パナソニックホールディングス株式会社の人事制度
効率化と若返りを図るパナソニック。年功序列を実力主義に変換する人事制度の実態をみる2009年12月14日
2009年3月連結決算は3800億円の赤字で、2002年以来の大赤字となった。2002年は「創造と破壊」による中村改革によってV字回復を果たしたパナソニックだが、今回打つべき手はどこにあるだろうか。今年10月に2010年3月期の連結業績予想を上方修正し、従来予想から550億円分の赤字幅を縮小した。
「商人に好況、不況は無い。何れにしても儲けなくてはならぬ」と言った松下幸之助の言葉を実現するため、不況を生き抜く営業・製品戦略が打ち出されている。若手起用を念頭に置いた人事制度の転換は、戦略を後押しできているのか、それが今注目されている。
Ⅰ 資格と年収
パナソニックには、資格と呼ばれる等級がある。この資格区分には、主事・参事・理事・参与の4つがあり、その中にもさらに号とよばれる小等級分類が存在する。
まず新卒で入社をすると、2年間未格付の状態とされ、この期間はひたすら仕事を覚えることを期待される。この間の評価は賞与には全く影響しない。そして3年目はB4、4年目にはB5というグレードに所属し、この期間は評価は賞与額に反映される。ただこの時点ではB4、B5ともにまだ資格はなく、4年目のB5グレードの社員が主事候補とされる。
その後、早い人は27、28歳ぐらいで主事になることができるわけだが、主事になれる人数が決まっているため、評価され人事から目をかけられていないとすぐにはなれない。誰が主事になるのかを決める方法については、Ⅲにて後述する。
パナソニックでは、主事までが非管理職で、参事以上が管理職となる。主事は最初の資格ではあるが、一般企業の主任よりもレベルが高く、クラスとしては係長から課長代理くらいだという。
主事になるまでの期間の年収レンジは300万円(新卒初年度の年収、ボーナスは1回)から500万円。主事になると500万円から...
ログインをして続きを読む