三菱電機株式会社の人事制度
個人は目立ってはいけない、伝統の組織主義社風を支える三菱電機の人事制度2011年10月20日
三菱グループのうち三菱東京UFJ銀行・三菱商事・三菱重工業の3社は「御三家」と呼ばれ、三菱電機は御三家に続く中核企業群のひとつ。三菱造船(現三菱重工業)から1921年に分社化したもので、今年90周年を迎えた。海外では赤い「スリーダイヤ」のマークとともに「MELCO」で通っている。
電機業界ではライバルの日立製作所や東芝と比べるとやや地味な存在だが、三菱グループの総合力を背景に、業績の乱高下が少ない会社でもある。
大幅な赤字(約1436億円)を出した2001年度以外は、平成の時代(1989年~)を通じて黒字決算17回、赤字はたったの4回しかない。その背景には、「人の三井」、「組織の三菱」と言われてきたように、三菱グループの特徴である組織優先の伝統が生んだ手堅い経営がある。
ただ、グローバル時代に対応するには課題も見えてきた。伝統も課題も、組織重視の社風が反映された人事制度から、見て取ることができる。
I 等級制度:系統と群
三菱電機の社内組織は、経営活動の基盤的実務遂行層である「基幹系統」と、経営活動の中核的実行層となる「専門企画系統」との2つに大きく分かれている。前者は一般社員、後者は管理職(一部管理職前も含む)である。この2つの「系統」とは別に、専門性のある職務(警備員など)の「特別系統」がある。
「基幹系統」には役割内容によって「群」に分かれているが、「T群」、「S群」、「F群」の3種類がある。
初任時の等級は、「T群」の大学卒・修士卒や技術系の高専卒は1等級からスタートするが、博士卒は最初から2等級に格付けされる。「S群」、「F群」も1等級からはじまる。
「T群」は1等級から4等級、「S群」は1等級から5等級、「F群」は3等級まである。
「S群」の1等級と2等級に属する社員は社内試験を突破すれば、「T群」への系統内変更が可能になっている。また、上位系統である「専門企画系統」(管理職)への昇級試験は、「T群」の3等級、4等級に属する社員しか資格がない。
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