• 職種研究ルート営業

    新規開拓をせず、既存の顧客を巡回する「ルート営業」。休みが取りやすく楽な仕事というイメージもありますが、実際にはどうなのでしょうか。気になる平均年収やキャリアアップを成功させる秘訣、やりがい等とともに、実態を解説します。

    ルート営業の仕事内容と転職

    1.ルート営業の仕事内容

    ルート営業は「ルートセールス」「巡回営業」「ラウンダー」などとも呼ばれます。営業先は、既に取引をしている顧客です。

    販売した商品やサービスに問題はないか、使い心地はどうかなどを定期的に巡回して聞き取ります。また、新たなオプションや商品・サービスの提案を行い、追加受注や売上アップを目指します。

    自社で商品を製造するメーカーや、独自の商品・サービスを提供するIT企業や保険会社など、多岐にわたる業種で募集があるでしょう。

    ルート営業と一般営業との違い

    ルート営業は基本的に既存顧客に対して営業しますが、一般営業の場合は「新規開拓」も仕事も含まれます。新規開拓は、面識のない顧客に飛び込み営業や電話営業などをするため、たびたび門前払いされることもあるでしょう。受注するまで忍耐と苦労を要します。

    ルート営業は既存の顧客のアフターフォローが主要業務なので、この「門前払い」のストレスはありません。ただし、顧客が抱える要望や問題を的確にすくい上げて対応しなければ、競合他社に乗りかえられてしまうというリスクがあります。クレーム処理も業務のうちなので、一方的な叱責に耐えなければならない場面もあるかもしれません。

    また、企業によっては営業一人あたり100社以上の顧客を担当し、訪問するだけで大変ということもあります。決まった時間内で商品・サービスの利用感や課題、再注文数を聞き、顧客が希望する納期に間に合わせねばならないなど、時間に追われるストレスもあるでしょう。顧客との関係性によっても仕事のしやすさは大きく変わってくるため、一概に楽な仕事とはいえません。

    「ノルマなし」でも売上目標はある

    ルート営業も「営業」である以上、達成すべき売上目標はあります。売上目標は昨年の実績を基準に設定され、現状維持、またはそれ以上が求められることが多いでしょう。

    求人広告に「ノルマなし」と書かれていることがありますが、なかには基本給が低く設定され、売上に応じて歩合制で給料やボーナスが大きく変動する企業もあるようです。「ノルマなし」という言葉に踊らされず、企業の売上に貢献していく姿勢が大切です。

    2.ルート営業になるには

    法人が顧客の場合、業種が特殊なほど経験・知識を問われやすいですが、基本的には未経験可の募集が多いでしょう。特別なスキルや資格、学歴はあまり求められません。

    研修制度を設けている企業も多く、入社後に知識をつけることも可能です。営業開始前に前任の担当者とともに顧客の元へ挨拶に行き、顔を覚えてもらうところから始まります。

    新卒の場合

    新卒のルート営業を募集しているベンチャー企業や中小企業の多くは、学歴や学部を問いません。大手のメーカーやサービス企業では短大・専門学校、大卒以上を条件とする場合もありますが、学部を指定されるケースは少ないでしょう。

    ただし、化学、電子・電機、通信など専門性の高いメーカーでは、関連する学部出身であれば、入社試験時にある程度の専門知識があると判断されます。採用に有利に働く傾向にあるでしょう。

    ルート営業に必要なスキル

    ルート営業には、既存顧客が自社商品やサービスに満足なのかどうかをしっかりと聞き取れるヒアリング力が求められます。聞き取った情報をもとに、どのような改善ができるか、新たな自社商品やサービスに関して提案する余地はないかなどを掘り下げていく企画力・提案力も必要です。

    自分が受注した商品・サービスについて、社内で納期の調整を行うこともあります。調整力も重要でしょう。

    3.ルート営業の転職

    ルート営業は常に需要のある職種です。建築メーカー、インターネットプロバイダー、商材の販売など、幅広く募集されています。

    未経験からの転職

    多くの企業が「未経験者でもOK」としていますが、人を相手とする職種のため、入社試験では面接が重視されます。主にコミュニケーション能力やヒアリング力、提案力を有するかどうかを見られるでしょう。

    経験者の転職

    大企業や専門性が高い特殊な商品・サービスを製造、販売している企業は、経験者が優遇されます。同じ業種であれば特に採用されやすくなりますが、専門外でも前職での実績があれば、面接で大きな武器になるでしょう。