酔っ払ったお客様は手に負えない 「トイレで居眠り」「俺の靴箱のカギはどこだ!」 2014年5月15日 元社員が語る「外食産業」の舞台裏 ツイート 外食の店舗で働く人は、不特定多数のお客様を相手とし、お客様の機嫌を損ねないようなサービスを提供することが求められています。 でも中には、「一体どうすればいいのだろう?」と対応に困るお客様も多数いました。今回はそんな経験の中から、特に印象に残ったケースを紹介してみます。(ライター:ナイン) 彼氏がトイレから帰ってこない彼女は… まだ帰ってこない… まずは、お客様が「酒に酔ってトイレで寝てしまう」こと。これは居酒屋で働いていると、正直めずらしいことではありません。もちろん席で寝る人もいるのですが、用を足しているうちにスヤスヤと眠ってしまうお客様もいるのですね。 そんなお客様に、本当に色々な意味で同情してしまったケースがありました。私が都内の店舗で働いていたときのこと。閉店間近の朝の4時すぎ、20代前半の若い女性のお客様が心配そうな顔でこちらに向かってきました。 「あの、連れの男が、トイレに行ったまま帰ってこないんですが…」 私は「確認してきます」と伝えて、男性トイレを見に行きました。すると「グゥー、グゥー…」とイビキが聞こえてくるではありませんか! 働き始めて半年ほどで、トイレで寝る人を初めて見た瞬間でした。 いくらなんでも酔っ払いすぎだろと思いながら、女性客に報告すると、「あぁ…」と力のない返事が。まあそうなるでしょうね。そこで「ひとまず起こしてきますので、お待ちいただけますか」と言い残して、再びトイレに向かいました。 途中、別の女性従業員に様子を伝えたところ、衝撃の発言が返ってきました。 「会話から察すると、あの二人、たぶんまだ付き合い始めですよ…」 「え、マジか」と、さすがにやりきれない気持ちになりました。男としては、やっとこぎつけた彼女とのデートで、舞い上がり飲みすぎてしまったのでしょうか。彼女はトイレで酔いつぶれてしまった彼を、どう思うのでしょうか。 見つかっても見つからなくても、どこか気まずい また「店のスリッパで帰ってしまう」というお客様も、本当に多いです。私が働いていたのは、入り口で靴を脱ぐタイプの店でした。備え付けの靴箱に靴を入れ、カギをかけてお客様が持っていくというシステムです。 店舗の入り口には電話などで店外に出るお客様のために、備え付けのスリッパが置いてありますが、それを履いて店を出て行ったまま、なぜか帰ってこない人が後をたちません。 「いくら酒に酔っているといっても、帰ってる途中で気づかないものかな」 そんな私たちの疑問をよそに、こういったお客様は一向にいなくなる気配がありません。閉店後の靴箱を見ると、お客様の靴が入りっぱなしだったり、スリッパの数が足りなかったりということがよく起こります。 さらによくあるのが、「俺の靴箱のカギがない」というケースです。私も初めは「どういうこと?」と思いました。お客様自身でカギをかけたので、必ずお客様が持っているはずなのですが…。 これが起こると、どんなに忙しい営業中でも色々な場所を捜索せざるをえません。トイレの個室や席の足下など、従業員一同で探します。ですが大抵、お客様のカバンや上着のポケットから出てくるのですね。 こうして見つかったら見つかったで、何となく気まずい雰囲気になりますし、なければないで「今日どうやって帰んだよ!」と逆切れするようなお客様もいました。これ以上私たちに、一体どうしろというのでしょうか。 あわせてよみたい:元社員が語る「外食産業」の舞台裏 バックナンバー 【プロフィール】ナイン北海道在住の20代後半の男性。大学卒業後、居酒屋チェーンWを運営する会社に正社員として入社。都内店舗のスタッフや副店長として約4年間勤務した後、「もう少し発展性のある仕事がしたい」と転職。現場を知る立場から、外食産業を頭ごなしにブラックと批判する声には「違和感がある」という。Twitter/Facebook/ブログ
酔っ払ったお客様は手に負えない 「トイレで居眠り」「俺の靴箱のカギはどこだ!」
外食の店舗で働く人は、不特定多数のお客様を相手とし、お客様の機嫌を損ねないようなサービスを提供することが求められています。
でも中には、「一体どうすればいいのだろう?」と対応に困るお客様も多数いました。今回はそんな経験の中から、特に印象に残ったケースを紹介してみます。(ライター:ナイン)
彼氏がトイレから帰ってこない彼女は…
まずは、お客様が「酒に酔ってトイレで寝てしまう」こと。これは居酒屋で働いていると、正直めずらしいことではありません。もちろん席で寝る人もいるのですが、用を足しているうちにスヤスヤと眠ってしまうお客様もいるのですね。
そんなお客様に、本当に色々な意味で同情してしまったケースがありました。私が都内の店舗で働いていたときのこと。閉店間近の朝の4時すぎ、20代前半の若い女性のお客様が心配そうな顔でこちらに向かってきました。
私は「確認してきます」と伝えて、男性トイレを見に行きました。すると「グゥー、グゥー…」とイビキが聞こえてくるではありませんか! 働き始めて半年ほどで、トイレで寝る人を初めて見た瞬間でした。
いくらなんでも酔っ払いすぎだろと思いながら、女性客に報告すると、「あぁ…」と力のない返事が。まあそうなるでしょうね。そこで「ひとまず起こしてきますので、お待ちいただけますか」と言い残して、再びトイレに向かいました。
途中、別の女性従業員に様子を伝えたところ、衝撃の発言が返ってきました。
「え、マジか」と、さすがにやりきれない気持ちになりました。男としては、やっとこぎつけた彼女とのデートで、舞い上がり飲みすぎてしまったのでしょうか。彼女はトイレで酔いつぶれてしまった彼を、どう思うのでしょうか。
見つかっても見つからなくても、どこか気まずい
また「店のスリッパで帰ってしまう」というお客様も、本当に多いです。私が働いていたのは、入り口で靴を脱ぐタイプの店でした。備え付けの靴箱に靴を入れ、カギをかけてお客様が持っていくというシステムです。
店舗の入り口には電話などで店外に出るお客様のために、備え付けのスリッパが置いてありますが、それを履いて店を出て行ったまま、なぜか帰ってこない人が後をたちません。
そんな私たちの疑問をよそに、こういったお客様は一向にいなくなる気配がありません。閉店後の靴箱を見ると、お客様の靴が入りっぱなしだったり、スリッパの数が足りなかったりということがよく起こります。
さらによくあるのが、「俺の靴箱のカギがない」というケースです。私も初めは「どういうこと?」と思いました。お客様自身でカギをかけたので、必ずお客様が持っているはずなのですが…。
これが起こると、どんなに忙しい営業中でも色々な場所を捜索せざるをえません。トイレの個室や席の足下など、従業員一同で探します。ですが大抵、お客様のカバンや上着のポケットから出てくるのですね。
こうして見つかったら見つかったで、何となく気まずい雰囲気になりますし、なければないで「今日どうやって帰んだよ!」と逆切れするようなお客様もいました。これ以上私たちに、一体どうしろというのでしょうか。
あわせてよみたい:元社員が語る「外食産業」の舞台裏 バックナンバー
【プロフィール】ナイン
北海道在住の20代後半の男性。大学卒業後、居酒屋チェーンWを運営する会社に正社員として入社。都内店舗のスタッフや副店長として約4年間勤務した後、「もう少し発展性のある仕事がしたい」と転職。現場を知る立場から、外食産業を頭ごなしにブラックと批判する声には「違和感がある」という。Twitter/Facebook/ブログ