生涯外こもり宣言 十分なお金があっても「外こもりしたい」―外こもりのすすめ(10) 2014年2月3日 外こもりのすすめ ツイート この連載も最終回。ということで、日本で一生遊んで暮らせるお金があったとしても、やはり「外こもりはしたいか?」「旅に出たいか」という質問を貧BPさんにぶつけてみた。 「日本を出ずに済む金があろうがなかろうが、海外に行くと思います。純粋に海外の雰囲気や文化が好きですからね」 外こもりは「絶対に増えない」 彼には、「労働を1秒もしたくない」という考え以外にも、「海外で生活をすること」に強いこだわりがあることがはっきりした。 また万が一、貧BPさんのように外こもりをする人が増加した場合、日本経済はどうなると思うか訊いてみた。 「影響をあたえるほどは、絶対に増加しないと思います。ですから、外こもりの増加自体が日本経済に影響をあたえることはないでしょう。そんな勢力にはなりえません」 いくらお金と暇を持て余していても、彼のような人生を選択する人は、それほど多くないと考えているようだ。 仮に何らかの事情で外こもりできなくなった場合、都会を離れて田舎や沖縄で自給自足の生活をするという選択もあると思うが、その辺はどうなのだろう。 「自給自足というのは、結局、人に雇われていないけど、個人事業主として働いているのと同じですよ」 「畑仕事をするなら、気分次第で耕したり耕さなかったりなんてことをしていたら、ちゃんとしたものは収穫できないでしょう」 たとえ会社員ではなくても、やはり「1秒も働きたくない」という信念は揺るがない。 貧BPさんの「最悪のシミュレーション」 そうはいっても将来的に、円やドルが安くなり、経済格差の恩恵を得られなく日もくるのではないのか。 それについては外こもり以前、バックパッカー時代からずっと考えているという。バックパッカーをしていた90年代から、おそらく数十年後には「貧乏海外旅行」という行為自体が不可能になるほど円が弱くなるのでは、という不安もよぎっていた。 「晩年には現在途上国と言われているタイやインドなどが発達し、経済でも日本の上に立ち、それらの国の若者が日本に『安いから』と言ってバックパッカーをしに来る」 そんな時代が来た日には、大阪の西成あたりの外国人向けゲストハウスで掃除夫でもしているだろう、と予想する。 「そして、訪日した外国人に対し『若いころは君等の国を旅したもんだよ』と語るようになる、そんなことまで想像しています」 貧BPさんの外こもりは世界の経済情勢にも左右され、場合によっては働かざるを得ない「最悪」のシミュレーションも彼の頭のなかにはあるようだ。 外こもりを目指すなら、最低1ヶ月以上の「予行滞在」を行うべし 外こもりをしている彼を、身内や友人知人はどう考えているのだろうか。これもかなり気になる問題だ。 親には「外こもりをしている」などとはっきりした形で言うことはないという。「海外旅行に行く」と言ってごまかしている。 「学生時代の知人友人とはほぼ絶縁状態です。もし何かの機会があって、面と向かって外こもりを批判されたとしても、いかに私が働くのが嫌で辛い行為なのかを、とくとくと説明するしか無いと思います」 身内には真実を話せないが、友人には自信を持って外こもりの良さを主張できる。これが彼の考え方だ。 最後に、これから外こもりを考えている人に対してのアドバイスを訊くと、「ともかく一度海外に、最低でも1ヶ月以上滞在することをおすすめします」と力説する。 外こもりは「生活」であり、旅行ではない。だから「できれば一箇所から動かない」こと。そして可能であれば、バー、クラブ、遊園地など金を使う娯楽の少ない所を選ぶといいという。 「誰も知り合いがいない、会う人会う人が新しい人ばかり、言葉もろくに通じない。そういう場所に1ヶ月居続けて耐えることができたり楽だと思えるなら、外こもり適正は高いと言えるでしょう」 今までにも述べてきたがが、外こもりにはお金の問題以外にも、ただひたすらに暇を潰せる能力も必要とされる。まずは自分にその適応力があるのかを見極め、確信してから本格的な外こもり生活に入った方が良いと彼は語る。 外こもりという生活スタイルには賛否両論あるだろう。ともあれ、将来の不安を抱えながらも、貧BPさんの外こもりは今日も海外のどこかで続いている。(了) あわせてよみたい:外こもりが「セカシュー」で出会った海外ブラック企業 本連載は、外こもりの中でもひときわ異彩を放つ「貧BPの人生オワタ\(^o^)/旅」という大人気ブログの書き手である貧BPさんに取材し、考え方や行動などを再構成し、一つの突き抜けた生き方を提示するもの。けっして働くことを否定する内容ではない。なお、貧BPという名前は、外こもり専用掲示板のハンドルネームに由来する。貧しいバックパッカー、略して貧BPである。 [恵比須半蔵(えびすはんぞう) / ノンフィクションライター]
生涯外こもり宣言 十分なお金があっても「外こもりしたい」―外こもりのすすめ(10)
この連載も最終回。ということで、日本で一生遊んで暮らせるお金があったとしても、やはり「外こもりはしたいか?」「旅に出たいか」という質問を貧BPさんにぶつけてみた。
外こもりは「絶対に増えない」
彼には、「労働を1秒もしたくない」という考え以外にも、「海外で生活をすること」に強いこだわりがあることがはっきりした。
また万が一、貧BPさんのように外こもりをする人が増加した場合、日本経済はどうなると思うか訊いてみた。
いくらお金と暇を持て余していても、彼のような人生を選択する人は、それほど多くないと考えているようだ。
仮に何らかの事情で外こもりできなくなった場合、都会を離れて田舎や沖縄で自給自足の生活をするという選択もあると思うが、その辺はどうなのだろう。
たとえ会社員ではなくても、やはり「1秒も働きたくない」という信念は揺るがない。
貧BPさんの「最悪のシミュレーション」
そうはいっても将来的に、円やドルが安くなり、経済格差の恩恵を得られなく日もくるのではないのか。
それについては外こもり以前、バックパッカー時代からずっと考えているという。バックパッカーをしていた90年代から、おそらく数十年後には「貧乏海外旅行」という行為自体が不可能になるほど円が弱くなるのでは、という不安もよぎっていた。
そんな時代が来た日には、大阪の西成あたりの外国人向けゲストハウスで掃除夫でもしているだろう、と予想する。
貧BPさんの外こもりは世界の経済情勢にも左右され、場合によっては働かざるを得ない「最悪」のシミュレーションも彼の頭のなかにはあるようだ。
外こもりを目指すなら、最低1ヶ月以上の「予行滞在」を行うべし
外こもりをしている彼を、身内や友人知人はどう考えているのだろうか。これもかなり気になる問題だ。
親には「外こもりをしている」などとはっきりした形で言うことはないという。「海外旅行に行く」と言ってごまかしている。
身内には真実を話せないが、友人には自信を持って外こもりの良さを主張できる。これが彼の考え方だ。
最後に、これから外こもりを考えている人に対してのアドバイスを訊くと、「ともかく一度海外に、最低でも1ヶ月以上滞在することをおすすめします」と力説する。
外こもりは「生活」であり、旅行ではない。だから「できれば一箇所から動かない」こと。そして可能であれば、バー、クラブ、遊園地など金を使う娯楽の少ない所を選ぶといいという。
今までにも述べてきたがが、外こもりにはお金の問題以外にも、ただひたすらに暇を潰せる能力も必要とされる。まずは自分にその適応力があるのかを見極め、確信してから本格的な外こもり生活に入った方が良いと彼は語る。
外こもりという生活スタイルには賛否両論あるだろう。ともあれ、将来の不安を抱えながらも、貧BPさんの外こもりは今日も海外のどこかで続いている。(了)
あわせてよみたい:外こもりが「セカシュー」で出会った海外ブラック企業
本連載は、外こもりの中でもひときわ異彩を放つ「貧BPの人生オワタ\(^o^)/旅」という大人気ブログの書き手である貧BPさんに取材し、考え方や行動などを再構成し、一つの突き抜けた生き方を提示するもの。けっして働くことを否定する内容ではない。なお、貧BPという名前は、外こもり専用掲示板のハンドルネームに由来する。貧しいバックパッカー、略して貧BPである。
[恵比須半蔵(えびすはんぞう) / ノンフィクションライター]