弱いストレスで「初期化」しちゃう? 万能じゃなかった「STAP社員」 2014年3月12日 仕事のエコノミクス ツイート 都内の某会社に勤めるAさん(40歳)の周囲では、最近「STAP社員」という言葉が流行っているという。「リケジョ」「割烹着」で有名になった小保方晴子さん(30歳)が発表した「STAP細胞論文」が名前の由来だ。 理化学研究所が1月に発表したリリースによると、小保方さんを中心とする研究ユニットは、動物の体細胞を弱酸性液に浸すという簡単な刺激だけで、細胞が分化の記憶を消して「初期化」する原理を発見したという。 壁にぶつかると「コミュニケーションを遮断」 Aさんの会社には、昨年4月に入社した新卒社員が10数名いたが、このうち3~4人はすでに職場に顔を見せていない。体調を崩して休職した人のほか、実家の手伝いをすることになった人や、学生時代から活動しているNPOで働くことにした人もいる。 それぞれの社員の上司や先輩から話を聞くと、最近の若い社員は仕事で壁にぶつかると、すぐに会社を休み、周囲とのコミュニケーションを遮断しようとする共通点があったという。 家に帰ってアニメやゲームの世界に逃避したがる。それは、退職者以外にも共通する若手社員の傾向だ。そこに小保方さんの話題が絡まり、弱いストレスでも記憶を消去して、簡単に初期化してしまう「STAP社員」という呼び方に発展したようだ。 「彼らがプライベートを大事にしているのは、知っていますよ。でも、現実から逃げるのは困る。仕事は仕事でちゃんとやってもらわなければ、会社をクビになっても仕方がないということくらい理解して欲しいと思いますね」(Aさん) しかし、そんなことを直接口にすれば「パワハラだ」と言われかねない。会社に適応できなかった彼らが「言い訳」を見つけて自主的に退職するまで、周囲は生暖かく見守るしかない。 「少しのアドバイスで多能性」になればいいけど 本来STAP細胞は、「万能細胞」「多能性細胞」とも呼ばれる有益なものだったはず。捉え方によっては「少しのアドバイスで、どの仕事もこなす万能社員に成長する社員」という意味で使われてもよさそうなものだ。 しかしAさんの職場では、残念ながらネガティブな使い方しかされなかった。そういう立派な社員が「非実在」だったからなのかもしれない。 そうこうしているうちに、本家のSTAP細胞の論文にも深刻な疑問が投げかけられ始めた。小保方さんの博士論文にも疑惑が見つかり、学位が取り消されるおそれすら出ている。 そのうち、研究室の壁に貼られていたスナフキンのステッカーにも、ケチがつけられ始めるだろう。Aさんの職場の「STAP社員」は、このまま「ストレスに弱い新入社員」という意味で落ち着いてしまいそうだ。(ライター:板橋やゆ子) あわせてよみたい:ゆとりが猛反論「俺たちは悪くないぞ」
弱いストレスで「初期化」しちゃう? 万能じゃなかった「STAP社員」
都内の某会社に勤めるAさん(40歳)の周囲では、最近「STAP社員」という言葉が流行っているという。「リケジョ」「割烹着」で有名になった小保方晴子さん(30歳)が発表した「STAP細胞論文」が名前の由来だ。
理化学研究所が1月に発表したリリースによると、小保方さんを中心とする研究ユニットは、動物の体細胞を弱酸性液に浸すという簡単な刺激だけで、細胞が分化の記憶を消して「初期化」する原理を発見したという。
壁にぶつかると「コミュニケーションを遮断」
Aさんの会社には、昨年4月に入社した新卒社員が10数名いたが、このうち3~4人はすでに職場に顔を見せていない。体調を崩して休職した人のほか、実家の手伝いをすることになった人や、学生時代から活動しているNPOで働くことにした人もいる。
それぞれの社員の上司や先輩から話を聞くと、最近の若い社員は仕事で壁にぶつかると、すぐに会社を休み、周囲とのコミュニケーションを遮断しようとする共通点があったという。
家に帰ってアニメやゲームの世界に逃避したがる。それは、退職者以外にも共通する若手社員の傾向だ。そこに小保方さんの話題が絡まり、弱いストレスでも記憶を消去して、簡単に初期化してしまう「STAP社員」という呼び方に発展したようだ。
しかし、そんなことを直接口にすれば「パワハラだ」と言われかねない。会社に適応できなかった彼らが「言い訳」を見つけて自主的に退職するまで、周囲は生暖かく見守るしかない。
「少しのアドバイスで多能性」になればいいけど
本来STAP細胞は、「万能細胞」「多能性細胞」とも呼ばれる有益なものだったはず。捉え方によっては「少しのアドバイスで、どの仕事もこなす万能社員に成長する社員」という意味で使われてもよさそうなものだ。
しかしAさんの職場では、残念ながらネガティブな使い方しかされなかった。そういう立派な社員が「非実在」だったからなのかもしれない。
そうこうしているうちに、本家のSTAP細胞の論文にも深刻な疑問が投げかけられ始めた。小保方さんの博士論文にも疑惑が見つかり、学位が取り消されるおそれすら出ている。
そのうち、研究室の壁に貼られていたスナフキンのステッカーにも、ケチがつけられ始めるだろう。Aさんの職場の「STAP社員」は、このまま「ストレスに弱い新入社員」という意味で落ち着いてしまいそうだ。(ライター:板橋やゆ子)
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