「使い捨て」の何が悪いのか 覚悟を持って働く若者もいる 2013年5月20日 仕事のエコノミクス ツイート 最近、ブラック企業の定義は「社員を使い捨てにする会社」ということになっているらしい。先日も日本共産党の国会議員が、参議院の予算委員会でユニクロ(ファーストリテイリング)の社名をあげて批判していた。 まず疑問に思うのが、ユニクロの休職者の42%が精神疾患だと問題視している点だ。他の休職理由は分からないが、他社と比べて高いとはいえないだろう。休職者がメンタルヘルス不全の社員ひとりの場合、割合は100%になる。 また、実際にビジネスの最前線で働く人たちからすると、「使い捨て」の何が悪いのかと不思議に感じる人もいるだろう。使い捨てという言葉は、確かに人の感情を巧みに刺激するが、言い換えれば社員の「競争」と「選別」のことである。 共産党系の団体や弁護士たちは、営利団体たる企業においても、従業員には何の選別も行われないことをお望みなのかもしれない。いちど採用された社員は定年になるまで、仕事を通じた貢献度に関係なく豊かな生活を保証されるべきだ、と考えているようである。 要するにそれは「順位をつけない徒競走」であり、企業による「生活保護」だが、そんな責任を企業が負う必要などあるわけがない。それは国の役割である。他人が稼いだカネに集るのではなく、自分たちが成長を先導する意識がなぜ生まれないのか。傍から見ると、まるで競争に敗れた弱者のルサンチマンのようである。 というわけで、自分が「使い捨て」の対象になりたくなければ、競争と選別に耐えるだけの努力をすべきである。才能もなく努力もしない人は、残念ながら優雅な生活を送ることは難しいが、それもしかたのないことである。 他者より才能が劣っていると感じたならば、自分が有利になる別の土俵を探して勝負をかけるなど、個人の戦略も必要になってくる。最も良くないのは、自分の能力が高くないのを自覚せずに、競争と選別の厳しい環境にむやみに飛び込んでしまうことだ。 選別に耐えられそうにない人は、従業員の「使い捨て」を行なっているとされる会社は最初から避けたほうがよい。例えば愛知県のある建設・不動産会社に勤める20代男性は、キャリコネの口コミに自社の労働環境についてこう書き込んでいる。 「(仕事は)厳しい分、自分の能力は必ずついてくるし、その能力は必ず違う業界でも活かせる力になる。自分次第だと思います。中途社員で入社してくる方も不動産業界に関わっていた人が多く、転職回数が多い人がいる。営業マンは、会社から使い捨ての感覚を持たれる。覚悟があれば入社をお勧めする。中途半端な気持ちなら、そもそも建築業界をオススメしない」 ユニクロ20代店長「仕事のやりがいはスタッフの成長」 ところで、この愛知の会社は果たしてブラック企業なのだろうか。共産党的に言えば、使い捨てがあるのでブラックということになる。しかし口コミでも分かるように、仕事を通じて自分の能力を高めたいと考えている人たちは、厳しい仕事にも「覚悟」をもって臨んでいるのである。 大きな成果を上げた人は、それに応じた報酬を要求し、それが叶えられなければ移籍する。大きな成果が上げられなかった人は、その経験を活かして別の職場でやり直す。こんな公平なやり方の何が悪いのか。 中には失敗に傷つき、すぐには立ち直れない人もいるかもしれないが、それと企業の責任とは切り分けて考えるべきだ。違法行為やハラスメントには厳しく対処しつつ、給料のいい有名企業は仕事が厳しいのが当たり前、ということはもっと知られてもいい。 仕事を「苦痛」としか捉えず、工夫や努力を「搾取されている」としか捉えられない人には、経験を通じた人の成長ということが理解できないのかもしれない。共産党の非難にもかかわらず、ユニクロで働く社員で会社を「使い捨て」と批判しているのは多くないのではないか。 実際、努力を通じて自分や部下を成長させることに成功している人もいる。20代前半で早くも店長を勤める男性は、自社の職場の魅力について落ち着いた言葉遣いで説明している。 「(この職場で働くメリットは)若いうちから店舗経営に関われる(ことだ)。一部分ではあるが、ヒトモノカネを管理できる。特に様々な年齢、雇用形態、立場の人をマネジメントすることが一番大変だが、やりがいのあることである。自分が育成したスタッフが成長して一人前になったり、売上目標を達成したときにやりがいを感じます」 というわけで、日本共産党が「使い捨て」と批判する会社には、「競争」と「選別」が存在することは確かであり、それがある程度健全に行われている限り、社歴だけは長く給料は高いが仕事はまったくダメというお荷物上司の下で働かなくて済む、というメリットがありそうである。 【関連記事】 「ブラック企業ランキング」上位のトランスコスモス 元板前でも3か月で客先常駐 「ブラック企業」批判の旗手に落胆の声 「本当に弱者の味方なの?」 3年未満でクビ、退職金の約束ホゴに 「在日外資」にもブラック企業はある
「使い捨て」の何が悪いのか 覚悟を持って働く若者もいる
最近、ブラック企業の定義は「社員を使い捨てにする会社」ということになっているらしい。先日も日本共産党の国会議員が、参議院の予算委員会でユニクロ(ファーストリテイリング)の社名をあげて批判していた。
まず疑問に思うのが、ユニクロの休職者の42%が精神疾患だと問題視している点だ。他の休職理由は分からないが、他社と比べて高いとはいえないだろう。休職者がメンタルヘルス不全の社員ひとりの場合、割合は100%になる。
また、実際にビジネスの最前線で働く人たちからすると、「使い捨て」の何が悪いのかと不思議に感じる人もいるだろう。使い捨てという言葉は、確かに人の感情を巧みに刺激するが、言い換えれば社員の「競争」と「選別」のことである。
共産党系の団体や弁護士たちは、営利団体たる企業においても、従業員には何の選別も行われないことをお望みなのかもしれない。いちど採用された社員は定年になるまで、仕事を通じた貢献度に関係なく豊かな生活を保証されるべきだ、と考えているようである。
要するにそれは「順位をつけない徒競走」であり、企業による「生活保護」だが、そんな責任を企業が負う必要などあるわけがない。それは国の役割である。他人が稼いだカネに集るのではなく、自分たちが成長を先導する意識がなぜ生まれないのか。傍から見ると、まるで競争に敗れた弱者のルサンチマンのようである。
というわけで、自分が「使い捨て」の対象になりたくなければ、競争と選別に耐えるだけの努力をすべきである。才能もなく努力もしない人は、残念ながら優雅な生活を送ることは難しいが、それもしかたのないことである。
他者より才能が劣っていると感じたならば、自分が有利になる別の土俵を探して勝負をかけるなど、個人の戦略も必要になってくる。最も良くないのは、自分の能力が高くないのを自覚せずに、競争と選別の厳しい環境にむやみに飛び込んでしまうことだ。
選別に耐えられそうにない人は、従業員の「使い捨て」を行なっているとされる会社は最初から避けたほうがよい。例えば愛知県のある建設・不動産会社に勤める20代男性は、キャリコネの口コミに自社の労働環境についてこう書き込んでいる。
「(仕事は)厳しい分、自分の能力は必ずついてくるし、その能力は必ず違う業界でも活かせる力になる。自分次第だと思います。中途社員で入社してくる方も不動産業界に関わっていた人が多く、転職回数が多い人がいる。営業マンは、会社から使い捨ての感覚を持たれる。覚悟があれば入社をお勧めする。中途半端な気持ちなら、そもそも建築業界をオススメしない」
ユニクロ20代店長「仕事のやりがいはスタッフの成長」
ところで、この愛知の会社は果たしてブラック企業なのだろうか。共産党的に言えば、使い捨てがあるのでブラックということになる。しかし口コミでも分かるように、仕事を通じて自分の能力を高めたいと考えている人たちは、厳しい仕事にも「覚悟」をもって臨んでいるのである。
大きな成果を上げた人は、それに応じた報酬を要求し、それが叶えられなければ移籍する。大きな成果が上げられなかった人は、その経験を活かして別の職場でやり直す。こんな公平なやり方の何が悪いのか。
中には失敗に傷つき、すぐには立ち直れない人もいるかもしれないが、それと企業の責任とは切り分けて考えるべきだ。違法行為やハラスメントには厳しく対処しつつ、給料のいい有名企業は仕事が厳しいのが当たり前、ということはもっと知られてもいい。
仕事を「苦痛」としか捉えず、工夫や努力を「搾取されている」としか捉えられない人には、経験を通じた人の成長ということが理解できないのかもしれない。共産党の非難にもかかわらず、ユニクロで働く社員で会社を「使い捨て」と批判しているのは多くないのではないか。
実際、努力を通じて自分や部下を成長させることに成功している人もいる。20代前半で早くも店長を勤める男性は、自社の職場の魅力について落ち着いた言葉遣いで説明している。
「(この職場で働くメリットは)若いうちから店舗経営に関われる(ことだ)。一部分ではあるが、ヒトモノカネを管理できる。特に様々な年齢、雇用形態、立場の人をマネジメントすることが一番大変だが、やりがいのあることである。自分が育成したスタッフが成長して一人前になったり、売上目標を達成したときにやりがいを感じます」
というわけで、日本共産党が「使い捨て」と批判する会社には、「競争」と「選別」が存在することは確かであり、それがある程度健全に行われている限り、社歴だけは長く給料は高いが仕事はまったくダメというお荷物上司の下で働かなくて済む、というメリットがありそうである。
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「ブラック企業」批判の旗手に落胆の声 「本当に弱者の味方なの?」
3年未満でクビ、退職金の約束ホゴに 「在日外資」にもブラック企業はある