• ドコモのABCクッキング買収 「戦略不明」と疑問続々

    NTTドコモが大手料理教室を買収することが分かり、注目を集めている。同社は昨年、野菜の宅配サービスを行っている企業も買収しており、ネット上では「一体何を始めるんだ」といった疑問の声が出ている。

    報道によると、ドコモは全国で料理教室を展開しているABCクッキングスタジオを買収する。投資額は200億円になるという。

    「ドコモは何処に行きたいんだろう」

    25日の発表では、出資比率は51%で、出資時期は2014年1月の予定だ。発表文には、

    「料理・食事を主軸としたお客様のライフスタイルを豊かに便利にする取り組みを推進」

    とし、ドコモのモバイル・クラウド技術と、ABCの料理教室・コンテンツを融合させ、「リアルとデジタルを連携させた新たなサービス開発を推進」とある。

    ABCクッキングスタジオは1985年に、1店舗目となる料理教室を静岡県にオープン。現在、全国に約120の教室を持ち、社員・講師数は約2200人にもなる。

    自分の好きな時間に好きな場所で料理を勉強できる、という気軽さが20~30代の若い女性に支持され、生徒数は約30万人。国内最大級の料理教室だ。

    海外進出にも積極的で、この3年で中国の上海と北京にも教室を設立している。人気講師も多数在籍しており、オリジナルのレシピ本も出している。

    ドコモはABCの「コンテンツ力」に注目しているようで、買収後は料理教室でのICT活用や新たな料理レッスンスタイルの提供、さらにABCのレシピや料理動画をデジタルコンテンツとして配信していくという。

    音声通話料とデータ通信料以外の部分の収益を伸ばしていきたい方針で、今後さらにコンテンツの有料配信やネット通販の分野を拡充していくと見られている。

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    夏野剛氏もコメント「戦略不明。」

    これだけなら新しい分野を開拓するために異業種の企業を買収したというだけだが、ドコモは昨年、有機野菜の宅配サービスを行っている「らでぃっしゅぼーや」も買収している。そのため、「野菜の次は料理教室か!」などと話題になった。

    ネットには「この方針は大丈夫なのか」と不安視するものや、

    「メンズABC通ってるけど、ただ動画配信しても面白いのかな?知らないおっさんと不器用ながら一緒に作るのが楽しいんだが」

    といった声が挙がっている。

    元NTTドコモ執行役員でドワンゴ取締役の夏野剛氏も、今回の買収に触れて「戦略不明。」と意味深なコメントをツイッターに投稿。中には「クックパッドを買収すればいいのに」という意見もある。

    現在リストラが進行中と噂されるミクシィも、最近いくつかの会社を買収していた。事情通によれば、傾きかけた会社に接近するM&Aブローカーがおり、一か八かの賭けに出た経営者がつい手を出してしまうケースが少なくないという。NTTドコモも、なりふり構わぬ段階に突入したのだろうか。

    残念ながら「生え抜き」を重視する日本企業で、M&Aによるシナジーに成功したケースはあまり見られない。買収額もかなり高額なため、一般ユーザーからも「これじゃパケット代下がらんわ」といった声もあがる。事業の多角化よりも、利益を料金などで還元して欲しいところだろう。 

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