表面的にやりとりされる言葉よりも、その源にある「意図」や「意志」をつかむことがより重要であることがわかります。今回は、この点について解説していきます。 ◇ 「出来事」よりも相手の「気持ち」に焦点を 例えば、こんな場面を経験された方はいらっしゃるのではないでしょうか。 相手 「苦労していた商談がようやくまとまりまして、すごくうれしかったんです」(このうれしい気持ちを共有したい!) あなた 「へぇ」 (おお、うれしかったのか。それはよかったなあ) 相手 「…」 (何だその反応は…。ちゃんと聞いてるのか!?) あなた 「…」 (あれれ…、なんかよく分からないけど、不機嫌になっちゃった…) 聴き手としてはしっかり聴いてるつもりだったのに、話し手にそんな風に思われてしまってはやり切れませんよね。 しかし、コミュニケーションを「出来事の共有」や「言葉のやりとり」と捉えている限り、こんな反応になってしまいがちなのです。 聴き手として心がけるべき重要な点は、「出来事」よりも相手の「気持ち」に焦点を当てる、ということです。具体的にはこのような形が理想的ですね。 相手 「苦労していた商談がようやくまとまりまして、すごくうれしかったんです」(このうれしい気持ちを共有したい!) あなた 「おお、そうですか! それは誇らしい気持ちになりますよね!」 (それはよかった。 たぶん、誇らしい気持ちだったんだろうなあ) 相手 「そうなんですよ! それで…」 相手が話しているのは「ポジティブ」なテーマでしょうか。それとも「ネガティブ」なテーマでしょうか。 話をきちんと聴いて察知し、ニュアンスを感じとりましょう。そして、そのニュアンスに合った「具体的な感情を表現する言葉」を返すことで、「あなたの話をキチンと聴いてます」「言ってることを理解してますよ」と示すわけですね。 ◇ コミュニケーションを劇的に変える「ザイアンスの法則」 対人コミュニケーションにおいて有名な、「ザイアンスの法則」というものがあります。 1…人間は知らない人には攻撃的、冷淡な対応をする (好意の返報性) 2…人間は相手の人間的な側面を知ったとき、より強く相手に好意を持つようになる 3…人間は会えば会うほど好意を持つようになる ザイアンスの法則その1は、「自分から相手に好意を持つ」ことです。この意識で相手に好意をもって向き合えば、その好意は自分にも返ってきます。 好きにさせるには、まず自分から好きになるということですね。よく考えてみれば、私たちは自分に好意を持っている人の話ならどんな話題でも聴きたいと思うはずです。 そして、同じアドバイスを受けるにしても、好意を持ってくれている人から受けたほうがやる気になるなんていうこともあるのではないでしょうか。 とはいえ、普段の生活で会う人全員が「積極的に好意を持てる人」とは限りませんよね。 そんなときは、「自分が好意を持った人に対して、どんな行動を自然にとっているか」と思い返してみるのが有効です。 たぶん、相手に興味があればあるほど、「もっとこの人のことが知りたい!」と強く思うのではないでしょうか。 「この人って、どんな人なんだろう…?」 「どんな価値観や趣味、嗜好の人なんだろう?」 「どんなハナシなら面白いと思われるかな?」 「今、どんな気持ちで聴いてくれてるんだろう?」 「私の言ってること、分かってくれてるかな、伝わってるかな?」 よく考えたら、これらの思いや配慮はすべて「相手を積極的に理解しよう」とする姿勢であり、日常的なコミュニケーションにおいてもぜひ持っておきたいスタンスと同じなんですね。 恋愛の場面なら無意識のうちに想いをめぐらすことばかりですが、ぜひ日常においても意識してやってみることをお勧めします。 相手に好意を持ってほしいなら、まずは自分が相手に好意を示すこと。相手に理解してほしいなら、まずは相手を理解することです。 こういった積極的な姿勢が相手に伝われば、想いはかならず返ってくるものなのです。 (新田龍・人事コンサルタント)
コミュニケーションの極意(3) 言葉の裏に隠れた「相手の気持ち」に敏感になろう!
あなたは次のような言葉をかけられたとき、どのような反応をしていますか?
「苦労していた商談がようやくまとまりまして…」
「今月はずっと残業続きで…」
これらの言葉は往々にして、次のように続きます。
「苦労していた商談がようやくまとまりまして、すごくうれしかったんです」
「今月はずっと残業続きで… 苦労の割には達成感が少なく、非常に不本意な思いなんです」
これらは発言者の「気持ち」の表れであり、聴き手に対して何らかの反応やアクションを求めるものですよね。
そう考えると、この場合のコミュニケーションは表面的にやりとりされる言葉よりも、その源にある「意図」や「意志」をつかむことがより重要であることがわかります。今回は、この点について解説していきます。
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「出来事」よりも相手の「気持ち」に焦点を
例えば、こんな場面を経験された方はいらっしゃるのではないでしょうか。
相手
「苦労していた商談がようやくまとまりまして、すごくうれしかったんです」(このうれしい気持ちを共有したい!)
あなた
「へぇ」
(おお、うれしかったのか。それはよかったなあ)
相手
「…」
(何だその反応は…。ちゃんと聞いてるのか!?)
あなた
「…」
(あれれ…、なんかよく分からないけど、不機嫌になっちゃった…)
聴き手としてはしっかり聴いてるつもりだったのに、話し手にそんな風に思われてしまってはやり切れませんよね。
しかし、コミュニケーションを「出来事の共有」や「言葉のやりとり」と捉えている限り、こんな反応になってしまいがちなのです。
聴き手として心がけるべき重要な点は、「出来事」よりも相手の「気持ち」に焦点を当てる、ということです。具体的にはこのような形が理想的ですね。
相手
「苦労していた商談がようやくまとまりまして、すごくうれしかったんです」(このうれしい気持ちを共有したい!)
あなた
「おお、そうですか! それは誇らしい気持ちになりますよね!」
(それはよかった。 たぶん、誇らしい気持ちだったんだろうなあ)
相手
「そうなんですよ! それで…」
相手が話しているのは「ポジティブ」なテーマでしょうか。それとも「ネガティブ」なテーマでしょうか。
話をきちんと聴いて察知し、ニュアンスを感じとりましょう。そして、そのニュアンスに合った「具体的な感情を表現する言葉」を返すことで、「あなたの話をキチンと聴いてます」「言ってることを理解してますよ」と示すわけですね。
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コミュニケーションを劇的に変える「ザイアンスの法則」
対人コミュニケーションにおいて有名な、「ザイアンスの法則」というものがあります。
1…人間は知らない人には攻撃的、冷淡な対応をする (好意の返報性)
2…人間は相手の人間的な側面を知ったとき、より強く相手に好意を持つようになる
3…人間は会えば会うほど好意を持つようになる
ザイアンスの法則その1は、「自分から相手に好意を持つ」ことです。この意識で相手に好意をもって向き合えば、その好意は自分にも返ってきます。
好きにさせるには、まず自分から好きになるということですね。よく考えてみれば、私たちは自分に好意を持っている人の話ならどんな話題でも聴きたいと思うはずです。
そして、同じアドバイスを受けるにしても、好意を持ってくれている人から受けたほうがやる気になるなんていうこともあるのではないでしょうか。
とはいえ、普段の生活で会う人全員が「積極的に好意を持てる人」とは限りませんよね。
そんなときは、「自分が好意を持った人に対して、どんな行動を自然にとっているか」と思い返してみるのが有効です。
たぶん、相手に興味があればあるほど、「もっとこの人のことが知りたい!」と強く思うのではないでしょうか。
「この人って、どんな人なんだろう…?」
「どんな価値観や趣味、嗜好の人なんだろう?」
「どんなハナシなら面白いと思われるかな?」
「今、どんな気持ちで聴いてくれてるんだろう?」
「私の言ってること、分かってくれてるかな、伝わってるかな?」
よく考えたら、これらの思いや配慮はすべて「相手を積極的に理解しよう」とする姿勢であり、日常的なコミュニケーションにおいてもぜひ持っておきたいスタンスと同じなんですね。
恋愛の場面なら無意識のうちに想いをめぐらすことばかりですが、ぜひ日常においても意識してやってみることをお勧めします。
相手に好意を持ってほしいなら、まずは自分が相手に好意を示すこと。相手に理解してほしいなら、まずは相手を理解することです。
こういった積極的な姿勢が相手に伝われば、想いはかならず返ってくるものなのです。
(新田龍・人事コンサルタント)