「女性に優しい」…イメージばかり先行 日本IBMで働く社員の本音は? 2012年7月23日 企業徹底研究 ツイート 女性が働きやすい会社――そんなイメージで常に上位に入るのが、日本IBMだ。月刊誌『日経WOMAN』6月号は、国内の有力企業4300社を対象とした恒例の「企業の女性活用度調査」の結果を発表。上位100社を紹介している。 この調査でトップになったのも、日本IBMだ。同誌では、 「98年に女性活用のための社長直轄の組織が発足し、数値目標を掲げて女性の活用に取り組んできた。その結果、発足当時は1.8%にすぎなかった女性管理職の比率が、いま12%に上昇。女性役員は1人から30人になった」 などと、同社の横顔を紹介している。 管理職の登用度に加えて、「ワークライフバランス度」「男女均等度」など、計4個の指標でいずれでも、日本IBMは高得点だったという。昨年からは米国本社から人事担当の女性専務が着任し、さらに女性活用を加速させているそうだ。 しかし、実態はどうなのか。そして、働いている社員たちの本音はどんなものなのだろうか。グループ企業なども含めた現場の様子を、キャリコネに寄せられた口コミから見ていこう。 ◇ タテマエだけの「くるみん認定企業」を社員は疑問視 「出産・育児・介護などが発生した際に、今までと同じように働くことができると思いますか?」 この質問に対して、日本IBMソリューションサービスで働く29歳のシステムエンジニアの女性社員は、こう回答している。 「全く思わない。自社にいるごく一部の人間のみ。この会社の客先常駐SEでは残業が多すぎて無理」 また、親会社の社員のように立場も確立されていないため、子供を理由に残業を控えたり休んだりなども、とてもできる雰囲気ではないという。女性は暴露する。 「会社もわかっていて、『くるみん認定企業』などと、うたっている。出産・育児を迎える年代になると、退職かスタッフ部門に異動する女性ばかり」 くるみん認定とは、少子化対策として子育て支援に積極的に取り組む企業に対して「くるみんマーク」を受けている企業のこと。「次世代育成支援認定マーク」などとも呼ばれている。 「赤ちゃんを優しく包む(くるむ)」という意味があるらしいが、この女性社員は相当にいかがわしさを感じているようだ。 IBMビジネスコンサルティングサービスで働く20代後半のシステムコンサルタントの男性社員も言う。 「仕事面の社内的な雰囲気としては、単に『女性が優しくされる』という雰囲気ではない。『女性だろうが男性だろうが特別扱いをしない』に近い。女性であっても徹夜など平気だ、という方には問題ないでしょうが」 決して、女性に優しい企業ではない、という意見だ。 ◇ 制度は整っているが活用はできていない 日本IBMサービスでソフトウェア関連の仕事に就いている30代前半の女性社員の意見はこうだ。 「本体には、まあ、女性管理職も少なくはない。だが、その多くは独身女性また子供がいない女性であることが多い。もしくは子供がいても、あまり育児に重きを置いていない女性だ」 だから、いわゆる「仕事も家庭も」などと思っている女性は、実際は役職がついていないことが多いらしい。そんなことを言えば、 「肩たたきのターゲットにもなり得る」 と、この女性社員は警告している。 制度面についても、こう切り捨てている。 「女性に優しい企業の代表として、いろいろな制度が整っていることで有名な弊社。しかし、制度が整ってはいるが、業界事情(?!)でその制度を活用出来るかといったら、それは非常に難しい」 つまり、「制度がある」イコール「働きやすい企業」、というわけではないという意見だ。制度が活用できなければ、真に「働きやすい企業」ではないと訴える。 「子持ちの女性が、家庭と仕事を両立させるには、まだまだ状況が厳しすぎる」 そう、女性社員は内情を明かしている。 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年6月末現在、45万社、18万件の口コミが登録されています。
「女性に優しい」…イメージばかり先行 日本IBMで働く社員の本音は?
女性が働きやすい会社――そんなイメージで常に上位に入るのが、日本IBMだ。月刊誌『日経WOMAN』6月号は、国内の有力企業4300社を対象とした恒例の「企業の女性活用度調査」の結果を発表。上位100社を紹介している。
この調査でトップになったのも、日本IBMだ。同誌では、
「98年に女性活用のための社長直轄の組織が発足し、数値目標を掲げて女性の活用に取り組んできた。その結果、発足当時は1.8%にすぎなかった女性管理職の比率が、いま12%に上昇。女性役員は1人から30人になった」
などと、同社の横顔を紹介している。
管理職の登用度に加えて、「ワークライフバランス度」「男女均等度」など、計4個の指標でいずれでも、日本IBMは高得点だったという。昨年からは米国本社から人事担当の女性専務が着任し、さらに女性活用を加速させているそうだ。
しかし、実態はどうなのか。そして、働いている社員たちの本音はどんなものなのだろうか。グループ企業なども含めた現場の様子を、キャリコネに寄せられた口コミから見ていこう。
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タテマエだけの「くるみん認定企業」を社員は疑問視
「出産・育児・介護などが発生した際に、今までと同じように働くことができると思いますか?」
この質問に対して、日本IBMソリューションサービスで働く29歳のシステムエンジニアの女性社員は、こう回答している。
「全く思わない。自社にいるごく一部の人間のみ。この会社の客先常駐SEでは残業が多すぎて無理」
また、親会社の社員のように立場も確立されていないため、子供を理由に残業を控えたり休んだりなども、とてもできる雰囲気ではないという。女性は暴露する。
「会社もわかっていて、『くるみん認定企業』などと、うたっている。出産・育児を迎える年代になると、退職かスタッフ部門に異動する女性ばかり」
くるみん認定とは、少子化対策として子育て支援に積極的に取り組む企業に対して「くるみんマーク」を受けている企業のこと。「次世代育成支援認定マーク」などとも呼ばれている。
「赤ちゃんを優しく包む(くるむ)」という意味があるらしいが、この女性社員は相当にいかがわしさを感じているようだ。
IBMビジネスコンサルティングサービスで働く20代後半のシステムコンサルタントの男性社員も言う。
「仕事面の社内的な雰囲気としては、単に『女性が優しくされる』という雰囲気ではない。『女性だろうが男性だろうが特別扱いをしない』に近い。女性であっても徹夜など平気だ、という方には問題ないでしょうが」
決して、女性に優しい企業ではない、という意見だ。
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制度は整っているが活用はできていない
日本IBMサービスでソフトウェア関連の仕事に就いている30代前半の女性社員の意見はこうだ。
「本体には、まあ、女性管理職も少なくはない。だが、その多くは独身女性また子供がいない女性であることが多い。もしくは子供がいても、あまり育児に重きを置いていない女性だ」
だから、いわゆる「仕事も家庭も」などと思っている女性は、実際は役職がついていないことが多いらしい。そんなことを言えば、
「肩たたきのターゲットにもなり得る」
と、この女性社員は警告している。
制度面についても、こう切り捨てている。
「女性に優しい企業の代表として、いろいろな制度が整っていることで有名な弊社。しかし、制度が整ってはいるが、業界事情(?!)でその制度を活用出来るかといったら、それは非常に難しい」
つまり、「制度がある」イコール「働きやすい企業」、というわけではないという意見だ。制度が活用できなければ、真に「働きやすい企業」ではないと訴える。
「子持ちの女性が、家庭と仕事を両立させるには、まだまだ状況が厳しすぎる」
そう、女性社員は内情を明かしている。
*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年6月末現在、45万社、18万件の口コミが登録されています。