• 職種研究生産技術

    製造業は、GDP(国内総生産)の2割近くを担い、日本経済を支えています。そして、日本のモノづくりの要を担う技術職のひとつが「生産技術」という職種です。重要な仕事ですが、意外と実態を知る人は少ないでしょう。生産技術の仕事内容や気になる転職市場の動向、平均年収などを紹介します。

    生産技術の仕事内容と転職

    1.生産技術の仕事内容

    メーカーに勤め、モノづくりの司令官として活躍しているのが生産技術という仕事です。研究開発、設計、製造部門などと連携を取りながら、安全で高品質なものをローコストで製品を作れる状態を追求します。例えば、以下のような業務を行います。

    ・新製品を作る際の生産ライン立ち上げ
    ・生産プロセスの設計・改良
    ・使用設備の手配・配置
    ・生産ラインの業務マネジメント(課題発見・改良)

    ちなみに、「製造技術」という似た名前の職種もありますが、どう違うのでしょうか?
    一般的に「生産」は付加価値のあるモノやサービスを生み出す活動を差し、「製造」は原材料に加工を施してモノを生み出す活動を指します。広義に解釈すれば、製造技術は生産技術に含まれるとも言えるでしょう。

    生産技術は早く効率的に製品を量産することを重視し、製造技術は良質で安い原材料を用意し、いかに加工していくかを重視するという点で区別するケースもあります。ただ、企業によって名称が違うだけで、実際のところは生産技術と製造技術はほぼ同じ仕事をしている、というケースも多いようです。

    求められるスキル

    生産技術は幅広い業務を担うため、関わる部署が多いでしょう。多角的に物事を判断する力や高いコミュニケーション能力が求められます。

    実務では、パソコンを利用する機会も多いでしょう。設計する際にはCAD、解析する際にはCAE、データを共有して効率化を図る際にはPDM、といった具合にさまざまなシステムを使います。

    資格は必須ではありませんが、「CAD利用技術者試験」等を受験するのもよいでしょう。すでに経験を積んだ人であれば、「国際認定生産技術者(CMfg-T、CMfg-E)」や「生産技術者マネジメント資格(CPE資格)」といった資格もあります。取得できればスキルを証明する材料のひとつになるでしょう。

    キャリアプラン

    生産技術の仕事を通じて、自然とコミュニケーション能力やマネジメント力がつくでしょう。経験を積めば、工場長や生産拠点の責任者といった上級管理職も目指していける職種です。また、専門性を深めて、生産技術のプロフェッショナルとして活躍するキャリアもあります。

    2.生産技術になるには

    一般的には、最初は生産ラインや検査、品質管理等の生産工程で実務経験を積みます。その後、ラインリーダー等を経験して生産工程の全体を把握する力を徐々に養い、実力に合わせた規模の生産現場を担当していくことが多いでしょう。

    新卒の場合

    新卒で生産技術に就く場合、OJT(実務を通じた訓練)で生産現場に関して学ぶことがほとんどです。技術職のため、理系出身者の配属が多いことは確かでしょう。ただ、必ずしも理系でなければ就けない職種ではありません。モノづくりに関する知識や設計スキルを積極的に身につける姿勢があれば、文系出身でも十分活躍可能です。

    3.生産技術の転職

    メーカーにとってなくてはならない仕事のため、常に一定の需要があります。また、理系出身者は研究開発職等を希望する人も多いでしょう。エンジニアのなかでは人手不足になりやすく、転職しやすい職種と言えます。

    未経験からの転職

    未経験からの転職も可能です。特に、製品や設備等に関連する知識や経験がある場合、チャレンジしやすいでしょう。完成品メーカーは経験者採用のみのケースが多いようですが、部品メーカーであればチャンスは増えます。

    経験者の転職

    企業側は、転職希望者が過去にどんな提案・改善をしてきたのか、自主的に意見を出してくれる人材なのかなどを知りたいでしょう。どのような取り組みによってどれくらい効率化を図れたのかを具体的に伝えたほうが効果的です。

    グローバル展開をしている企業では、現地生産を積極的に進めているケースも多いでしょう。生産の海外移転を経験した生産技術は、即戦力として重宝されます。英語等の語学力があれば、より条件のよい転職ができる可能性もあるでしょう。