日本人旅行者は「忙しくて、貧しい」か?【外こもりのすすめ(6)】 2013年11月30日 外こもりのすすめ ツイート 海外で外こもり生活を続ける貧BPさん。最近よく、日本人観光客の数が減っているのでは、と感じるという。 相対的に増加してきたのが、韓国人と中国人の旅行者だそうだ。 以前は土産屋の看板などに日本語が書いてあるのはよく見かける光景だった。しかし、最近はハングルと中国語ばかりだ。 日本食は後ろのほうに追いやられ… 長期滞在者向けの食堂も例外ではない。 「かつて日本人バックパッカー相手の食堂がよくありました。安い日本食、日本語のメニュー、お客さんも日本人だらけ。ところが数年後に行くと、店頭のショーウィンドウには韓国料理ばかりが入っていて、メニューもハングル。日本食は後ろの方に追いやられ、客もほとんど韓国人に変わっていました」 それでも貧BPさんは今でも、日本人旅行者の恩恵にあずかることもあるという。 「アパートに住んでいたらまず無いシチュエーションですが、私は日本人宿にいることがほとんどです。わずか数日の短期滞在の方から、世界一周の旅人まで、いろんな人に出会います」 いわゆるパックツアーではなく、自分でチケットを手配して旅行する人のなかには、貧BPさんが滞在するようなゲストハウスにも泊まる人もいる。 「ある銀行員の方は2週間の休暇を毎年取れるらしく、よく出会います。2週間となると個人がフリーで動けないパックツアーが利用しづらいらしく、バックパッカースタイルになってしまうんですよ」 その銀行員は2泊だけ日本人宿に泊まっていたが、その間は行動を共にし、街を案内したり、一緒に食事をしたりと、ずっと一緒だった。 「『お金あまり無いですよね?』とご飯を毎度のようにおごって下さり、本当にありがたかったです」 おおまかに、日本人旅行者は下記のように分類できると貧BPさんは言う。 短期旅行で効率よく観光地を回ろうとするパックツアー旅行者。おそらく風俗目当ての中年のオヤジ達。観光地や屋台を物珍しげに見て回る女性の二人組。学生。そして仕事を辞めて長期の旅に出たバックパッカー、およびその予備軍。 2週間もの休暇を取ってバックパッカーさながらにゲストハウスに滞在するその銀行員は、幸福なレアケースだろう。 日本人は短期間の「貧しい旅行」しかできない 2泊3日程度の旅行では、その土地の良さを知るどころか、国や都市の気候や慣習に慣れる前に帰国することになる。仕方のない部分もあるが、それは「貧しい」旅行なのではないかと貧BPさんは語る。 例えば彼がタイのビーチで本を読んでいた時のこと。周りにいる欧米人も似たようにゆったりとバカンスを楽しんでいた。 「そこに日本人旅行者の集団がやって来ました。ひとしきり泳いだらバナナボートに乗って、お昼ご飯をかきこみ、ビーチバレーをやって、去って行きました。のんびりする余裕もなにもないです」 「のんびり何もしない楽しみ」をないがしろにしている気がする、と貧BPさんはいう。 「アメリカ人は別ですが、ヨーロッパ人はほとんど、長期旅行ですね。長い人は一ヶ月ぐらいごく普通です。『日本では会社が休めなくて数泊で帰る』という話をするととても驚きます」 また、日頃のストレスの反動からか、ハメを外しすぎてしまう人もいるそうだ。 「日本でやらないようなことをやって、犯罪に巻き込まれる人も少なくないかもしれません。好奇心から、地元の人しか行かないような繁華街に行って、夜遅くまで遊ぶ。そしてぼったくられたり、財布をすられたりすることもあるようです」 資産もなく、いつか働かなくてはいけないという怯えを持つ貧BPさんだが、忙しすぎるギチギチのスケジュールをこなすだけの日本人観光客には違和感を禁じえないという。 (第7回につづく) 本連載は、外こもりの中でもひときわ異彩を放つ「貧BPの人生オワタ\(^o^)/旅」という大人気ブログの書き手である貧BPさんに取材し、考え方や行動などを再構成し、一つの突き抜けた生き方を提示するもの。けっして働くことを否定する内容ではない。なお、貧BPという名前は、外こもり専用掲示板のハンドルネームに由来する。貧しいバックパッカー、略して貧BPである。 [文章 恵比須半蔵(えびすはんぞう) / ノンフィクションライター] あわせてよみたい:1円を争う外こもり生活
日本人旅行者は「忙しくて、貧しい」か?【外こもりのすすめ(6)】
海外で外こもり生活を続ける貧BPさん。最近よく、日本人観光客の数が減っているのでは、と感じるという。
相対的に増加してきたのが、韓国人と中国人の旅行者だそうだ。
以前は土産屋の看板などに日本語が書いてあるのはよく見かける光景だった。しかし、最近はハングルと中国語ばかりだ。
日本食は後ろのほうに追いやられ…
長期滞在者向けの食堂も例外ではない。
それでも貧BPさんは今でも、日本人旅行者の恩恵にあずかることもあるという。
いわゆるパックツアーではなく、自分でチケットを手配して旅行する人のなかには、貧BPさんが滞在するようなゲストハウスにも泊まる人もいる。
その銀行員は2泊だけ日本人宿に泊まっていたが、その間は行動を共にし、街を案内したり、一緒に食事をしたりと、ずっと一緒だった。
おおまかに、日本人旅行者は下記のように分類できると貧BPさんは言う。
短期旅行で効率よく観光地を回ろうとするパックツアー旅行者。おそらく風俗目当ての中年のオヤジ達。観光地や屋台を物珍しげに見て回る女性の二人組。学生。そして仕事を辞めて長期の旅に出たバックパッカー、およびその予備軍。
2週間もの休暇を取ってバックパッカーさながらにゲストハウスに滞在するその銀行員は、幸福なレアケースだろう。
日本人は短期間の「貧しい旅行」しかできない
2泊3日程度の旅行では、その土地の良さを知るどころか、国や都市の気候や慣習に慣れる前に帰国することになる。仕方のない部分もあるが、それは「貧しい」旅行なのではないかと貧BPさんは語る。
例えば彼がタイのビーチで本を読んでいた時のこと。周りにいる欧米人も似たようにゆったりとバカンスを楽しんでいた。
「のんびり何もしない楽しみ」をないがしろにしている気がする、と貧BPさんはいう。
また、日頃のストレスの反動からか、ハメを外しすぎてしまう人もいるそうだ。
資産もなく、いつか働かなくてはいけないという怯えを持つ貧BPさんだが、忙しすぎるギチギチのスケジュールをこなすだけの日本人観光客には違和感を禁じえないという。
(第7回につづく)
本連載は、外こもりの中でもひときわ異彩を放つ「貧BPの人生オワタ\(^o^)/旅」という大人気ブログの書き手である貧BPさんに取材し、考え方や行動などを再構成し、一つの突き抜けた生き方を提示するもの。けっして働くことを否定する内容ではない。なお、貧BPという名前は、外こもり専用掲示板のハンドルネームに由来する。貧しいバックパッカー、略して貧BPである。
[文章 恵比須半蔵(えびすはんぞう) / ノンフィクションライター]
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