株式会社デンソーの人事制度
ほぼ全員が昇進昇給する余裕の賃金体系。全世界の自動車部品を作るデンソーの、揺るぎない高年収体質2011年9月14日
デンソーといえば、言わずと知れた世界トップの自動車部品サプライヤー。トヨタ自動車から分離独立して、日本電装株式会社を設立したのが、1949年。当時はトヨタグループの色合いが強かったが、いまでは国内外のほとんどの自動車会社へ部品を供給。むしろ「デンソーがなければ自動車は作れない」と世界各国の自動車メーカーに言わしめるほどの存在感を醸し出している。
現在は、愛知県刈谷市に本社を構え、世界30以上の国と地域で事業を展開し、抱える従業員はグループ全体で12万3165人、単独でも3万8318名(2011年3月31日現在)。2010年度の連結売上高は3兆1315億円、単独1兆9457億円という、まさに“モンスター”企業だ。
このように、グローバルな事業展開で活躍するデンソーだが、どういった人事・報酬制度を構築しているのだろうか。その実態に迫ってみよう。
I 等級と年収
デンソーでは、初級担当職のT2から理事クラスのM0まで、勤続年数やスキル・実績に応じた「職能資格」と呼ばれる等級制度があり、全社員にそれが当てはめられる。
なお、高卒で工場勤務の技能系職社員はT2から始まり、大学学卒/院卒の事務系社員は中堅担当職のJ2から始めるのが一般的。それぞれの等級を一般的な企業の役職に当てはめたのが表1である。
デンソーでは初級担当職のT2~1、中堅担当職のJ2~1、指導専門職のS3~1までが般社員扱いで、マネジメント職のM3以上が管理職(担当課長以上)に該当する。
なお、2009年度におけるデンソー本体の常勤社員数は役員も含めて4万1498人だったが、その内訳は、一般社員2万4475人、M3以上の役職者1万6926人、役員16名。
こうみると、全社員における役職者の割合が約40%と高い水準であることがわかる。
すなわちデンソーでは勤続年数が長くなるほど、多くの社員が課長職相当のM3までは昇進できるということが推測できる。
デンソーの標準的な給与モデルは表2の通りである。
大学学卒22歳であれば、等級はJ2からスタート。初年度の年収は推定で約430万円だ。これが勤続年数と等級に応じて昇給が行われて、40歳の時点でS1になっていれば、約940万円。
M3の課長職相当以上になると、1000万円プレイヤーになり、M2(室長)クラスだと、1300~1400万円、M1(部長)クラスは、1400~1500万円と、かなりの高給取りで、世界クラスの自動車部品サプライヤーの面目躍如といったところだ。
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