ワタミで退職の意思を示すと、辞めるまで「いいように使われる」 2014年7月24日 元社員が語る「外食産業」の舞台裏 ツイート もしもあなたが上司に「辞めます」と言ったら、どういう対応をされるでしょうか。よほど問題を起こしていなければ、上司や同僚に「それは困るなあ」と一応慰留されると思います。社員、アルバイトにかかわらずそうでしょう。 私がワタミを辞めるときも、普段会わないような課長や部長がやって来て慰留されました。外食産業で働いていると店舗での仕事がメインになるので、こういった管理職の人たちと話すことはほとんどないのですね。貴重な機会でした。(ライター:ナイン) 「落ち着いて考え直したら」と言ってくれたのに 上司たちは「俺はお前が心配なんだ」という雰囲気で、こんな言葉をかけてくれました。 「会社を辞めて、次の仕事は決まっているのか」 「もう一度、落ち着いて考え直したらどうだ」 彼らの真剣な口ぶりに、私も退職に迷いが生じてしまうほどでした。しかしそれから辞めるまでの日々は、その言葉と裏腹な待遇が待っていました。 ワタミでは退職意思を示した社員は、人員の少ない店舗の穴埋め要因に使われていました。シフトもあからさまにきつく組まれるようになり、ひどいときには1日に4店舗回り、労働時間が14時間を超えたことも稀ではありません。 店ごとに従業員が少ない時間帯を穴埋めしていたのですが、これが想像以上に大変でした。店舗間の場所が離れている場合もあり、仕事場に着くまでがひと仕事。着いたら着いたで、他の店員との人間関係も構築されていませんし、店の構造も分かりません。 いろいろ周りに気を使いながらの仕事になるので、普段よりも重い疲れがドッと来ます。帰宅の途につきながら、私は普段会わない上司たちのことを思い出していました。 「いずれにしても辞めるから、辞めるまではこき使ってやろうということなのか。彼らは本当に心配してくれていたのかなあ…」 思い起こせば先輩たちもそうだった 確かに、これから辞めていく社員に将来性はありませんから、場当たり的な穴埋めでも良しということでしょう。思い起こせば辞めていった先輩たちも、同じような仕事を振られていたので、私もある程度の覚悟をしていましたが、想像より大変でした。 そして辞めてからも、もう一つ思うところがありました。もしも本当に私のことが心配なら「退職後にも連絡がくるかな」と思ったのです。「仕事はどうだ」「新しい生活には慣れたか」とか…。 もう言うまでもないかもしれませんが、退職して1年が経ちますが、ただの一度も連絡はありません。仲の良い同僚から連絡があったくらいです。 まぁ会社なんてそんなもんだろうな、と思いつつも、「あの真剣な慰留ぶりは何だったのだろう?」と、何となく寂しくもある今日この頃です。 あわせてよみたい:元社員が語る「外食産業」の舞台裏 バックナンバー 【プロフィール】ナイン北海道在住の20代後半の男性。大学卒業後、居酒屋チェーンWを運営する会社に正社員として入社。都内店舗のスタッフや副店長として約4年間勤務した後、「もう少し発展性のある仕事がしたい」と転職。現場を知る立場から、外食産業を頭ごなしにブラックと批判する声には「違和感がある」という。Twitter/Facebook/ブログ
ワタミで退職の意思を示すと、辞めるまで「いいように使われる」
もしもあなたが上司に「辞めます」と言ったら、どういう対応をされるでしょうか。よほど問題を起こしていなければ、上司や同僚に「それは困るなあ」と一応慰留されると思います。社員、アルバイトにかかわらずそうでしょう。
私がワタミを辞めるときも、普段会わないような課長や部長がやって来て慰留されました。外食産業で働いていると店舗での仕事がメインになるので、こういった管理職の人たちと話すことはほとんどないのですね。貴重な機会でした。(ライター:ナイン)
「落ち着いて考え直したら」と言ってくれたのに
上司たちは「俺はお前が心配なんだ」という雰囲気で、こんな言葉をかけてくれました。
彼らの真剣な口ぶりに、私も退職に迷いが生じてしまうほどでした。しかしそれから辞めるまでの日々は、その言葉と裏腹な待遇が待っていました。
ワタミでは退職意思を示した社員は、人員の少ない店舗の穴埋め要因に使われていました。シフトもあからさまにきつく組まれるようになり、ひどいときには1日に4店舗回り、労働時間が14時間を超えたことも稀ではありません。
店ごとに従業員が少ない時間帯を穴埋めしていたのですが、これが想像以上に大変でした。店舗間の場所が離れている場合もあり、仕事場に着くまでがひと仕事。着いたら着いたで、他の店員との人間関係も構築されていませんし、店の構造も分かりません。
いろいろ周りに気を使いながらの仕事になるので、普段よりも重い疲れがドッと来ます。帰宅の途につきながら、私は普段会わない上司たちのことを思い出していました。
思い起こせば先輩たちもそうだった
確かに、これから辞めていく社員に将来性はありませんから、場当たり的な穴埋めでも良しということでしょう。思い起こせば辞めていった先輩たちも、同じような仕事を振られていたので、私もある程度の覚悟をしていましたが、想像より大変でした。
そして辞めてからも、もう一つ思うところがありました。もしも本当に私のことが心配なら「退職後にも連絡がくるかな」と思ったのです。「仕事はどうだ」「新しい生活には慣れたか」とか…。
もう言うまでもないかもしれませんが、退職して1年が経ちますが、ただの一度も連絡はありません。仲の良い同僚から連絡があったくらいです。
まぁ会社なんてそんなもんだろうな、と思いつつも、「あの真剣な慰留ぶりは何だったのだろう?」と、何となく寂しくもある今日この頃です。
あわせてよみたい:元社員が語る「外食産業」の舞台裏 バックナンバー
【プロフィール】ナイン
北海道在住の20代後半の男性。大学卒業後、居酒屋チェーンWを運営する会社に正社員として入社。都内店舗のスタッフや副店長として約4年間勤務した後、「もう少し発展性のある仕事がしたい」と転職。現場を知る立場から、外食産業を頭ごなしにブラックと批判する声には「違和感がある」という。Twitter/Facebook/ブログ