施工管理 ~現場の管理者として作業全体を見守る~
仕事の役割 ~監督として現場を安全・円滑に動かす~
施工管理とは工事現場における施工過程を管理する仕事のことです。現場監督と呼ばれることもあり、現場で仕事をする職人や作業員たちを管理・監督しながら、安全かつスムーズに工事を進めていくのが主な役割です。工事現場の管理とひと口に言っても、土木施工管理、建築施工管理、電気工事施工管理などさまざま。工事によって求められる知識やスキルも違います。
現場監督としては全体の工程表通りに進んでいるのか、きちんと決められた手法で進められているかなど、細かいチェックをするのも仕事のひとつ。1日を通してやるべきことが多く、すべてをこなそうとすると1日では終わらないこともあります。また、実際の工事はゼネコンや下請けの業者が行うことが多いのですが、人の命にもかかわる仕事なのでその責任は重大です。
おおよその年収
平均年収は450万円~500万円。施工管理技士1級の資格を持っていると、年収も高くなる傾向があります。
求められる能力 ~管理者としてのリーダーシップと柔軟性~
現場の管理者として、作業工程や職人たちを指揮するリーダーシップが求められます。もちろんそのリーダーシップには、業務に関する知識・経験による裏付けも必要でしょう。必須ではありませんが、施工管理技士(土木施工管理技士や建築施工管理技士、電気工事施工管理技士など)という国家資格を取得すれば仕事の幅も広がり、信頼も得られます。資格がないと施工管理者になれないわけではありませんが、現場によっては資格が必要な場合もあります。
また年上の作業員や熟練の職人たちと共同作業を行う機会も多いので、どんな人たちともうまくコミュニケーションできる柔軟さが必要です。いかに円滑に工事を進められるかが腕の見せどころになり、多くのスタッフをまとめあげる力量が求められます。
向いている人柄 ~ガテン系&職人気質な人にも対応する柔軟性~
一般的に工事現場にはガテン系、職人気質な人たちが集まります。そのためどんな人とでもうまくコミュニケーションがとれて、協調性のある人が向いています。現場監督としての指導力が求められるのは確かですが、自分より経験の長いベテラン職人もいるので、周囲の意見も取り入れるくらいの度量の広さも必要です。普段はうまく人をまとめるコミュニケーション能力があり、ここぞという時には自分の意見を通せる決断力のある人が向いています。
仕事のやりがい ~バラバラだった作業現場が「一体化」する瞬間~
施工管理者は現場監督として、ひとつの現場をまとめていきます。現場がスタートした時点では作業員との意思疎通もままならず、バラバラなことも多いようです。しかし全員で共同作業を続けるうちに、歯車がかみ合うように現場に一体感が生まれます。この瞬間、施工管理者は大きなやりがいを感じられます。もちろん、建築物やダムやトンネルなど、完成物が出来上がったときの感動はひとしお。地図に残る仕事ですので、子どもたちにも誇れる仕事でしょう。
仕事の辛いところ ~夏も冬も現場に通い、労災のプレッシャーにも耐える~
施工管理者の仕事場は、基本的に外。真夏も真冬も、現場の責任者として気を抜くことはできません。朝早くから現場へ出かけ、暗くなってからもデスクワークが残っていたりすることも多く、監督としての重圧を感じることもあるでしょう。
休日でも現場でトラブルがあれば様子を見に行く必要がありますし、現場によっては泊まり込みになることもあります。また工事現場には労働災害がつきもの。人命に関わることもあるので、プレッシャーも相当ですが、そのような苦労を乗り越えて仕事を成し遂げることにやりがいがあるといえるでしょう。(ライター:二之形幸子)