【残業・有休・育休】電通グループおよび電通の働き方のリアル|有報・求人・口コミで読み解く
データ出典・注記
【公式データ】
- 有価証券報告書(2021年12月期~2025年12月期)
- Integrated Report 統合レポート2025
- コーポレートサイト・採用サイト、求人データ
【口コミデータ】
- 企業口コミサイト「キャリコネ」への現役・OBOG社員の投稿
1. 【公式データ】数字で見る「働きやすさ」と「会社の現在地」
電通グループおよび電通が投資家や社会に向けてどのような「働き方・人材へのコミットメント」を掲げているか、有価証券報告書や統合報告書の公式データから紐解きます。
1-1 会社が掲げる人材戦略とエンゲージメントの実態
電通グループは、グローバル人事戦略のミッションとして「1つのチームになり、仲間の力を引き出す」を掲げ、多様な人財がコラボレーションする「Winning as One Team」という組織環境の構築を目指しています。
◆ エンゲージメント向上のための対話と施策
毎年実施される「Check In」という全社エンゲージメント調査において、2025年度の最新実績においても、グループ全体のスコアは目標通り高く維持されています。
過去の調査から「ビジョン・戦略」や「経営からのコミュニケーション」が重点課題と捉えられ、経営層と従業員が直接対話する機会を拡充しています。
具体的には、世界中から約200名のシニアリーダーが東京に集まるセッションを開催したほか、年間を通してトップ1,200名のリーダーを集めて発信するミーティングを実施するなど、コミュニケーションの質と密度を高めています。
◆ 独自の研修プラットフォームとDEIの推進
「学び続ける組織」を目指す施策として、世界中で2,500人を超える従業員が専用の学習プラットフォーム「dentsu university」で価値創造戦略等を履修しています。
また、多様なプロフェッショナルが能力を発揮できる環境を目指し、「敬意/Respect」のスコアを指標として設定しており、2025年度は前年度からさらに2ポイント上昇するなど、着実な改善が見られます。
日本国内ではボトムアップのDEI推進プラットフォーム「DEIパーク」を展開しており、2025年6月時点で約1,500名のリーダーが参加し、2024年度は全従業員の約70%がアクションを実践するなど、抽象的な理念が具体的な活動へと落とし込まれています。
◆ 柔軟な働き方の追求と労働環境改革
統合レポート2025によると、人材戦略の一環として、ハイブリッドワークによる柔軟な働き方とリアルな対面交流を最適化する環境整備が進められています。
日本国内で継続してきた労働環境改革においては、厳格な勤務管理や従業員見守りといったベースを保ちつつ、現場実態に即した持続的なアップデートを行っています。
1-2 開示されている主要指標
有価証券報告書や労働環境改革の公式サイト等で開示されている、ワークライフバランスやダイバーシティに関する主要なデータは以下の通りです。グループ全体と、事業会社である電通(単体)の数値をそれぞれ抽出しています。
◆ 電通グループ全体
- 従業員エンゲージメントスコア:66(2025年度実績)
- 成長機会スコア:66(同上)
- 敬意/Respectスコア:79(同上)
- 女性リーダー比率:25.4%(米国を除く・同上)
◆ 株式会社電通
- 管理職に占める女性労働者の割合:14.4%(2025年12月31日時点)
- 男性労働者の育児休業等取得率:94.0%(同上)
- 労働者の男女の賃金の差異(全労働者):71.3%(同上)
- 1人当たり総労働時間:2039.0時間(2025年度実績)
- 1人当たり法定外労働時間(月間平均):9.9時間(同上)
- 1人当たり休暇取得日数(年間):13.3日(同上)
- 1人当たり有給休暇取得率(法定休暇・年間):70.0%(同上)
2. 【公式データ】求人票・公式情報が語る「働き方の選択肢」
有価証券報告書等で示された全社的な方針に対し、中途採用で入社するハイクラス人材には具体的にどのような働き方の選択肢が提示されているのでしょうか。実際の求人票データから読み解きます。
2-1 公式に用意された柔軟な働き方・制度の全体像
事業会社である電通のキャリア採用求人データや採用サイトの公式情報を見ると、働き方の柔軟性を高めるための多様な選択肢が用意されていることがわかります。
◆ 働く場所と時間の高い自己裁量
電通では、コアタイムのない「スーパーフレックスタイム制度」が全部署に適用されており、自身のライフスタイルに合わせた柔軟な勤務が可能です。
働く場所についても、会社や自宅だけでなくサテライトオフィスの活用が認められており、事前の申請と承認があれば、遠方の実家などでの一時的な勤務も可能とされています。
一方で、深夜早朝(22時から翌朝5時)の業務を原則禁止とするなど、自己裁量を認めつつも過重労働を防ぐための厳格な労務管理が徹底されています。
◆ 独自の休暇制度と手厚い健康サポート
休暇制度も充実しており、年次有給休暇に加えて、3ヶ月に1日の「リフレッシュホリデー(特別休暇)」が付与されます。
これがない月には「インプット等有給奨励日」が設定されており、実質的に月に1度は公休日が増えるような独自のカレンダー運用が行われています。使いきれなかった有休を最大120日まで保管できる「特定積立休暇」も用意されています。
また、本社ビル内には内科や精神科などの診療が受けられる「電通健康管理センター」が設置されており、社員が心身ともに健康で働ける手厚いサポート体制が構築されています。
2-2 制度利用における「制約」と企業カルチャー
公式に自由度の高い制度が整備されている一方で、求人票や開示資料からは、制度を利用する上で求められる厳しい制約や前提条件も読み取れます。
◆ 「リアルな協働」を前提としたリモートワーク
各種求人票においてリモートワークは「可」とされていますが、備考欄には必ず「出社が必要な場合に、応じていただくことが前提となります」と明記されています。
統合レポートでも、イノベーションを生み出すためには「対面でのリアルなコミュニケーションも重要である」と明言されており、各地域・部門で最適な出社バランスの検討や対面での社員交流機会の増加が進められています。
制度としてのリモートワークは保証されつつも、完全なフルリモートではなく、チームでの直接的なコラボレーション(出社)を重んじるカルチャーへの適応が求められます。
◆ 高い流動性とポジションによるシビアな要件
また、求人票の勤務地欄には、国内外の電通グループ各社や関連団体への「出向もあり(海外および全国)」と記載されており、事業ニーズに応じた高い流動性を受け入れる必要があります。
さらに、スポーツビジネスプロデューサーなどグローバル展開を担うポジションでは、「契約交渉まで対応可能なビジネスレベルの英語力」や「異文化コミュニケーション力」が必須とされるなど、高い自由度と引き換えに事業成長にコミットするためのシビアな要件が設定されています。
3. 【口コミ】現場の「働きやすさ」の実態
公式に用意された制度に対し、実際の現場ではどのような空気感で運用されているのでしょうか。社員の口コミから「働きやすさ」のリアルを紐解きます。
3-1 残業のリアル——数字と空気感の乖離
キャリコネに投稿された口コミによると、「現在は本当に残業の管理をしっかりとしており、残業に厳しい」「22時以降は残業ができない」といった声が寄せられており、労働環境改革による厳格な労務管理が現場に浸透していることがうかがえます。
一方で、残業時間が月30〜40時間に収まるようになり休日出勤もなくなったと評価しつつも、「プライベートと仕事との比率は2:8ぐらい」「楽な仕事ではない」といったリアルな声も存在します。
労働時間は減ったものの、限られた時間内で高い成果を出すプレッシャーは依然として存在し、決して「楽ができる環境になったわけではない」という現場のシビアな空気感が読み取れます。
3-2 制度はあっても使えるか——有休・育休の現場温度感
有給休暇や育休の取得環境については、近年の口コミにおいて「無理なく取得することが可能」「出産・育児の対応も改善されてきた」と、制度が着実に利用しやすい環境へと変化していることがうかがえます。
一方で、マネージャークラスになると「残業という考え方がなくなる」といった声も寄せられています。充実した制度が用意されているものの、ポジションが上がるにつれて成果への責任も重くなるため、自身で業務量と時間をタフにコントロールしながら制度を使いこなす自律性が求められるようです。
3-3 業務プレッシャーと心理的安全性
職場の心理的な働きやすさという点では、「圧倒的に黒子であれ」「とにかく相手ファースト」「自分をいったん落として相手を立てるということを徹底」といった、クライアントの黒子に徹する現場の空気感が口コミで語られています。
これは、公式方針で掲げられている、顧客の成長にコミットする事業変革パートナーとしての高い行動規範が、現場レベルで厳格に体現されている結果であると言えます。
表に出ず泥臭く相手を立てる独自のカルチャーに高いレベルで適応し、プレッシャーの中で関係値を築けるかどうかが、この会社での精神的な働きやすさを大きく左右する実態がうかがえます。
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残業は30~40時間程度。休日出勤はこの数年はありません。プライベート年ごとの比率は2:8ぐらいでしょうか。楽な仕事ではないと思います。 ... 残業・休日出勤の口コミの続きを読む
※情報が少ない場合もあります。ぜひ口コミ投稿にご協力ください。
まとめ:この会社の働き方とワークライフバランスは、あなたにフィットするか
公式データに見る柔軟な制度や労働環境改革の成果と、現場で依然として求められる高い成果へのプレッシャーやシビアな適応要件のギャップを総括すると、以下のようになります。
◆ 部署やチームによる残業・激務の格差に適応できるか
全社的に労働時間や残業管理の厳格化が進む一方で、部署やポジションによって業務量や残業時間に依然としてバラつきが存在するリアルな環境の中で、タフに業務を遂行できる適応力が問われます。
◆ 制度を自ら使いこなし、成果と両立させる主体性があるか
スーパーフレックスや有給休暇などの制度自体は使いやすい環境が整っていますが、ポジションが上がるにつれて成果への責任も重くなるため、自らの裁量で業務とプライベートをコントロールし、高いパフォーマンスを発揮する自律性が不可欠です。
◆ クライアントファーストという独自の企業カルチャーに適応できるか
公式に掲げられたイノベーションやコラボレーションの土台には、現場レベルで黒子に徹しクライアントファーストを泥臭く体現するシビアな組織風土があり、このカルチャーに共感し関係値を築けるかが精神的な働きやすさを左右します。
充実したワークライフバランス制度が用意されているものの、決して単に楽ができる環境ではなく、プレッシャーのかかる環境下で自律的に制度を使いこなし、成果を出し続ける能動性がハイクラス人材には求められています。
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by キャリコネ決算キャリア研究室-
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