株式会社ワークスアプリケーションズの人事制度
優秀な人材しかいらない。CEOのポリシーが採用から評価運用まで徹底する、厳しいけれど働きやすい会社2012年1月19日
ワークスアプリケーションズ(本社:東京都港区)は、1996年7月に設立された大手企業向けERPパッケージシステムメーカー。人事、会計、営業支援、販売管理などのERPパッケージ「COMPANY」の開発・販売・サポートを手がける。あらかじめあらゆる機能がビルトインされているので、カスタマイズの必要がなく、ごく短期間で導入可能という特性をもつ。また、永続的な無償バージョンアップや、運用をストップさせないサポートなどのサービスも特徴的。
こうした要因で、最初にリリースされた人事・給与版は、年商1000億円以上の企業向け人事給与ソリューションライセンス売上高で55.3%とトップシェアを誇る(同社ホームページより)。
設立以来14期連続で増収増益を果たし、2010年6月期は売上高209億8856万円、従業員数2220名。ただし、2009年度以降の業績の伸びは鈍化している。おそらく、リーマン・ショックによる不況が原因であろうと思われる。
I 優秀な人材を確実に選別・獲得するための新卒採用法
同社の創業者であり代表取締役CEOの牧野正幸氏は、「採用が最重要」との認識を持ち、同社設立以来、優秀な人材の採用にこだわり続けてきた。優秀な人材とは、次のように定義される。
「ゼロからものをつくり出せる人、新しい価値を生み出す力のある人を、私たちはクリティカルワーカーと呼んでいます。ロジカル・シンキング(論理的思考力)とクリエイティブ・シンキング(発想転換力)とを兼ね備えた、問題解決能力の高い人材です」(同社ホームページより)
そこで、新卒採用においては、早くから「問題解決能力発掘インターンシップ」と名づけられた10日間のインターンシップを行っている。条件は「学年不問、文理不問、知識・経験不問、当社への入社意思不問」とされているが、過去に参加した者は基本的に応募できない。学生だけでなく、経済界でも有名なプログラムとなっており、毎年数万人が応募し、のべ1000~2000人が参加している。社員と同様の仕事が体験でき、1万円の日当が支給される。
なお、近年からは「トライアウト」と呼ぶ選考コースも用意されている。これは、応募した学生に何か企画立案させ、その内容について同社のトップクラスの社員と直接ディスカッションするというプログラムがコアになっている。セミナー受講、筆記試験、企画作業+ディスカッション(複数回)、および具体的に同社で働くイメージを体験するイベントもセットされているという、相当ハードと思える内容だ。
新卒で入社すると、6カ月間の研修が行われる。この研修で早くもふるいにかけられることとなり、半年後には等級と年棒に差がつく。研修は、出された課題に対して、やり方はすべて自分で考えて取り組まなければならない。6カ月後、一定の成果を出せた者は「アシスタント」として通常のキャリアをスタートできる。この場合、基本的な年棒は500万円であるが、成績により550万円、600万円の3段階に再設定される。概ね3分の1ずつとされているようであるが、実際は600万円のトップクラスは10名(5%)程度の模様だ。
そして、成果を上げられなかった者は「トレーニー」となり、年棒も400万円程度に引き下げられるようだ。名称こそ「トレーニー」であるが、要は「辞めてもらいたい人」と烙印を押されたようなもの。CEOも社内でそう公言している。「トレーニー」から「アシスタント」に這い上がる機会は1年に1回あるが、なかなか該当者は出ないようだ。また、その基準は社内にも明らかにされていない。
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