• 開業医の平均年収は2070万円 医師はどれくらい稼いでいるのか?

     医師、弁護士、公認会計士は「3大難関試験」とも呼ばれる国家資格だ。それぞれが医・法・経の各分野のトップ国家試験に位置づけられる。

     ところが最近、このうち弁護士と公認会計士の2資格の凋落が著しい。何年も苦労して勉強を続け、ようやく合格したにもかかわらず「食えない!」という悲鳴が、ちまたに蔓延(まんえん)している。

     しかし、さすがに医者にはこれほどの不況はない。いわば現状は、医師の「一人勝ち」の状況だ。

     これは大学入試にも表れている。他学部が軒並み受験生を減少させているのに対し、医学部の人気は落ちていない。

     少子高齢化やグローバリゼーションで、日本のさまざまな分野や産業に先行きの不透明感がある中、「命を守る」という普遍的な医学の価値は、失われていないどころかますます高まっている。

     では、その医師という仕事は、どれくらい儲かるのか。また、その資格取得が大変なのか。

     このほど、甲南大学グループによる研究書「日本のお医者さん研究」(森剛志、後藤励著)が出版された。本書をもとに、最新の「医者の横顔」を見てみよう。



    勤務医と開業医で年収に格差 私大医学部は優秀なほど学費が安い


     医師の所得の高さは、いつの時代でも羨望の対象だ。では、現在、医者はいくら稼いでいるのだろうか。

     
     これは開業医と勤務医で、大きく異なっているという。開業医の所得は勤務医と比べてかなり高いそうだ。

    ●勤務医の平均年収は1213万円

    ●開業医だと平均で2070万円

     次は医者になるための費用だ。

     海外に比べて日本は、私立大学医学部の授業料が「異常なまでに高い」という。では具体的に、大学の6年間の授業料はいくらになるだろうか。

    ●国立大は349万円

    ●公立大は757~1198万円、やや幅がある。

    ●私立大はさらにバラツキが激しい。主な大学で見ると、以下の通りだ。

      <私立大の6年間の授業料>
        産業医科大=1150万円
        慶應義塾大=2238万円
        自治医科大=2260万円
        東京女子医大=3341万円
        北里大=3890万円
        東海大=4173万円
        帝京大=4920万円

     ここでは、要するに優秀な私立大学ほど学費も安い、という傾向がわかる。実際、帝京大学医学部と慶応大医学部を比べると、帝京大は慶応大の2倍以上もの学費がかかる。



    「後継ぎ」で開業医と勤務医に温度差

     ポストで給与はどう違うのだろうか。紹介するのは平均の月額給与。同じ勤務医でも、公立病院と私立病院では違う。その違いも見てみよう。さらに、看護師など、医師以外の給与とも比較してみた。

         <公立病院>
        病院長=163万円
        医師=118万円
        薬剤師=55万円
        看護師=48万円
        事務職=53万円

         <私立病院>
        病院長=259万円
        医師=133万円
        薬剤師=40万円
        看護師=36万円
        事務職=32万円

     ポストや役職で、これだけの差がある。公立と私立の違いも興味深い。ここから予想できるのは、評判が何よりも重要となる私立病院の場合、「高額報酬で医師を引き留め、その分、薬剤師や看護師の給与を抑制しているのではないか」ということだろう。

     最後に「子供に後を継がせたいか」という点について見てみよう。

     これも、開業医と勤務医で差があるという。

     「男の子供を医師にさせたいか」という質問に対し、開業医は半数以上が「Yes」と答えた。ところが、勤務医の場合は半数以上が「どちらともいえない」という回答したという。

     本書は、ほかにも「地域格差や男女の違い」「海外との比較」などにも焦点を当てている。また、地方の若手医師ほど過酷な就労状況にあることなども伝えている。


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