• 大学の2013年卒「就職率ランキング」 上位校の「就職予備校化」極まれり

    卒業後の就職先確保が問題になる昨今、大学選びに「就職率」が重要な要素となっている。そんな中、キャンパスナビネットワークを運営する大学通信では、各大学の就職率を集計し「大学ランキング」を出している。

    2013年の新卒大学生の就職率は、全国545大学の集計で79.0%(前年比2.9ポイント増)と回復基調だ。特に理系は84.1%と高く、文系は78.0%となっている。この内訳を見ると、大学が「就職予備校」のようになっているのが分かる。

    理系は「医薬」、文系は「福祉」一色

    理系では、トップが群馬パース大学・保健科学部で、就職率は100%だ。2位も甲南女子大学・看護リハビリテーション学部と医療分野が続く。その他、9位こそ岡山大学・環境理工学部だが、トップ10には7大学の「薬学部」が並ぶ。

    岡山大学以外の9大学に共通しているのは、「医療分野での人手不足」を背景とした「国家資格と結びついた医療系学部」ということである。

    厚労省の調査によると、2014年には約3万人の看護師が不足すると予測されている。薬剤師の求人件数も依然として多く、就職に関係する国家資格を取得できることを考えれば、学生としても安心して進学できるということなのだろう。

    理系に比べ就職率の悪い文系では、「社会福祉系」の学部が強い。1位が新潟医療福祉大学・社会福祉学部(99.2%)で、以下、福島平成大学・福祉健康学部(98.4%)、岩手県立大学・社会福祉学部(96.7%)、東京福祉大学・社会福祉学部(96.7%)と傾向は顕著だ。

    新潟医療福祉大学は、ホームページで「全国トップクラスの就職実績」を全面に打ち出している。この大学では各学科に就職委員を設置し、卒業研究ゼミの担当教員も国家試験や就職活動を積極的に指導している。

    この結果、同大学に寄せられる求人数は年々増え続け、2012年度には就職希望者数539人に対して、1万7000を超える求人が集まったそうだ。学生1人あたり32もの求人があるという、「とにかく就職したい!」という学生にはたまらない状況となっている。

    「年収」や「離職率」も考慮すべきでは?

    しかし、この就職率を額面通りに受け取るのは、少し危険な面もある。厚生労働省がまとめた民間給与実態統計(2012年)によると、医療・福祉分野の平均年収は378万円。難関とされる社会福祉士の年収も、業界団体の調査では57.2%が年収400万円未満だという。

    理系にしても、自治労連の調査によれば看護師の80.5%は「辞めたい」と回答している。薬剤師は現在、4年制から6年制への移行期であり、新卒学生が存在しない「空白の2年」があったために需要は高まっているが、これからは供給過多になるとの見方もある。

    ツイッターでは就職率ランキングに対して、こんな声も寄せられている。

    「最初に就職した会社に一生いるとは限らない時代だから、自分が強みにしたい分野を学べることも大切にして、就職率もある程度良いという選択が堅実そう」

    就職「成功率」を本格的に測定するなら、学生たちの3年後離職率の低さや、平均年収の高さも見るべきだ。とりあえず新卒後の就職先さえ確保できればよい、という発想だけで進学先を決めるリスクもある。

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