測量士 ~土木建築で“測る”スペシャリスト~
仕事の役割 ~土地や建築物の形状を細かく測定する~
建築工事や高速道路、ダム、橋などの土木工事に着手する際、土地の位置や形状を正確に細かく測定することが義務付けられています。測量士は、この測定を担うスペシャリストです。測量計画を立て、現場の地形と建築予定の建物の位置関係を数量的に把握するのが測量士のおもな仕事になります。具体的には、建築工事の着工から竣工までの各施工段階において、建築物が正確に建築されているかどうかをチェックし、さまざまな計算書を作成します。現場に出向いて測量をおこない、会社に戻ってから測量結果をデータとしてまとめるなど、社内外で業務があります。また、所属する先としては、測量会社や建設会社、不動産会社があるほか、国家公務員として国土地理院に勤務する人もいます。
当たり前ですが、土木建築の工事は完成後にやり直しができません。そのため測量における測定のし忘れや計算ミスは絶対に許されませんので、慎重に何度もチェックする必要があります。最近では、測量士の世界もデジタル化が著しく、地理情報システムの利用が急速に進んでいます。几帳面さを要求される地道な仕事になりますが、自分の仕事が地図上に残る大変やりがいのある仕事です。
おおよその年収
平均年収はおよそ400万円~450万円です。専門知識と現場で測量を繰り返す体力が求められますが、仕事内容と比べてあまり高くないというのが現状です。
求められる能力 ~専門知識と体力、几帳面さ~
測量士は国家資格であり、測量士と名乗るためには国土地理院が実施する測量士試験に合格する必要があります。実際の業務では測量法という法律にのっとって測量をおこなうので、専門知識とスキルは必須と言えるでしょう。また、測量の際には計算ミスは絶対に許されませんので、几帳面さと正確さが大切です。
一方、測量では街中だけでなく、河川や山奥などに出向くこともあります。そのため、意外にも体力勝負な部分もあります。重い機材を担いで歩くこともあり、真夏や真冬、雨が降っていようと、仕事はありますので、体力と忍耐力がなければ勤まりません。また、測量の仕事はグループで行うことが多いので、コミュニケーション能力も大切です。一緒に作業する仲間同士で協力し合わなければいけないので、誰とでも意思疎通できることが大切です。また、土地の測量を効率よく安全に行うため、測量計画も欠かせません。必要となる人員の調整や機材の予約、運搬用の車の手配など、効率よくものごとが進める計画力が試されます。
向いている人柄 ~几帳面で正確に業務を遂行できること~
測量士の仕事は、少しの誤差も許されないので、几帳面で正確に仕事を進められる人が向いています。緻密な計算能力と繊細さ、手先の器用な人も向いているでしょう。さらに、現場では重い機材を持って、足場の悪い道を歩くことも多いので、体力も大切です。知識や計算力など、頭脳的なことばかりではなく、体育会系な部分も持ち合わせている人だと、測量士としてスムーズに活躍できるはずです。
仕事のやりがい ~高速道路やダムなど、地図に残る仕事に携われる~
測量士の仕事は、言ってみれば“測るだけ”です。一見地味なのですが、測量によって土木・建築の計画が決まり、やがては建築物、ダム、道路などが着工されます。地図に残る仕事であり、やりがいは非常に大きいでしょう。土木建設に対する初めの土地測量を行うので、責任感の大きい仕事ですが無事に終わったときのやりがいはひとしおです。
仕事の辛いところ ~悪天候でも山奥に出かける~
測量の仕事は外で行われることが大半です。足場の悪い山などが現場になることもありますし、真冬でも日差しのきつい真夏日でも仕事をしなければいけませんので、体力的にもきついことがたくさんあるでしょう。また、デジタル化が進んだとはいえ、最終的な測量データの取りまとめやチェックをおこなうのは人間の目です。細かな数値ミスも許されない緊張感は、測量士の仕事にとって負担になることもあるようです。(ライター:二之形幸子)