会社が従業員に無断でHIV検査をしてはいけない理由 2013年11月28日 仕事のエコノミクス ツイート 日本赤十字社は、エイズウイルス(HIV)に感染した男性が献血した血液が、患者2人に輸血されたと報告した。献血者が感染初期だったため、検査をすり抜けたという。男性は献血の約2週間前に男性間の性的接触があったが、事実と異なる申告をしており、検査目的に献血をしたとみられている。 献血後の検査の結果は、献血者には原則として伝えられない。本人が結果を知ることができるのは、病院や保健所などで自ら検査を行った場合に限られる。本人が感染を自覚しておらず、検査で偶然発見された場合でも同様だ。 日常の職場生活では感染することはない 厚労省が1995年に発表した「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン」では、職場で労働者にHIV検査を行わないよう事業者に呼びかけている。日常の職場生活ではHIVに感染することはなく、HIV検査は「労働衛生管理上の必要性」に乏しいからだ。 また、HIV感染は就業を禁止すべき伝染性の疾病とはいえず、事業者は感染をもって「直ちに就業を禁止することはできない」とされている。HIVに対する誤解や偏見が解消されていない中で、感染の事実は個人のプライバシーに関する重要な秘密という側面もある。 キャリコネ編集部の調査によると、事業者(使用者)が勝手に検査を行い、その結果を元に不利益な処遇をすると、裁判で敗れる可能性が高い。ある工場で健康診断時に従業員に無断でHIV検査を行い、感染者の雇用契約の更新を拒否する事件があったが、裁判では使用者側に損害賠償が命じられている。 警視庁に採用された男性が、健康診断時の採血の際に無断でHIV検査をされ、陽性であることを理由に退職勧奨を受けた裁判でも同様の判決だった。 万が一、使用者が感染の事実を偶然知った場合でも、本人に告知を受け入れる準備がきちんとできていて、使用者が告知後も労働者をしっかり指導・サポートできる場合でないと、告知は違法になるという判例もあるようだ。 ということは、ある人がHIVに感染している事実を日本赤十字社や勤務先が知りながら、本人に知らされていないということも起こりうる。少しでも心当たりのある人には、自ら保健所で無料匿名の即日検査を受けることをお勧めしたい。 あわせてよみたい:不当解雇されたらどう戦うか
会社が従業員に無断でHIV検査をしてはいけない理由
日本赤十字社は、エイズウイルス(HIV)に感染した男性が献血した血液が、患者2人に輸血されたと報告した。献血者が感染初期だったため、検査をすり抜けたという。男性は献血の約2週間前に男性間の性的接触があったが、事実と異なる申告をしており、検査目的に献血をしたとみられている。
献血後の検査の結果は、献血者には原則として伝えられない。本人が結果を知ることができるのは、病院や保健所などで自ら検査を行った場合に限られる。本人が感染を自覚しておらず、検査で偶然発見された場合でも同様だ。
日常の職場生活では感染することはない
厚労省が1995年に発表した「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン」では、職場で労働者にHIV検査を行わないよう事業者に呼びかけている。日常の職場生活ではHIVに感染することはなく、HIV検査は「労働衛生管理上の必要性」に乏しいからだ。
また、HIV感染は就業を禁止すべき伝染性の疾病とはいえず、事業者は感染をもって「直ちに就業を禁止することはできない」とされている。HIVに対する誤解や偏見が解消されていない中で、感染の事実は個人のプライバシーに関する重要な秘密という側面もある。
キャリコネ編集部の調査によると、事業者(使用者)が勝手に検査を行い、その結果を元に不利益な処遇をすると、裁判で敗れる可能性が高い。ある工場で健康診断時に従業員に無断でHIV検査を行い、感染者の雇用契約の更新を拒否する事件があったが、裁判では使用者側に損害賠償が命じられている。
警視庁に採用された男性が、健康診断時の採血の際に無断でHIV検査をされ、陽性であることを理由に退職勧奨を受けた裁判でも同様の判決だった。
万が一、使用者が感染の事実を偶然知った場合でも、本人に告知を受け入れる準備がきちんとできていて、使用者が告知後も労働者をしっかり指導・サポートできる場合でないと、告知は違法になるという判例もあるようだ。
ということは、ある人がHIVに感染している事実を日本赤十字社や勤務先が知りながら、本人に知らされていないということも起こりうる。少しでも心当たりのある人には、自ら保健所で無料匿名の即日検査を受けることをお勧めしたい。
あわせてよみたい:不当解雇されたらどう戦うか