CADオペレーター ~設計図を正確に仕上げる職人~
仕事の役割 ~設計者の意図を正確に汲み取り、図面化する~
CADとは、パソコンでさまざまな設計図を描くソフトやシステムのことです。そのCADを使ってオペレーション業務を行なうのが、CADオペレーター。具体的な仕事内容は、設計者やデザイナーの指示に従い、設計図の調整・修正・仕上げまで行ないます。
例えば、ある建物をつくるとき、設計士などが最初に設計図を考えます。しかし、途中段階で壁の厚みを変えたり、レイアウトの変更をしたりなどの図面書き換えの作業が発生することも珍しくありません。こんなとき、いちいちゼロから設計図を修正していては手間がかかってしまいます。そこで、パソコン上で図面の調整や修正をするのが、CADオペレーターの仕事です。修正や調整がメインなので、設計などの高度な知識・技能が要求されることはあまりありません。大切なのは、設計者の指示を正確に捉えた図面を描けること。設計担当者がつくった設計図を、完成まで仕上げる職人といえるでしょう。
おおよその年収
設計士と違い、ゼロから設計図を書き起こすわけではありません。そのため、平均年収はあまり高くなく、350万円ほどと言われています。
求められる能力 ~CADを正確・的確に使いこなす技術~
未経験でもチャレンジできる仕事ですが、CADを使いこなす技術と、ある程度の設計・製図に関する知識は求められます。CADオペレーターに有利な資格は、3次元CAD利用技術者やCAD利用技術者、建築CADなど。これらを取得しておくと転職にも有利です。
特に、ものづくりエンジニアを求める業界では3DCADができると非常に有利で、転職の幅も広がるでしょう。また、CADオペレーターは正確さとスピードが求められます。設計士やデザイナーの指示を正確に捉え、丁寧で早い仕事が求められます。建築業界や自動車業界、アパレル業界など、さまざまな分野でCADが用いられていますので、転職の際には、自分が興味のある分野で仕事をしたほうが長続きするでしょう。
向いている人柄 ~指示・要望を的確にとらえることができるか~
CADオペレーターは、常にパソコン画面に向き合って仕事します。作業中は常に集中して仕事しなければいけないので、集中力のある人が向いています。また、CADオペレーターは設計者やデザイナーの指示や要望を受けて仕事をします。自分がやりたいことを前面に押し出すタイプよりも、指示内容を的確にとらえ、地道にコツコツできる人のほうが向いています。
仕事のやりがい ~自分が描いた設計図が形になっていく喜び~
建築、機械、アパレルなど、分野はさまざまですが、自分が手がけた設計図で建物や製品が出来上がっていくことこそ、この仕事の醍醐味です。実際に形になったのを見たときは、この上もない大きな喜びを実感できるでしょう。ものづくりが好きな人にとっては、毎日やりがいを感じながら働ける仕事です。また、職場環境もオフィスの中で座ってする仕事なので、落ち着いて仕事することができます。
仕事の辛いところ ~納期のプレッシャーと自己主張できない立場~
CADオペレーターには納期がつきものです。納期が近いと職場の雰囲気はピリピリし始め、残業が増えたりします。また、設計者ではなく、あくまでオペレーターという立場なので、「自分だったらこうするのに」という自己主張ができないことが、この仕事の葛藤でもあるでしょう。とはいえ、自分の仕事が形になったことをはっきりと実感できる、大きなやりがいのある仕事です。(ライター:二之形幸子)