• 就活は「社会の不条理」学ぶ場なのか? 人事部ブログに「元ひきこもり」が反論

    下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、とばかりに、就活サイトで「大量のエントリー」をする学生が問題となっている。身の丈に合った会社を選んでいないために多くの挫折を生み、最終的に入社できた会社でもミスマッチが生じやすくなるためだ。

    このため、周囲の「エントリー煽り」に惑わされず、対象を絞り込む「ピンポイント就活」という考えが見直され始めている。しかしこの動きを、ある商社の人事部員のブログが待ったをかけた。多くの会社に挑戦することで得られるものがある、という理由からだ。

    「ピンポイント就活は危ない」というが

    リクルートが運営する「リクナビ2015」に、ある専門商社の人事担当者が「ピンポイントは危ない!!」というエントリーをアップしたのは、昨年12月のことだ。

    最近の学生は「実社会を知らない」と指摘し、就活でたくさんの企業を受験して落ちることで社会の「不条理」や「矛盾」を「身を持って経験して下さい」と推奨している。

    「内定は1つ決まればいい」という考えで、「ピンポイントでの会社選び」を選択すると、学生が実社会を知る「学習の場」が損なわれる。就活の過程で知らない業界や企業を訪ね、そこで働く社員の話を聞くことが、後々の成長につながるとする。

    確かに学生にとって就職活動は、一種の社会勉強だ。若いころに挫折を経験することは大事だという考えもあるだろう。同じ会社の人付き合いが中心になる入社前に、少しでも世の中を見ておくべきということだろう。

    一方、就職活動は自分の就職先を探すためのものであり、むやみに「不条理」や「矛盾」を味わう必要はない、という意見もある。就職氷河期の16年前に就活を経験した、はてなブロガーの街場マチ子さんは3月24日、自身の就活の成功の秘訣は「あらゆるポイントを絞ったこと」にあると振り返る。

    有名女子大に入学直後から徐々にひきこもり始め、後期から半年休学。復学後もひきこもりがちになり、情緒不安定で、大学のカウンセリングルームに通い続けた。それでも「ボロボロの成績とギリギリの単位数」で、何とか5年で卒業した。

    「これ以上何に傷つく必要があるのでしょうか?」

    学生としての活動が「壊滅的」だったので、就活で自分の売りを作るためにTOEICで850点をとることにした。そして、志望職種から志望企業を英語力の要求される「超大手メーカーのテクニカルライター」「大手英会社学校」などの4社に絞り込んだ。

    最終的には「ある業界の大手事務所」から内定をもらい、転職を経つつも現在まで同じ仕事を続けているという。街場さんは自身のやり方を「一人の落第生の実例」としながらも、就活生に対して「世間の就活ノウハウに乗せられるな」と強調する。

    前出の人事ブログに対しては、一般的には正しい就活観であるかもしれないし、サークルもバイトもゼミも楽しい「リア充」にはいいが、そうでない人は従う必要がないという。

    「幼い頃からスクールカーストで神経をすり減らし、FBやTwitterやLINEといった『オンライン実社会』で自分の立ち位置をイヤというほど認識している多くの疲れた就活生たちが、これ以上何に傷つく必要があるのでしょうか?」
    「無駄な努力で無駄に傷つかないよう、自分を見極め、相手を見極め、出来るだけ効率のよい就活をしましょう。皆がそうしているからといって、とりあえず何十社もエントリーする必要はありません」

    大量の企業に「一括エントリー」をしたものの、自分が何をしたいのか、よく分からなくなってしまった、という人は「最終的に自分が入社するのは1社だけ」ということを、今一度思い出した方がいいということだろう

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