• 学歴の賞味期限はせいぜい5年 油断してたら「ただの人」-東大卒の脳ミソ(3)

    私は東大を7年かけて出たのですが、4年のときには「就職氷河期」がやってきました。それでも東大生はまだまだ恵まれていて、資料請求のハガキを送っただけで、人事部の方から即座に「会いませんか?」と電話がかかってきたものでした。

    リクルーターが「私服で結構です」というので、本当に私服で2社ほど会ってみたのですが、ともに「ほんとに私服で来たんだね」と驚いたものの、正式な面接の誘いをいただきました。

    あのとき、いろいろと見切って就職していればよかったのに――。まったく30も半ばを過ぎて、転職先ひとつ探すのにもひと苦労の今の自分と大違いです。

    合宿所の屋上から「コマ」を眺める研修

    前回、粘り強さが裏目に出た人たちを紹介しましたが、賢く状況を見るのがうまかった人たちは、ちゃんと大企業でコツコツ働いています。就職先では東大卒は特別扱い。文系を中心に、こんな伝説がまことしやかに語られていました。

    ――保険会社の中でも特に給料が高い損保のT社では、内定者向けの宿泊オリエンテーションを数日間行った後、最終日にグラウンドでサッカーをやるのだとか。

    しかし、東大生の内定者だけは合宿所の屋上に集められます。そして、他の大学の内定者による試合を見せられながら、「いいか、あいつらはお前らの将来のコマだ! 監督になったつもりでよく見ておけ」と檄を飛ばされるのだそうです。

    そんな噂を聞くと、東大生たちは興奮して、ますますT社を目指したがるといった具合でした。自分が所属していたサークルには「東大→T社と来て、これで俺の人生はいったんゴールだ」と語る先輩もいました。

    世間の評判が高ければ高いほど燃えるのが東大生。そこに山があるから登る。難関だから目指す。その仕事に興味があるとか、自分の適性と合うかどうかは関係ありません。それを疑ったり考えたりするのは、苦手なんですから…。

    しかし仕事への興味だのやりがいだのは、関係ないと強がる人もいるでしょう。いやいや、実はそうでもないのです。こうして就職していった東大卒の中には、30半ばで燃え尽きてしまう人も少なくないのです。

    卒業後15年で「ゆでがえる」に気づく

    先日、某メガバンク系信託銀行のシステム部門に勤める友人に15年ぶりに会いました。システム部門といっても、外部の業者との調整を行うような業務で、「給料はいいけど、専門性がいるような仕事では全然ないんだよね」とのことでした。

    仕事がヒマなのでTOEICの学校に通い詰め、スコア900を達成したのをきっかけに「外資系コンサル」に転身できないかと、専門のエージェントと会ったりもしたようです。

    しかし、エージェントの話を聞き、「これまでの自分の経験値じゃとても太刀打ちできない」と気づかされ、しかたなく今の会社にしがみつくことに決めたと言います。

    「東大出て将来安泰かと思ってたらさ、いつの間にか何かよくわかんないキャリアになっちゃったよ。退屈だからクッキングスタジオの男性教室にも通ったりしてさ、息抜き重視の生活になってきちゃった」

    と、さびしく語っていました。彼は「自分はゆでがえるになっていたのか」とも言っていました。東大を出たからいい会社に入れたとしても、その後の人生が豊かになるかといったら、それはまた全然別問題です。

    学歴ブランドの価値には、品質期限があります。卒業時のイベントで「皆さんの品質は、卒業後5年は保証します!」と叫んだ大学関係者がいましたが、せいぜいそんなものかもしれません。(ふよっしー)

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