眼鏡店チェーン業界 低価格に次ぐ一手で生き残るのはどこだ!? 2013年3月12日 企業徹底研究 ツイート 春は進入学・入社のシーズン。新学期を前に眼鏡を新調する学生、眼鏡を作り直す新社会人などが来店して、どの眼鏡店も書き入れ時だ。 かつての駅前商店街には「時計・眼鏡・宝飾品」を一緒に売る店が多かったが、今はレンズもフレームも豊富な品揃えを誇る専門の眼鏡店チェーンが圧倒的なシェアを占めており、多くの人が利用する。日本の眼鏡人口は6000万人以上。老眼鏡も含めると「日本人のほぼ半数が一生に一度は眼鏡をつくる」と言われるが、それでも眼鏡の市場規模は2001~10年の10年間で、約3割も縮小してしまった。 市場規模の縮小は、日本人の視力が良くなり眼鏡不要の人が増えたからでも、少子化のせいでもない。むしろ、高齢化の進行で老眼鏡の販売個数は伸びている。 縮小の理由は眼鏡の値段が安くなったからで、レンズ、フレーム込みの眼鏡一式の単価は直近ピークの04年は約3万円だったが、10年には2万5000円台まで低下している(全国平均)。チェーンによっては一式の平均単価が1万円を切っているところもある。こうなった理由には経済のデフレ化もあるが、眼鏡チェーンが乱立し安売り競争が激化したこととも大いに関係しているようだ。 ◇ チェーン同士が、縮小するパイを奪い合う構図 現在、眼鏡店業界は、最大手の「5大チェーン」がしのぎを削っており、これ以外にも「和真メガネ」や、北海道中心の「富士メガネ」、仙台中心の「弐萬圓堂」、関東ローカルの「メガネドラッグ」、中京圏中心の「キクチメガネ」、広島中心の「愛情メガネのタナカ」「メガネ21」、九州ローカルの「メガネのヨネザワ」などの地場チェーンがひしめいている状況だ。 5大チェーンは全て上場企業。決算月は異なるが、5期前の売上高は三城ホールディングス(HD)、メガネトップ、メガネスーパー、愛眼、ジェイアイエヌの順だった。メガネトップが三城HDから首位を奪い、“眼鏡業界のユニクロ”と呼ばれるジェイアイエヌが売上高3.6倍と大きく躍進した一方、古参のメガネスーパー、愛眼が売上高を減らして、順位は大きく変動している。リーマンショック後の5年間で眼鏡店チェーンの業界地図は大きく変動した。 ◇ 社員が夢を見られるのは、業績が右肩上がりのチェーンだけ 気になる眼鏡店チェーンの社員の報酬はどうか。小売業で、ましてや市場規模が長期低落の傾向だけに、業界内の順位がどうであろうと期待はできないようだ。 「給与は、店長にならない限り昇給は難しい。残業代がないと生活が苦しい。給与体系が何回か大幅に変更しておりそれにあわせて生活スタイルも変えていかないといけなくなることも。全国展開していて店舗数も多いが40歳前後の人材も多く店長になるのも難しくなっている。不採算店舗を閉鎖していってることもある」(三城HD、40代前半の男性社員、年収360万円) 「給料も、ほとんどあがらず、ボーナスも無いときもありました。自分では頑張ったと思うのですが」(メガネスーパー、30代後半の女性社員、年収350万円) それでも社員は頑張る。しかし、その頑張りが、正当な評価と昇進というかたちで報われるかどうかは別問題のようだ。 「どんなに頑張っても店長、ブロック長のご機嫌を損ねると簡単に飛ばされます。また仕事以外の雑務が多く、なんのためにここで働いているのか分からなくなるときがあります」(メガネトップ、20代前半の女性社員) 「顧客第一主義とかかげながらも、とにかく行け行けでがんがん売る人間が重宝されるかな。もちろん民間企業なので利益を残さないと会社はつぶれちゃうからね」(三城HD、30代後半の男性社員) 昔は栄えたものの今や減収や減益で苦しむ会社では、数字を残した者だけが偉いという風潮に過度に染まり、社員も目先の数字にしか目が行かなくなる。やがて、ギスギスした社風になり企業倫理も低下する。同じ市場環境でも、営業成績以外の良い部分もちゃんと評価して、複線的なキャリアを用意している会社は、まだましだ。 「店長からマネージャーへと『エリアを統括していく』コースと社員を販売・検査・加工部門で教育して行く『社内インストラクター』に分かれるタイプと2種類に分かれ、いずれも誰にもチャンスがあり、本人がやるかやらないか、である」(メガネスーパー、30代前半の男性社員) さて、三城HDの社風は、「パリミキ」という優雅な店名とは裏腹にどうやら「体育会系」のようだ。 「配属先によって異なりますが、上下関係ははっきりしています。開店前の掃除は一番下が一人でやり、先輩たちは開店10分前に来るという感じです」(三城HD、20代前半の女性社員) 新人の扱いにおいては「フランス外人部隊」的な側面もあるようだ。一方のメガネスーパーはというと、多少のゆるさも見られる。 「職場はほぼ和気あいあいとしていたが、一日の来客数がゼロの店舗もあり、憂鬱(ゆううつ)になることもしばしば。店長次第では営業中に雑誌を読んだり、携帯をいじってもOKなので自由といえば自由」(メガネスーパー、20代後半の男性社員) 職場の雰囲気はピリピリした体育会系がいいか、和気あいあいなのがいいか。それは人によって違うだろうが、入社する前はなかなか分からないものだ。 業界一番の成長株として、株式市場でも注目のジェイアイエヌの社員はどうだろうか? 「まだ成長途中の企業だが、その成長の勢いのしわ寄せが、すべて末端社員にくる。顧客への手厚いサービスの徹底をうたっておきながら、仕事に対するスピードが要求される点に矛盾を感じる。客と本社間の板挟み状態で悲鳴を上げている社員も多い。また、仕事量に見合わない報酬である」(ジェイアイエヌ、20代後半の男性契約社員) と嘆きながらも、この社員は、他面で、勢いのある会社に勤めていると、街中で自社のブランドの眼鏡を掛けている人を見る機会が増え、自分の成長に合わせて企業も大きくなる実感があり、非常にやりがいを感じるとも言っている。右肩上がりの会社の社員は、たとえささやかでも夢を見ることができそうだ。 ◇ 低価格競争の次にくるものは何なのか? 黒船の来航が、幕藩体制を突き崩し明治維新をもたらしたように、安定調和だった世界を変革するのはいつも、外部からの強い刺激であり、眼鏡店業界もそうだった。 01年、東京・下北沢にインターメスティック社の「Zoff(ゾフ)」1号店が開店し、レンズ・フレーム一式の価格を「5000円」「7000円」「9000円」と3段階に集約した「スリープライス」のシステムが、「安い」「わかりやすい」と若者層を中心に支持され、ブームを巻き起こした。 Zoffは、レンズが韓国製、フレームが中国製という、現在主流になっている海外調達型のさきがけだったが、品質に難があるなどしてブームは長続きしなかった。 その後、業界を変革したスリープライスのスタイルを受け継いだまま、商品は国内自社で企画、製造は韓国や中国という、ユニクロのようなSPA(製販一体化)企業であるジェイアイエヌの「JINS(ジンズ)」が台頭、眼鏡の低下価格市場を牽引している。 しかし、国産品が主体のショップにおいても、レンズとフレームの一式価格表示が常識化し、1万8900円均一のメガネトップの「眼鏡市場」、2万円均一の仙台の「弐萬圓堂」のようなワンプライスショップも出現している。なお、「眼鏡市場」はその後、1万5750円と1万8900円とのツープライスに落ち着いている。 こうしたトレンドにうまく乗り、ジェイアイエヌは急成長、メガネトップも増収増益で業界首位に立ったが、光あるところには陰もある。 スリープライス路線で一時期JINSと張り合った東京の「メガネバスター」は今や閉店、休業が相次いでおりかつての見る影もない。「弐萬圓堂」は東日本大震災で本店はじめ多くの店舗が被災し、東北以外の店舗を大量整理して出直しを図っている。時流に乗った売り方でも、生き残れるかどうかはまた別なのが、この業界の厳しさだ。 「もう、低価格化は行き着くところまで行った」と言われる中、眼鏡店チェーンは今後、どこへ向かうのか。価格の上乗せがもはや難しいとなると「数を売る」しかないが、日本の人口は減少の一途をたどっている。利用者約6000万人という眼鏡市場で、1人の顧客に複数の眼鏡を買ってもらえるような商品企画や販促の戦略を行う他はなさそうだ。 たとえば、会社員をターゲットにするのであれば、オン・ビジネスとオフ・ビジネスに分け、さらにオフ・ビジネスの中でも日常の外出、ジョギング、ゴルフ場、ナイトライフというように、シチュエーションやライフスタイルに応じて眼鏡を使い分けてもらう。腕時計がそうだったように、眼鏡も1人でいくつも買って持つようになれば、市場規模も下げ止まり上向きに転じる目はある。 これを実現するには、現在の価格水準のまま、多様な魅力的なフレームをデザインできる企画力と、高屈折極薄型遠近両用レンズ、液晶スクリーン用プロテクト眼鏡、フレームの軽量化、弾性強化といった用途に応じた使用を可能にする技術力の双方が必要であり、付加価値の高い商品を開発できる体制の構築が急務だ。 これまでのように「量販キャンペーン対象品でとにかく数字を出せ」という売り方では、「またやってるな」と消費者に見透かされるだけ。消費者は「とにかく安く」と言っているように見えても、実は、付加価値の高い製品には金を出す。最近、ジェイアイエヌでは「エア・フレーム」、メガネトップでは「フリー・フィット」という軽量フレームの新製品がヒットした。これらのヒット中に、低価格競争の次にくるもののヒントがありそうだ。
眼鏡店チェーン業界 低価格に次ぐ一手で生き残るのはどこだ!?
春は進入学・入社のシーズン。新学期を前に眼鏡を新調する学生、眼鏡を作り直す新社会人などが来店して、どの眼鏡店も書き入れ時だ。
かつての駅前商店街には「時計・眼鏡・宝飾品」を一緒に売る店が多かったが、今はレンズもフレームも豊富な品揃えを誇る専門の眼鏡店チェーンが圧倒的なシェアを占めており、多くの人が利用する。日本の眼鏡人口は6000万人以上。老眼鏡も含めると「日本人のほぼ半数が一生に一度は眼鏡をつくる」と言われるが、それでも眼鏡の市場規模は2001~10年の10年間で、約3割も縮小してしまった。
市場規模の縮小は、日本人の視力が良くなり眼鏡不要の人が増えたからでも、少子化のせいでもない。むしろ、高齢化の進行で老眼鏡の販売個数は伸びている。
縮小の理由は眼鏡の値段が安くなったからで、レンズ、フレーム込みの眼鏡一式の単価は直近ピークの04年は約3万円だったが、10年には2万5000円台まで低下している(全国平均)。チェーンによっては一式の平均単価が1万円を切っているところもある。こうなった理由には経済のデフレ化もあるが、眼鏡チェーンが乱立し安売り競争が激化したこととも大いに関係しているようだ。
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チェーン同士が、縮小するパイを奪い合う構図
現在、眼鏡店業界は、最大手の「5大チェーン」がしのぎを削っており、これ以外にも「和真メガネ」や、北海道中心の「富士メガネ」、仙台中心の「弐萬圓堂」、関東ローカルの「メガネドラッグ」、中京圏中心の「キクチメガネ」、広島中心の「愛情メガネのタナカ」「メガネ21」、九州ローカルの「メガネのヨネザワ」などの地場チェーンがひしめいている状況だ。
5大チェーンは全て上場企業。決算月は異なるが、5期前の売上高は三城ホールディングス(HD)、メガネトップ、メガネスーパー、愛眼、ジェイアイエヌの順だった。メガネトップが三城HDから首位を奪い、“眼鏡業界のユニクロ”と呼ばれるジェイアイエヌが売上高3.6倍と大きく躍進した一方、古参のメガネスーパー、愛眼が売上高を減らして、順位は大きく変動している。リーマンショック後の5年間で眼鏡店チェーンの業界地図は大きく変動した。
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社員が夢を見られるのは、業績が右肩上がりのチェーンだけ
気になる眼鏡店チェーンの社員の報酬はどうか。小売業で、ましてや市場規模が長期低落の傾向だけに、業界内の順位がどうであろうと期待はできないようだ。
「給与は、店長にならない限り昇給は難しい。残業代がないと生活が苦しい。給与体系が何回か大幅に変更しておりそれにあわせて生活スタイルも変えていかないといけなくなることも。全国展開していて店舗数も多いが40歳前後の人材も多く店長になるのも難しくなっている。不採算店舗を閉鎖していってることもある」(三城HD、40代前半の男性社員、年収360万円)
「給料も、ほとんどあがらず、ボーナスも無いときもありました。自分では頑張ったと思うのですが」(メガネスーパー、30代後半の女性社員、年収350万円)
それでも社員は頑張る。しかし、その頑張りが、正当な評価と昇進というかたちで報われるかどうかは別問題のようだ。
「どんなに頑張っても店長、ブロック長のご機嫌を損ねると簡単に飛ばされます。また仕事以外の雑務が多く、なんのためにここで働いているのか分からなくなるときがあります」(メガネトップ、20代前半の女性社員)
「顧客第一主義とかかげながらも、とにかく行け行けでがんがん売る人間が重宝されるかな。もちろん民間企業なので利益を残さないと会社はつぶれちゃうからね」(三城HD、30代後半の男性社員)
昔は栄えたものの今や減収や減益で苦しむ会社では、数字を残した者だけが偉いという風潮に過度に染まり、社員も目先の数字にしか目が行かなくなる。やがて、ギスギスした社風になり企業倫理も低下する。同じ市場環境でも、営業成績以外の良い部分もちゃんと評価して、複線的なキャリアを用意している会社は、まだましだ。
「店長からマネージャーへと『エリアを統括していく』コースと社員を販売・検査・加工部門で教育して行く『社内インストラクター』に分かれるタイプと2種類に分かれ、いずれも誰にもチャンスがあり、本人がやるかやらないか、である」(メガネスーパー、30代前半の男性社員)
さて、三城HDの社風は、「パリミキ」という優雅な店名とは裏腹にどうやら「体育会系」のようだ。
「配属先によって異なりますが、上下関係ははっきりしています。開店前の掃除は一番下が一人でやり、先輩たちは開店10分前に来るという感じです」(三城HD、20代前半の女性社員)
新人の扱いにおいては「フランス外人部隊」的な側面もあるようだ。一方のメガネスーパーはというと、多少のゆるさも見られる。
「職場はほぼ和気あいあいとしていたが、一日の来客数がゼロの店舗もあり、憂鬱(ゆううつ)になることもしばしば。店長次第では営業中に雑誌を読んだり、携帯をいじってもOKなので自由といえば自由」(メガネスーパー、20代後半の男性社員)
職場の雰囲気はピリピリした体育会系がいいか、和気あいあいなのがいいか。それは人によって違うだろうが、入社する前はなかなか分からないものだ。
業界一番の成長株として、株式市場でも注目のジェイアイエヌの社員はどうだろうか?
「まだ成長途中の企業だが、その成長の勢いのしわ寄せが、すべて末端社員にくる。顧客への手厚いサービスの徹底をうたっておきながら、仕事に対するスピードが要求される点に矛盾を感じる。客と本社間の板挟み状態で悲鳴を上げている社員も多い。また、仕事量に見合わない報酬である」(ジェイアイエヌ、20代後半の男性契約社員)
と嘆きながらも、この社員は、他面で、勢いのある会社に勤めていると、街中で自社のブランドの眼鏡を掛けている人を見る機会が増え、自分の成長に合わせて企業も大きくなる実感があり、非常にやりがいを感じるとも言っている。右肩上がりの会社の社員は、たとえささやかでも夢を見ることができそうだ。
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低価格競争の次にくるものは何なのか?
黒船の来航が、幕藩体制を突き崩し明治維新をもたらしたように、安定調和だった世界を変革するのはいつも、外部からの強い刺激であり、眼鏡店業界もそうだった。
01年、東京・下北沢にインターメスティック社の「Zoff(ゾフ)」1号店が開店し、レンズ・フレーム一式の価格を「5000円」「7000円」「9000円」と3段階に集約した「スリープライス」のシステムが、「安い」「わかりやすい」と若者層を中心に支持され、ブームを巻き起こした。
Zoffは、レンズが韓国製、フレームが中国製という、現在主流になっている海外調達型のさきがけだったが、品質に難があるなどしてブームは長続きしなかった。
その後、業界を変革したスリープライスのスタイルを受け継いだまま、商品は国内自社で企画、製造は韓国や中国という、ユニクロのようなSPA(製販一体化)企業であるジェイアイエヌの「JINS(ジンズ)」が台頭、眼鏡の低下価格市場を牽引している。
しかし、国産品が主体のショップにおいても、レンズとフレームの一式価格表示が常識化し、1万8900円均一のメガネトップの「眼鏡市場」、2万円均一の仙台の「弐萬圓堂」のようなワンプライスショップも出現している。なお、「眼鏡市場」はその後、1万5750円と1万8900円とのツープライスに落ち着いている。
こうしたトレンドにうまく乗り、ジェイアイエヌは急成長、メガネトップも増収増益で業界首位に立ったが、光あるところには陰もある。
スリープライス路線で一時期JINSと張り合った東京の「メガネバスター」は今や閉店、休業が相次いでおりかつての見る影もない。「弐萬圓堂」は東日本大震災で本店はじめ多くの店舗が被災し、東北以外の店舗を大量整理して出直しを図っている。時流に乗った売り方でも、生き残れるかどうかはまた別なのが、この業界の厳しさだ。
「もう、低価格化は行き着くところまで行った」と言われる中、眼鏡店チェーンは今後、どこへ向かうのか。価格の上乗せがもはや難しいとなると「数を売る」しかないが、日本の人口は減少の一途をたどっている。利用者約6000万人という眼鏡市場で、1人の顧客に複数の眼鏡を買ってもらえるような商品企画や販促の戦略を行う他はなさそうだ。
たとえば、会社員をターゲットにするのであれば、オン・ビジネスとオフ・ビジネスに分け、さらにオフ・ビジネスの中でも日常の外出、ジョギング、ゴルフ場、ナイトライフというように、シチュエーションやライフスタイルに応じて眼鏡を使い分けてもらう。腕時計がそうだったように、眼鏡も1人でいくつも買って持つようになれば、市場規模も下げ止まり上向きに転じる目はある。
これを実現するには、現在の価格水準のまま、多様な魅力的なフレームをデザインできる企画力と、高屈折極薄型遠近両用レンズ、液晶スクリーン用プロテクト眼鏡、フレームの軽量化、弾性強化といった用途に応じた使用を可能にする技術力の双方が必要であり、付加価値の高い商品を開発できる体制の構築が急務だ。
これまでのように「量販キャンペーン対象品でとにかく数字を出せ」という売り方では、「またやってるな」と消費者に見透かされるだけ。消費者は「とにかく安く」と言っているように見えても、実は、付加価値の高い製品には金を出す。最近、ジェイアイエヌでは「エア・フレーム」、メガネトップでは「フリー・フィット」という軽量フレームの新製品がヒットした。これらのヒット中に、低価格競争の次にくるもののヒントがありそうだ。