「ウォークマンを潰した」のは誰か? ソニーOBと現役社員「罵り合い」の顛末 2014年3月11日 企業徹底研究 ツイート ソニーでVAIOなどの事業を担当し、グーグル日本法人の代表取締役社長を務めた辻野晃一郎氏に、ツイッターユーザーA氏が噛み付いた。 辻野氏は、A氏が現役のソニー社員であることを暴き、衆人環視のネット環境でユーザーが謝罪する結末に。この事件には、A氏に対して「カッコ悪い」と嘲笑する声がある一方で、なぜか辻野氏批判も沸きあがっている。 「失敗の責任は辻野氏」に実名暴露で対抗 きっかけは、A氏が東洋経済の記事「パソコンで終わらない、切り刻まれるソニー」に関するツイートを投稿したことから始まった。 「なんで(メディアは)ソニーOBの話ばかり聞きたがるのだろう?」 「辻野氏なんてウォークマンを潰した張本人だろう。辞めて大きな成果を出した人なら聞く意味があるかもしれないが、取材し易いというだけで聞いた話は記事を薄くするだけ」 このツイートを見つけた辻野氏は、腹にすえかねたのか乱暴な口調で応戦する。 「おまえ、どこの誰なんだよ」 「いきなり出鱈目な言いがかりつけられて、フォローしたのはこれ以上いい加減なこと言い続けたら絶対に容赦しないためだよ」 A氏もこれに屈せず、ソニーの低迷を決定付けたウォークマンの失敗の責任は、「コネクトカンパニー・コプレジデントの辻野氏にあると考えている」と敢然と批判したのだ。 辻野氏は明確な反論をせず、A氏も「尊大な逃げを決め込まれてしまった」と諦めムードだった。しかし数日後、辻野氏はA氏の実名や素性を突き止め、公然とバラしてしまったのだ。しかもA氏は、ソニーの現役社員だった。 「同じソニーに縁ある者同士、常に前を見て歩んでいきたいですよね。今回は勉強になりました。どうもありがとう。(了)」 謝罪にも「頑張ってください!」と応じず この「実名晒し」はA氏も予想外だったのか、いきなり態度を翻す。関連ツイートを削除し、「謝意を受け入れて頂けますか」と返信した。しかし、辻野氏は応じない。 「私の真意は実名を暴くことではなく、ソニーに縁ある仲間と判明したので、きっと苦労しているに違いないと思い、直接呼び掛けて激励のメッセージを伝えたい、と思ったまでです。頑張って下さい!」 このあともA氏は何度か、辻野氏にプライバシー情報の削除をお願いしているが、辻野氏にあしらわれてしまっている。 この「公開討論」は、ネットでも話題を呼んでいる。まず多いのは、匿名なら何を言ってもいいわけではない、というA氏への批判だ。 「誰だかバレなきゃなにしてもいいと思っていたやつが実名バラされた瞬間土下座。笑える」 「『実名で言えないようなことを公器で垂れ流さない』という大原則を、世界的大企業の出身でいながら弁えていないという寒々しさよ」 辻野氏も2月26日の現代ビジネスで、「陰口好き」は日本の企業文化として根付いているところがあると指摘。上層部全般への不満や鬱積が、いまのソニーに「渦巻いて」いて、それが「こういう形」で出ているのではないか、と書いた。 「今回のツイッターでのプチ炎上から、私は改めて今のソニーが抱える病巣の根の深さを教えられた思いである」 「今のソニー」の姿にしたのは誰なのか? だがネットには、A氏への援護射撃も見られる。辻野氏はツイートでも記事でも、A氏の質問に答えていないというのだ。 「ソニーOB辻野氏は論旨には一切反論せず個人特定で潰したのか」 「正面から議論せず、政治的に握り潰すタイプがトップに立ってたと言うことが分かる」 辻野氏はA氏の質問に対し、「こちらの問答への答えはすべてその本(自身の著書『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』)に書き残したつもり」とし、ツイッターで回答するのを避けた。 きっかけとなった記事では、ソニーの苛烈なリストラを取り上げつつ、「逆境下でも新しい事業を生み出すのが経営者の仕事だ。そうした努力を必死になってやったようには見えない」という辻野氏の批判コメントを掲載している。 A氏からすれば、アップルに敗れたソニーを抜け出してグーグルの社長にまで上り詰めた元上役が、上から目線で古巣を批判するのが我慢できず、「今のソニーの姿にしたのは誰なのか?」と問いただしたかったのかもしれない。一連の流れが終わった後、A氏はこう書き残している。 「本当に話したかったのはウォークマンを潰したのは自分だと思わないのはなぜか、という点だったのですが、最後まで彼の口からそれを聞くことは出来なかったですね」 経済評論家の池田信夫氏も、「この人(A氏)の批判は当たってる部分がある。ウォークマンが中途半端だったことは事実。責任は辻野さんだけにあるわけじゃないが」とフェイスブックに記している。 あわせてよみたい:転職直前に上司から「退職金は払わない」と脅された!
「ウォークマンを潰した」のは誰か? ソニーOBと現役社員「罵り合い」の顛末
ソニーでVAIOなどの事業を担当し、グーグル日本法人の代表取締役社長を務めた辻野晃一郎氏に、ツイッターユーザーA氏が噛み付いた。
辻野氏は、A氏が現役のソニー社員であることを暴き、衆人環視のネット環境でユーザーが謝罪する結末に。この事件には、A氏に対して「カッコ悪い」と嘲笑する声がある一方で、なぜか辻野氏批判も沸きあがっている。
「失敗の責任は辻野氏」に実名暴露で対抗
きっかけは、A氏が東洋経済の記事「パソコンで終わらない、切り刻まれるソニー」に関するツイートを投稿したことから始まった。
このツイートを見つけた辻野氏は、腹にすえかねたのか乱暴な口調で応戦する。
A氏もこれに屈せず、ソニーの低迷を決定付けたウォークマンの失敗の責任は、「コネクトカンパニー・コプレジデントの辻野氏にあると考えている」と敢然と批判したのだ。
辻野氏は明確な反論をせず、A氏も「尊大な逃げを決め込まれてしまった」と諦めムードだった。しかし数日後、辻野氏はA氏の実名や素性を突き止め、公然とバラしてしまったのだ。しかもA氏は、ソニーの現役社員だった。
謝罪にも「頑張ってください!」と応じず
この「実名晒し」はA氏も予想外だったのか、いきなり態度を翻す。関連ツイートを削除し、「謝意を受け入れて頂けますか」と返信した。しかし、辻野氏は応じない。
このあともA氏は何度か、辻野氏にプライバシー情報の削除をお願いしているが、辻野氏にあしらわれてしまっている。
この「公開討論」は、ネットでも話題を呼んでいる。まず多いのは、匿名なら何を言ってもいいわけではない、というA氏への批判だ。
辻野氏も2月26日の現代ビジネスで、「陰口好き」は日本の企業文化として根付いているところがあると指摘。上層部全般への不満や鬱積が、いまのソニーに「渦巻いて」いて、それが「こういう形」で出ているのではないか、と書いた。
「今のソニー」の姿にしたのは誰なのか?
だがネットには、A氏への援護射撃も見られる。辻野氏はツイートでも記事でも、A氏の質問に答えていないというのだ。
辻野氏はA氏の質問に対し、「こちらの問答への答えはすべてその本(自身の著書『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』)に書き残したつもり」とし、ツイッターで回答するのを避けた。
きっかけとなった記事では、ソニーの苛烈なリストラを取り上げつつ、「逆境下でも新しい事業を生み出すのが経営者の仕事だ。そうした努力を必死になってやったようには見えない」という辻野氏の批判コメントを掲載している。
A氏からすれば、アップルに敗れたソニーを抜け出してグーグルの社長にまで上り詰めた元上役が、上から目線で古巣を批判するのが我慢できず、「今のソニーの姿にしたのは誰なのか?」と問いただしたかったのかもしれない。一連の流れが終わった後、A氏はこう書き残している。
経済評論家の池田信夫氏も、「この人(A氏)の批判は当たってる部分がある。ウォークマンが中途半端だったことは事実。責任は辻野さんだけにあるわけじゃないが」とフェイスブックに記している。
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