株式会社帝国データバンクの人事制度
企業信用調査の代表格『帝国データバンク』離職率20%の調査員の過酷な現実とは2009年12月14日
1990年(明治33年)に前身となる「帝国興信所」を創業し、今日まで我が国における企業信用調査事業のパイオニアとしてその名をとどろかす「帝国データバンク」。主な事業は企業調査、コンサルティング&マーケティング、電子認証や自社情報公開・PRにおけるサポート業務、「会社年鑑」や「帝国ニュース」など出版業務も手掛けており、2010年9月期の売上高は455億円。未曾有の不景気もモノともしない盤石な経営基盤で事業を拡大しつつ、収益も確保している優良企業だ。
創業者の後藤武夫氏は当時、世間でまだ認められていない信用調査事業を始めることについて、「ハイリスクだ」と周囲から諌められたそうだが、己の信念を貫いて、まい進。日露戦争後の好景気による起業ブームに後押しされ調査依頼が増え、いまの地位を築くことになった。
現在の社長は、創業者一族の後藤信夫氏。全国83ヶ所の事業所、従業員3300名を抱えている。まさに、国内随一の企業信用調査企業で、一般的なイメージも良好だと思われる。しかも高収益となれば、非の打ちどころがない。しかしながら、この国内トップの企業信用調査会社の人事制度について迫ってみたところ、見えてきたのは、そういったイメージとのギャップ。なんとも、前時代的な業務プロセスやキャリアパスの実態だった。
I 報酬
帝国データバンクでは、職域に応じた等級賃金に年齢が考慮され、報酬が決定する。それを図にまとめると、「表1」のようになる。
一般社員はチーフリーダーまでで、ミドルマネージャーが課長職に相当し、これ以上が管理職扱い。3300名の従業員のうち、メンバー、チーフメンバーで約35%、サブリーダー、チーフリーダーが約45%、残り20%が管理職以上という構成になっている。なお、役員の選出については、既存役員からの承認が必要で、実質的は創業者一族が多数を占めているといわれている。
給与については、各等級で金額が重複しているのは、営業職にインセンティブが発生するため。企業信用調査というジャンルは国内に少ないが、全体的な水準としては高い印象だ。帝国データバンクは上場していないものの、国内優良企業と同水準といって差し支えないだろう。これまでにも、35歳でミドルマネージャーに出世した社員がいたそうだが、推定年収は1000万円。その意見も納得できるというものだ。
ログインをして続きを読む