建築士 ~建物をゼロから生み出すアーティスト~
仕事の役割 ~設計図を描き、完成まで見守る~
建築士は一級建築士と二級建築士、木造建築士の3種類あり、資格によって設計できる建物も違います。
- ●一級建築士…高層ビルから住宅までほとんどすべての建築物の設計・工事監理をすることができます
- ●二級建築士…建物の規模や用途、構造に制限がありますが、一般的な住宅であれば、二級建築士の資格でカバーできます
- ●木造建築士…規模に制限はありますが、木造1階または2階の建築物の設計・工事監理を行うことができます
これらの建築士は「建築法」に基づき、建築物の設計や工事の監理を行います。住宅をはじめ、店舗や大型ビル、公共の建築物などさまざまな建物の設計図を描くことが最大のミッションです。場合によっては、その設計図をもとに建築現場で施工完了までのチェックも行います。建設会社や住宅メーカーなどで働くことが多いのですが、個人で設計事務所を開いて活躍する人もいます。
おおよその年収
1級建築士は平均年収600万円、2級建築士と木造建築氏は、平均して年収300万~400万円程度と言われています。独立開業している建築士や地図に残るような大規模開発に関わるような有名建築士になると、年収数千万円以上も夢ではありません。
求められる能力 ~建物のイメージを具現化していく能力~
建築士は国家資格を取得した人しかできない職業です。まずはこの国家試験に合格することが必要です。試験は誰もが受けられるわけではなく、「学歴」と「実務経験」などの受験資格を満たす必要があります。その上で最低限必要なスキルは、建築の知識と図面作成能力です。図面作成能力は、プランニングスキルに加えて実際の図面の書き方も含まれます。近年では図面作成にはCADソフトのスキルが必須となっています。
建築士として成功できるか否かを分けるのが、顧客が持つ建築物のイメージやコンセプトを具現化して、自分のアイディアを盛り込みながら表現する能力です。単に好き勝手に図面を引くのではなく、建物の利用者のことや周辺環境との調和性、さらには予算などの制限も踏まえて、いかに顧客の思い描く建物像を具現化できるかが建築士の腕の見せ所でしょう。
向いている人柄 ~芸術的な感性と幅広い分野の知識を持つ人~
建築士には美的センスのある人が向いています。建築物をデザインするときは形・色・材料など、あらゆる面でセンスを求められます。美的センスを磨くため、多くの建築物を見る、美術館で絵画鑑賞するなど、向上心のある人が向いています。
ただし、単なるアーティストに終始するのではなく、顧客の意図や予算の制限とのバランスを取れるビジネス感覚も必要です。また、設計する構造物にどのような負荷がかかるのか、地震に強い建物はどういうものかなど、様々な切り口での研究も必要なので、物理や地学など幅広い分野に関心を持てる人が向いています。
仕事のやりがい ~世の中に残り続けるものを生み出す~
建築士が描いた図面は、職人たちの手によって実際に建物として作られていきます。頭の中のイメージでしかなかったデザインが、図になり、模型になり、やがてたくさんの人々と協力をして実際に形になるのは、とてもワクワクすることです。建物が完成したときには大きな感動を得られますし、良い建物であればあるほど、長い年月をかけて多くの人に愛される建物になります。建築士の仕事は、自分が死んでも世の中に残り続けるものを生み出す、やりがいのある仕事です。
仕事の辛いところ ~精神的にも肉体的にもタフでないと続かない~
ビジネスである以上、建築士にも「締め切り」があります。スムーズに進んでいるときは良いのですが、お客様に何度もやり直しを求められる場合や、良いアイディアが浮かばず、時間だけがかかってしまう場合があります。特に、納期前は精神的・肉体的に限界まで追い詰められながら、徹夜作業になることがあります。また、自分のアイディアと予算・法律の制限の間で板挟みになることもあるようです。精神的にも肉体的にもタフでないと続けていけません。(ライター:二之形幸子)