一方で、今のところまだなくならない、と見られている職種もある。たとえば障害者や高齢者らを対象にした「Recreational Therapists(レクレーションセラピスト)」や、「Mental Health and Substance Abuse Social Workers(メンタルヘルスと薬物乱用者のソーシャルワーカー)」「Occupational Therapists(作業療法士)」といった対人相手で、細かい専門知識を要する職種が目立つ。
また、「First-Line Supervisors of Mechanics, Installers, and Repairers(最先端のメカニック、修理工)」という仕事も。凡庸なメカニックは生き残れないが、常に新しい知識を吸収しているメカニックならまだまだコンピューターには負けない、ということだろう。
IT化でアメリカの雇用の半分が消滅 あなたの仕事は大丈夫?
オックスフォード大学が、IT化により今後20年になくなると見られる職業一覧を発表し話題となっている。レポートのタイトルは「未来の雇用:コンピューター化は仕事にどれだけ影響を与えるか」。2013年秋に発表されたものだ。
現在のアメリカの雇用の半数近い47%が、今後20年のITの進化によって仕事を奪われる可能性が高いという。タイピストや電話交換手、写植屋など、技術の進歩で実際になくなった仕事は数多くあるが、今後も同じようなことが起こるそうだ。
消え行く仕事の第1位は「電話営業」というが…
レポートによると、物流や製造業だけでなく、その影響はサービス業にも及ぶ。事務や秘書、営業などのホワイトカラーもコンピューターに置き換えられるという。
将来的になくなる職業上位20を見ると、1位が「Telemarketer(電話営業)」。確かに最近は携帯電話の普及で、家に固定電話を置かない家もある。
ITで仕事を失うということは、自動音声や押しボタン応答に置き換えられるということだろう。ボーカロイドの音声も使われる可能性もある。
しかし本当に、ITで電話営業が務まるものなのだろうか。ネットにも「20年前から『電話営業は消えていくもの』って言われてた」という冷ややかな反応もある。
2位は「Title Examiners, Abstractors, and Searchers」。不動産の権原審査をする聞きなれない仕事だが、もともと高度な知識を要する仕事でもないようだ。3位は「Sewers, Hand(裁縫師)」。コンピューターミシンにできる仕事なら、なくなってしまいそうだ。
面白いところでは「Umpires, Referees, and Other Sports Officials(スポーツの審判)」というものも。すでに短距離走などは100分の1秒までコンピューターで計測されるが、野球のクロスプレーも同じように判断される時代が来るのかもしれない。
「今は存在していない職業」に就く子どもたち
このほか、「Data Entry Keyers(データ入力者)」「Library Technicians(図書館技術者)」「Tax Preparers(納税申告書作成業務)」「Watch Repairers(時計修理工)」などが挙がった。同じことを繰り返す単純作業や、機械相手の仕事がコンピューターに取って代わられる可能性が高いようだ。
一方で、今のところまだなくならない、と見られている職種もある。たとえば障害者や高齢者らを対象にした「Recreational Therapists(レクレーションセラピスト)」や、「Mental Health and Substance Abuse Social Workers(メンタルヘルスと薬物乱用者のソーシャルワーカー)」「Occupational Therapists(作業療法士)」といった対人相手で、細かい専門知識を要する職種が目立つ。
また、「First-Line Supervisors of Mechanics, Installers, and Repairers(最先端のメカニック、修理工)」という仕事も。凡庸なメカニックは生き残れないが、常に新しい知識を吸収しているメカニックならまだまだコンピューターには負けない、ということだろう。
こうして見ると、人類の進歩に合わせて仕事がどんどん減ってくるようにも思えるが、一方で新しい仕事も生まれてくるものだ。米デューク大学のキャシー・デビッドソン氏は、ニューヨーク・タイムズのインタビューで「2011年に入学した小学生の65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」と語っている。
とはいえ、すでに大人になっている人は、すでにある仕事に就くしかない。実際に働きながら、その仕事が将来なくなるリスクはないのか、なくなったときにスキルや経験を生かしてどうキャリアアップしていくべきなのかを、各自で考える必要がある時代なのだろう。
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