「ブラック企業大賞」間もなく発表 優勝候補ワタミをウェザーニューズと丸八真綿が追う 2012年7月17日 企業徹底研究 ツイート 労働法違反やパワハラなどが横行する最悪企業がどこかを選ぶという「ブラック企業大賞」。その企画委員会が、このほど厚生労働省記者クラブで記者会見して、ノミネート企業の10社を発表した。 この企画委員会は、労働組合「首都圏青年ユニオン」や市民グループ「レイバーネット」などの代表者で構成されている。 「ブラック企業で働く当事者は、不当な処遇を受けていても声をあげられる状況ではない。ブラック企業を生み出す背景や社会構造を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくりたい」 として、この企画を発足させ、ノミネート企業を選んだという。 選考の指標として挙げたのは、「長時間労働」「セクハラ・パワハラ」「いじめ」「長時間過密労働」「低賃金」など11項目。発表されたノミネート企業10社は、次の通りだ。 1.ワタミ 2.ウェザーニューズ 3.すき家 4.SHOP99 5.すかいらーく 6.フォーカスシステムズ 7.陸援隊およびハーヴェストツアー 8.丸八真綿 9.富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ 10.東京電力 確かに、いずれ劣らぬブラック度が濃厚な顔ぶれの企業ばかりだ。 現在、企画委員会では「ウェブ投票」を実施中している。途中経過が発表され、断トツで首位を独走中なのがワタミ。やっぱりというところだ。 ◇ 「残業」という言葉はNG、とにかく拘束時間が長い こうしたブラック企業については、キャリコネでも厳しく追及してきた。ワタミの問題点についてもたびたび指摘し、すき家やすかいらーくについても取り上げてきた。 それにしても、東京電力や陸援隊などは、こんな投票などしなくても無条件に「ブラック企業」と認定してよいはず。特別シートの当確席といったところのはずだ。 そこで今回の企業徹底研究では、こうした常連の“有名ブラック企業”ではなく、ノミネートされた、やや違う顔ぶれについて、スポットを当てていきたい。 まずは、ウェザーニューズ。天気予報を提供する気象情報会社だ。主催者によれば、ノミネートされた理由は次のようなことだという。 「2008年に新入社員(25歳)が入社後半年で過労自殺。予報士になることを小さい時から夢に見ていた社員が、「予選」と呼ばれる試用期間の研修や、上司からの叱責に耐えられず自殺するに至った」 当時の報道などによると、研修では、目標を達成できない社員に対して、 「君は何のために生きているの?」 「会社に迷い込んだのか?」 などと言葉で追い詰めたという。 労働時間が月200時間を超える月もあり、労基署が「長時間労働による過労自死」と認定した。 では、キャリコネに寄せられた社員たちの意見はどうだろか。20代後半の男性社員の証言は、見事なまでにそのブラックぶりを裏付けている。 「残業という言葉はNG。休日もしょっちゅう潰される。もちろん振り替えは当然ない。この場合の屁理屈は、『労働基準法は悪法だ。オレたちは好きで働いているんだ。法律に縛られてたまるか』。社長以下、課長クラスまでが口にする。それ以下は、どうやって次の仕事を探して辞めるか、そんな雰囲気の職場」 さすが法律に違反した会社だ。法人営業を担当する24歳の女性も、こう言っている。 「とにかく、拘束時間が長い。体を壊す人もしばしば。もちろん時間外手当はなく、アピール力や成果がないとずっと給料は同じ。下手をすれば正社員ではなくなることも」 やはり、とんでもない会社ようだ。 ◇ ハイプレッシャーの販売ノルマと100%の残業・休日出勤 丸八真綿もノミネートされた。理由は次の通りだ。 「高級布団の訪問販売を主力とする寝具の製造販売会社。『押し売り商法』『クーリングオフ妨害』などの消費者問題を業界全体として抱えている。会社分割制度を悪用して従業員を不当解雇した」 ここも、実態はどうだろう。ルートセールスを担当する20代前半の男性はこう証言する。 「訪問販売という時点で、すごく嫌われる。時にはピンポンを押しただけで怒られることも。また、営業なので数字が命! 毎日毎日上司に怒られ、朝も夜もひたすら歩きまわる。成績次第では休みも少ない」 20代後半の営業マネージャーの男性も、こう書き込んでいる。 「給料は歩合制。売り上げが悪くても最低限の賃金保障はあるが、上司からのプレッシャーは、とんでもない。残業・休日出勤は100%あると考えたほうがいい。そして、その分の賃金は0。実際、私自身、一度ももらったことはない」 これまた、ブラック企業としかいいようがない。 では、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリはどうか。20代前半のネットワークエンジニアの女性はこう言っている。 「チャレンジングな仕事を任せてくれると言えば聞こえがいいが、全くの未経験の作業を丸なげして、結果だけを求められることが多々ある。幹部職もサポートをする余裕がないほど、プロジェクトで手が回らない状況。組織全体として考えるべき問題だ」 「ブラック企業大賞2012」は、今回、初めての試みだ。ウェブ投票は7月27日まで受け付けるという。そして、7月28日、都内で受賞式とシンポジウムが開催される。 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年6月末現在、45万社、18万件の口コミが登録されています。
「ブラック企業大賞」間もなく発表 優勝候補ワタミをウェザーニューズと丸八真綿が追う
労働法違反やパワハラなどが横行する最悪企業がどこかを選ぶという「ブラック企業大賞」。その企画委員会が、このほど厚生労働省記者クラブで記者会見して、ノミネート企業の10社を発表した。
この企画委員会は、労働組合「首都圏青年ユニオン」や市民グループ「レイバーネット」などの代表者で構成されている。
「ブラック企業で働く当事者は、不当な処遇を受けていても声をあげられる状況ではない。ブラック企業を生み出す背景や社会構造を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくりたい」
として、この企画を発足させ、ノミネート企業を選んだという。
選考の指標として挙げたのは、「長時間労働」「セクハラ・パワハラ」「いじめ」「長時間過密労働」「低賃金」など11項目。発表されたノミネート企業10社は、次の通りだ。
1.ワタミ
2.ウェザーニューズ
3.すき家
4.SHOP99
5.すかいらーく
6.フォーカスシステムズ
7.陸援隊およびハーヴェストツアー
8.丸八真綿
9.富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ
10.東京電力
確かに、いずれ劣らぬブラック度が濃厚な顔ぶれの企業ばかりだ。
現在、企画委員会では「ウェブ投票」を実施中している。途中経過が発表され、断トツで首位を独走中なのがワタミ。やっぱりというところだ。
◇
「残業」という言葉はNG、とにかく拘束時間が長い
こうしたブラック企業については、キャリコネでも厳しく追及してきた。ワタミの問題点についてもたびたび指摘し、すき家やすかいらーくについても取り上げてきた。
それにしても、東京電力や陸援隊などは、こんな投票などしなくても無条件に「ブラック企業」と認定してよいはず。特別シートの当確席といったところのはずだ。
そこで今回の企業徹底研究では、こうした常連の“有名ブラック企業”ではなく、ノミネートされた、やや違う顔ぶれについて、スポットを当てていきたい。
まずは、ウェザーニューズ。天気予報を提供する気象情報会社だ。主催者によれば、ノミネートされた理由は次のようなことだという。
「2008年に新入社員(25歳)が入社後半年で過労自殺。予報士になることを小さい時から夢に見ていた社員が、「予選」と呼ばれる試用期間の研修や、上司からの叱責に耐えられず自殺するに至った」
当時の報道などによると、研修では、目標を達成できない社員に対して、
「君は何のために生きているの?」
「会社に迷い込んだのか?」
などと言葉で追い詰めたという。
労働時間が月200時間を超える月もあり、労基署が「長時間労働による過労自死」と認定した。
では、キャリコネに寄せられた社員たちの意見はどうだろか。20代後半の男性社員の証言は、見事なまでにそのブラックぶりを裏付けている。
「残業という言葉はNG。休日もしょっちゅう潰される。もちろん振り替えは当然ない。この場合の屁理屈は、『労働基準法は悪法だ。オレたちは好きで働いているんだ。法律に縛られてたまるか』。社長以下、課長クラスまでが口にする。それ以下は、どうやって次の仕事を探して辞めるか、そんな雰囲気の職場」
さすが法律に違反した会社だ。法人営業を担当する24歳の女性も、こう言っている。
「とにかく、拘束時間が長い。体を壊す人もしばしば。もちろん時間外手当はなく、アピール力や成果がないとずっと給料は同じ。下手をすれば正社員ではなくなることも」
やはり、とんでもない会社ようだ。
◇
ハイプレッシャーの販売ノルマと100%の残業・休日出勤
丸八真綿もノミネートされた。理由は次の通りだ。
「高級布団の訪問販売を主力とする寝具の製造販売会社。『押し売り商法』『クーリングオフ妨害』などの消費者問題を業界全体として抱えている。会社分割制度を悪用して従業員を不当解雇した」
ここも、実態はどうだろう。ルートセールスを担当する20代前半の男性はこう証言する。
「訪問販売という時点で、すごく嫌われる。時にはピンポンを押しただけで怒られることも。また、営業なので数字が命! 毎日毎日上司に怒られ、朝も夜もひたすら歩きまわる。成績次第では休みも少ない」
20代後半の営業マネージャーの男性も、こう書き込んでいる。
「給料は歩合制。売り上げが悪くても最低限の賃金保障はあるが、上司からのプレッシャーは、とんでもない。残業・休日出勤は100%あると考えたほうがいい。そして、その分の賃金は0。実際、私自身、一度ももらったことはない」
これまた、ブラック企業としかいいようがない。
では、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリはどうか。20代前半のネットワークエンジニアの女性はこう言っている。
「チャレンジングな仕事を任せてくれると言えば聞こえがいいが、全くの未経験の作業を丸なげして、結果だけを求められることが多々ある。幹部職もサポートをする余裕がないほど、プロジェクトで手が回らない状況。組織全体として考えるべき問題だ」
「ブラック企業大賞2012」は、今回、初めての試みだ。ウェブ投票は7月27日まで受け付けるという。そして、7月28日、都内で受賞式とシンポジウムが開催される。
*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年6月末現在、45万社、18万件の口コミが登録されています。