建築・住宅関連5社が合併の「LIXIL」 トステム専制支配で悲哀のINAX、新日軽 2012年5月14日 企業徹底研究 ツイート トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリア。これら建築資材や住宅機器系メーカー5社が、起死回生を図るべく合従連衡して2011年に誕生したのが、「住生活グループ」だ。 展開するブランドは「LIXIL」(リクシル)。俳優の堤真一や大森南朋らが次々とリレー形式で出演するテレビCMを大々的に展開し、認知度の向上を図ってきた。 だがそれでも、無理があるだろう。「住生活グループ」なんて組織名では、とても株式会社の印象はないし、ましてや意味不明の「LIXIL」だ。はっきりした企業イメージなど、浮かびそうにない。 「LIXILって知ってる?」 と、大金を注ぎ込んで放映した渾身のCMコピーは、そのまま自虐的。 「知らないよ」 で終わった視聴者が大半だったはずだ。 その住生活グループが、7月から社名を「LIXILグループ」に変更するという。社名をブランド名に一本化することで、浸透を図る狙いだ。 そんな寄せ集め世帯の社員たちは今、何を思っているのだろうか。キャリコネに寄せられた口コミから、旧職場である5社、それぞれ社風の違いなどを見ていこう。 ◇ 「目先しか見ておらず、将来性はない」と社員は切り捨て LIXILで企画営業を担当する30代前半の男性社員は、自分の会社にこんなに手厳しい。 「2011年4月にグループ内の5社を統合し、新社風の新会社と経営理念などの再設定を行ったが、中身は全く伴っていない。理由は5社の理念のいいとこ取りをして対外的には統合の是を狙ったが、本質的な部分で実際はトステムの全面踏襲だ」 ほかの4社の文化や歴史を、完全に無視しているどころか、積極的に淘汰を図っているのが実体だという。 「その道のプロである人材を外部から積極的に登用しているが、2013年中期目標の最終年度に売り上げ目標の3兆円を達成させるために『今』の良し悪ししか見ておらず、長期的視野にたった事業が出来なくなった」 開発途上であろうが何だろうが、とにかく利益の出ていない事業は閉鎖させられるという。 「会社の将来性は無いに等しい」 と、この男性社員は切り捨てている。 ルートセールスを担当する40代前半の男性社員も、さんざんの評価だ。 「人治主義の会社で、よくわからないルールが多い。完全トップダウンなため、上が理解できないと物事が進まない。したがって、システムも古い。平気で社員を切り捨てるので、年齢が行くと不安になるかも」 さらに、代理店営業を担当する40代前半の男性社員にいたっては、こう暴露している。 「毎月の数字の詰めが厳しい。上からの必達指示に対して不正してでも達成させる雰囲気がある」 この傾向がトステムの伝統だというから、もはやメチャクチャだ。5社合併によって、少しは弱まった感もあるというが、それでも 「胃の弱い方には不向き。覚悟が必要」 と、注意を呼びかけている。 ◇ 合併で「ゆるやかさ」は失われ「悔しさ」だけが残った? こうして見ると、どうやらLIXILとは、旧トステムの専制的な支配下にある会社らしい。では、それ以外の4社は、どんな悲哀を味わっているのか。 INAXで営業アシスタントをしていた20代後半の女性社員は、こう述べている。 「自由闊達で風通しがよい。飲み会は上下関係をさほど気にすることなく楽しむことができ、二次会の出席率も高い。仕事中に自由すぎる人もいるが、仕事は十分にこなしメリハリがあれば働いていける環境」 これはなかなか羨ましい雰囲気ではなかったのか。 新日軽で技術関連職だった30代前半の男性社員も、こう書き込んでいる。 「若い開発者も多く、なんでもやらせてもらえる環境でした。社内の雰囲気も良く、人間関係がいいのでより仕事にやりがいを感じられた」 ところが、合併によって、こうした旧職場の「ゆるやかさ」は失われたのだろう。20代前半のルートセールスの男性はこう告白している。 「リクシルと合併しているが、旧新日軽の社員に対する扱いはひどいように感じる。ボーナスはない年もあれば、あっても月給の半分という感じ。40歳前後で多少できる人間も、みな転職したくても転職できないという感じ」 合併で「ひどい扱い」を受けている社員の悔しさは、いかばかりだろうか。 LIXILの2012年3月期の連結決算は、純利益が前年比で88%も減った。タイの洪水で現地工場が操業を停止し、設備の修繕などで212億円の特別損失を計上したことなどが響いている。 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年4月末現在、45万社、17万件の口コミが登録されています。
建築・住宅関連5社が合併の「LIXIL」 トステム専制支配で悲哀のINAX、新日軽
トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリア。これら建築資材や住宅機器系メーカー5社が、起死回生を図るべく合従連衡して2011年に誕生したのが、「住生活グループ」だ。
展開するブランドは「LIXIL」(リクシル)。俳優の堤真一や大森南朋らが次々とリレー形式で出演するテレビCMを大々的に展開し、認知度の向上を図ってきた。
だがそれでも、無理があるだろう。「住生活グループ」なんて組織名では、とても株式会社の印象はないし、ましてや意味不明の「LIXIL」だ。はっきりした企業イメージなど、浮かびそうにない。
「LIXILって知ってる?」
と、大金を注ぎ込んで放映した渾身のCMコピーは、そのまま自虐的。
「知らないよ」
で終わった視聴者が大半だったはずだ。
その住生活グループが、7月から社名を「LIXILグループ」に変更するという。社名をブランド名に一本化することで、浸透を図る狙いだ。
そんな寄せ集め世帯の社員たちは今、何を思っているのだろうか。キャリコネに寄せられた口コミから、旧職場である5社、それぞれ社風の違いなどを見ていこう。
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「目先しか見ておらず、将来性はない」と社員は切り捨て
LIXILで企画営業を担当する30代前半の男性社員は、自分の会社にこんなに手厳しい。
「2011年4月にグループ内の5社を統合し、新社風の新会社と経営理念などの再設定を行ったが、中身は全く伴っていない。理由は5社の理念のいいとこ取りをして対外的には統合の是を狙ったが、本質的な部分で実際はトステムの全面踏襲だ」
ほかの4社の文化や歴史を、完全に無視しているどころか、積極的に淘汰を図っているのが実体だという。
「その道のプロである人材を外部から積極的に登用しているが、2013年中期目標の最終年度に売り上げ目標の3兆円を達成させるために『今』の良し悪ししか見ておらず、長期的視野にたった事業が出来なくなった」
開発途上であろうが何だろうが、とにかく利益の出ていない事業は閉鎖させられるという。
「会社の将来性は無いに等しい」
と、この男性社員は切り捨てている。
ルートセールスを担当する40代前半の男性社員も、さんざんの評価だ。
「人治主義の会社で、よくわからないルールが多い。完全トップダウンなため、上が理解できないと物事が進まない。したがって、システムも古い。平気で社員を切り捨てるので、年齢が行くと不安になるかも」
さらに、代理店営業を担当する40代前半の男性社員にいたっては、こう暴露している。
「毎月の数字の詰めが厳しい。上からの必達指示に対して不正してでも達成させる雰囲気がある」
この傾向がトステムの伝統だというから、もはやメチャクチャだ。5社合併によって、少しは弱まった感もあるというが、それでも
「胃の弱い方には不向き。覚悟が必要」
と、注意を呼びかけている。
◇
合併で「ゆるやかさ」は失われ「悔しさ」だけが残った?
こうして見ると、どうやらLIXILとは、旧トステムの専制的な支配下にある会社らしい。では、それ以外の4社は、どんな悲哀を味わっているのか。
INAXで営業アシスタントをしていた20代後半の女性社員は、こう述べている。
「自由闊達で風通しがよい。飲み会は上下関係をさほど気にすることなく楽しむことができ、二次会の出席率も高い。仕事中に自由すぎる人もいるが、仕事は十分にこなしメリハリがあれば働いていける環境」
これはなかなか羨ましい雰囲気ではなかったのか。
新日軽で技術関連職だった30代前半の男性社員も、こう書き込んでいる。
「若い開発者も多く、なんでもやらせてもらえる環境でした。社内の雰囲気も良く、人間関係がいいのでより仕事にやりがいを感じられた」
ところが、合併によって、こうした旧職場の「ゆるやかさ」は失われたのだろう。20代前半のルートセールスの男性はこう告白している。
「リクシルと合併しているが、旧新日軽の社員に対する扱いはひどいように感じる。ボーナスはない年もあれば、あっても月給の半分という感じ。40歳前後で多少できる人間も、みな転職したくても転職できないという感じ」
合併で「ひどい扱い」を受けている社員の悔しさは、いかばかりだろうか。
LIXILの2012年3月期の連結決算は、純利益が前年比で88%も減った。タイの洪水で現地工場が操業を停止し、設備の修繕などで212億円の特別損失を計上したことなどが響いている。
*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年4月末現在、45万社、17万件の口コミが登録されています。