• 職種研究プロジェクトマネージャ

    IT化が加速し、AI(人工知能)の台頭も著しい昨今。高度な技術が使われ、システムの構造が複雑かつ多様化していることを背景に、開発プロジェクト全体の管理をするプロジェクトマネージャ(PM)に注目が集まっています。プロジェクトマネージャの仕事内容から年収まで解説しましょう。

    プロジェクトマネージャの仕事内容と転職

    1.プロジェクトマネージャの仕事内容

    プロジェクトマネージャは、開発プロジェクトの責任者として、人員、スケジュール、成果物の品質、費用等のマネジメント業務を担います。顧客の要望に叶う成果物を提供するため、プロジェクトを先導していく役割です。プロジェクトの進捗や問題点を、顧客や関係者に共有する役割も担っています。

    求められるスキル

    技術や知識はもちろんのこと、高いマネジメント能力が求められます。

    プロジェクトを企画・提案するITコンサルタント等の「企画側」と、実際の開発に携わるエンジニアの「開発側」の間に立ち、交渉役や調整役を担う場面も多いでしょう。予算やスケジュールの変更を余儀なくされることもあり、トラブルを回避するためにも関係各所との密な連携は必須です。熟達した交渉力やリーダーシップ、コミュニケーション能力が求められます。

    PL、SE、PGとの違い

    開発プロジェクトには、PM以外に以下の役割を持つエンジニアがいます。

    ・プロジェクトリーダー(PL)
    複数のチームに分かれる場合に、チーム内の情報伝達や人員、成果物の品質等を細かく管理します。PMの補佐的な役割を担うケースが多いでしょう。ただし、PMがPLを兼ねるケースもあり、担う仕事内容や立場はケースバイケースです。

    ・システムエンジニア(SE)
    企業によって業務内容は異なりますが、主に開発工程の中でも上流と言われるシステムの要件定義や設計等を行います。

    ・プログラマ(PG)
    SEを兼ねる場合もありますが、SEが作った仕様書や設計書をもとにプログラミングを行います。設計に関わるケースも多いでしょう。

    2.プロジェクトマネージャになるには

    基本的に学歴や性別を問われることはなく、資格がなければ就けない職種ではありません。システム開発の実務に関する知識やスキル、そして十分なプロジェクト経験が求められます。プログラマやシステムエンジニアを経てプロジェクトマネージャになるのが一般的でしょう。

    必要な資格や英語力は?

    必須資格はありませんが、システム開発のマネジメントスキルを深める資格として情報処理技術者試験の「プロジェクトマネージャ試験」があります。高難易度の資格で、取得すればマネジメント力を対外的にアピールできるでしょう。ITに限らずプロジェクトマネジメント全般に関する能力を図る国際資格として、「PMP(プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル)」も有名です。

    海外進出やオフショア開発をしている企業の場合、英語を使うシーンも多いでしょう。必ず必要なわけではありませんが、英語力があれば活躍のフィールドが広がりやすくなります。

    新卒からのキャリアプラン

    人それぞれですが、一般的にPG→SE→PL→PMとステップアップしていきます。さまざまな開発現場での経験が問われる職種のため、基本的に新卒でプロジェクトマネージャになることはありません。まずはエンジニアとして開発経験を積みます。実務と並行して「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」等の資格取得を目指す人も多いでしょう。

    3.プロジェクトマネージャの転職

    ITシステム開発プロジェクトの難易度は年々上がっています。それに伴い、有能なプロジェクトマネージャの需要は高まっていますが、企業が必要とするスキル・能力を持った人材が不足している現状です。

    未経験からの転職

    エンジニアとしての経験が豊富なら未経験でプロジェクトマネージャの候補者として入社できる場合もありますが、リーダー経験があったほうが有利でしょう。

    経験者の転職

    経験者は即戦力として採用されやすい傾向にあります。経験したプロジェクトの規模、業界、顧客やシステムの内容、具体的な成功事例などを見られるでしょう。

    特に、プロジェクト規模が大きい基幹システム導入をした経験などがあれば喜ばれるでしょう。ある程度経験を積んだ30代が重宝される傾向にあるようです。