• 「ネットの匿名性を否定しているわけではない」 ソニーOB辻野氏がツイッターで弁明

    ソニーの現役社員と有名OBがツイッターで論争した末に、OBが社員の実名をさらした件について、キャリコネ企業インサイダーが2014年3月11日に記事を公開したところ、大きな反響があった。

    配信先のニコニコニュースではコメントが約800にのぼり、ツイッター投稿は1000件を超えた。目に付くのは、匿名でネットに書き込みを行う自由を主張するコメントだ。

    「最初の書き込みに目くじらを立てる必要はなかった」

    現役社員A氏のつぶやきを、OBの辻野晃一郎氏が発見して「おまえ、どこの誰なんだよ」「これ以上いい加減なことを言い続けたら絶対に容赦しない」とツイートしたことに対するネットユーザーの反発は強烈だった。

    A氏が辻野氏の「陰口を叩いた」ことに対する批判もあったが、実名登録を強制していないツイッターアカウントの実名をさらすことへの抵抗感の方が圧倒的に大きい。

    「(ツイッターで匿名の)発言をして、それが誰かの気に障れば、たちまちに名前を公開される。そんな未来を望んでいる人がいるらしい」

    相手が匿名のアカウントである場合であっても、A氏の質問や批判に真正面から答えていればよかったという声もあった。

    「匿名という前提あってこそ言える意見というものもあるだろう…実名晒しなんてせずに正々堂々と論破すれば良いと思うのだけどなぁ」

    また、辻野氏は「陰口好きは日本の企業文化?」などと記したコラムを2月26日の「現代ビジネス」に掲載した。これが、有名人がメディアに寄稿できる特権を使って私怨を晴らしている、と揶揄されもしている。

    このような批判に対し、辻野氏は3月12日にツイッターで謝罪と弁明をしている。

    「『ウォークマン潰した張本人』と書かれたことへの気持ちは複雑で、本に書くほどのさまざまな思いがあったゆえに私の対応が少々乱暴だったことが発端です。ウォークマンに私自身が当事者として関係したことは事実であり、最初の書き込みに目くじらを立てる必要はありませんでした」
    「また私はネットの匿名性を否定しているわけではありません。多くの方がネット上で匿名でコミュニケーションしていることは現実でもあり、否定のしようもありません。この点についても誤解を招く発言と行動でした」

    「見ず知らずの他人からの罵倒」にどう対処するか

    とはいえ、有名人に対し、匿名のツイッターアカウントが根拠のない酷い中傷をする例は少なくない。女性タレントがツイッターで自分への悪口を見て、人知れず体調を崩してしまったということもあったようだ。

    グーグル日本法人で勤務経験もある高広伯彦氏は、匿名ツイッターのあり方に対して厳しい姿勢を崩していない。「ソニー騒動」があった2月24日にも、辻野氏の立場を擁護するツイートを投稿している。

    「実名晒されて困るようなこと言わなければいいんだよなあ。バカですか、ほんと」
    「というか、Twitterを実名でやんないから、リミッター外したようなバカやらかすんでしょうよ、匿名アカは」
    「陰口をパブリックな場所でやるという矛盾に気づけよな。ほんとバカ」

    一方、経済学者の池田信夫氏は「ソーシャルメディアの最大の影響の一つは、見ず知らずの他人に罵倒される経験」とユニークな解釈を披露しつつ、

    「これはリアルな罵倒(喧嘩の前段階)とは違って、ブロックすれば相手はそれ以上は手が出せない。これは数多く経験を積んで慣れるまでわからない、意外に大事なノウハウ」

    と、ツイッターのブロック機能を適宜使えばよいという見解を示している。

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