• 大卒「安定就職」の若者は5割以下 40万人以上が放浪中

     大学や専門学校を進学しても、途中で退学したり、卒業して就職しても3年以内に退職するなどして、多くが不安定就業になっている実態が、政府が3月に開いた「雇用戦略対話」の報告資料で判明した。若年層の厳しさが浮き彫りになっている。

     文部科学省と厚生労働省が調査した結果に基づいて、内閣府が19日に推計を公表した。

     それによると、2010年春に学校を出た人のうち、3分の1以上が最初の就職先を3年以内に辞めている。また、2割近くが無職やアルバイトなどにとどまっているという。

     この結果、中退者も含めて推計すると、大学や専門学校への進学した者のうち、実に過半数に達する52%の雇用が、不安定な状況に置かれている。


    ■40万人以上の若者が安定した職に就けていない!

     この年の大学や専門学校の卒業者数は85万人。ここから大学院へ進学した者などを除いた77万6千人のうち、約7割の56万9000人が就職した。
     
     ところが、このうち19万9000人が3年以内に離職すると推計。また、卒業後にパート労働やアルバイトなどの非正規雇用にとどまったり、無職だったりする者も14万人にのぼると見られるという。このほか、中退者も6万7000人もいて、これらを合計すると、無職だったり安定した職に就いていなかったりする者が40万6000人に達するという。

     

     それでも内閣府は

     「我が国の若年失業率は、新卒一括採用の慣行もあって、諸外国に比べれば低水準だ」

     と報告している。

     にもかかわらず、安定した就労ができない状況について

    「教育から雇用への円滑な接続が出来ていないため」

     と分析している。

     さらに、高卒では一層、厳しさが増す。卒業生115万人のうち、大学などに進学しなかったのは35万人で、この68%が現在、安定した仕事に就けていないと見られる。

     その内訳は、就職した18万6000人のうち、7万5000人が3年以内に離職するほか、アルバイトだったり無職だったりする者が10万7000人もいる。中退を含めると、23万9000人が不安定な状態にあるという。


    ■正社員になれる確率は46% “ミスマッチ”で片付ける政府

     日本の若年層の非正規雇用は、1990年代の半ばから大きく上昇してきた。非正規雇用にある1756万人のうち、在学中を除いた非正規の若年者は414万人。このうち170万人が、正社員への転換を希望しているとみられる。

     大卒の男性の場合はまだいい。それでも30歳代では9割超が正規雇用になっているからだ。しかし、これより若年の層や、女性、そして低学歴層では、正規雇用の比率が低い。若い世代の場合、20歳代後半でも正社員になりづらくなっている。

     こんなデータもある。

     2001年と2006年を比較すると、01年では、25~29歳のフリーターのうち85%が「正社員になろう」と希望して、実際に66%が正社員になっていた。ところが06年になると、状況が変わる。「正社員になろう」と希望する者が67%に減少し、かつ正社員になれた者も46%と、大幅に減っているのだ。

     政府は、こうした状況について、

    「若者は、自分の適性や就きたい仕事を十分に検討しないまま、単に大企業志向だけが強く、雇用のミスマッチが起きている」

    と分析している。「上から目線」ぶりには戸惑わざるを得ないが、とにかく問題を認識しているのなら、きちんと対策を進めてほしいものだ。

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