• 職種研究海外営業

    外国語を流暢に操り、世界中を飛び回る華やかなイメージのある海外営業。ビジネススタイルや習慣、文化が異なる海外企業と取引するため、柔軟性や忍耐力も要求される仕事です。仕事内容や年収、やりがいなど海外営業の理想と現実を解明していきましょう。

    海外営業の仕事内容と転職

    1.海外営業の仕事内容

    海外営業という職種は、大きく2パターンに分けられます。
    ひとつ目は、国内の拠点から現地法人と電話やメールで連絡をとり、定期的に海外出張に行くパターンです。もうひとつは、海外を拠点として自社製品の市場開拓や販売活動を行うパターンで、海外赴任をすることになります。

    主な業務内容は以下の通りです。

    ①商品の販売戦略、現地のパートナー探し、市場調査などの海外マーケティング

    ②製品の輸入・輸出の手配、および貿易事務業務

    ③現地代理店や法人との価格交渉、接客、クレーム処理、契約業務

    メーカーや商社との仕事の違い

    海外営業の働き先はメーカー・商社が多いでしょう。特に、以下の業種が求人広告の大部分を占めています。

    ・電子・電気・機械系メーカー
    ・素材、医薬品などのメーカー
    ・商社系(総合商社・素材・医薬品他)
    ・商社系(電気・電子・機械系)

    メーカーの場合、取引相手は自社製品を販売してくれる海外の代理店や商社です。

    相手国における自社製品の販売戦略の考案と実施、技術製品であれば技術営業、価格交渉、納期や輸送業務の調整などをしていきます。現地法人との合弁会社や代理店を作り、現地に駐在するケースも多いでしょう。

    商社で働く場合は、海外の品物を買い付け、国内の卸売業者や小売店に売り渡す仲介役を担います。取引相手は海外の生産者や製造者、国内の卸売業者や小売店です。
    国内の卸売業者や小売店に取り扱い製品を提案し、ときには希望を受けて製品の生産者を探し出すこともあるでしょう。海外で生産された商品の調達、生産者との価格交渉、輸出入の貿易業務も発生します。

    2.海外営業になるには

    海外営業は年収が高く、現地に駐在すれば駐在手当をもらえるなど、優遇されます。人気の求人の場合、競争率が数百倍になることもあるようです。未経験者の採用はあまり多くありません。

    海外営業に求められるスキルと資格

    【語学力】
    基本的にビジネスレベルの英語力が求められるでしょう。TOEIC700点以上を採用条件に挙げている企業も少なくありません。なかには日常会話ができればOKという求人もあるので、働きながら語学力を磨く手もあるでしょう。

    新興国による取引も増えているため、第二外国語として中国語、ポルトガル語、スペイン語などを話せると有利になる場合もあります。

    【貿易業務知識】
    海外営業は、海外から日本、もしくは日本から海外への輸出入業務を行わなければなりません。日本の輸出入規制に関する知識とともに、取引相手国の輸出入に関する法律やルール、税関業務関連の知識をつける必要があります。

    輸送費、保険費用、税関費用等、輸出入に関わるコストを正しく計算できる能力があれば、採用に有利に働きます。

    【スキル】
    国内営業と同様、コミュニケーションスキル、ヒアリング力、自社商品を魅力的に提案するプレゼンスキルを求められます。場合によってはこちらが主導権を強く握って動かなくてはいけない場面もあるでしょう。また、特に新興国ではトラブルが起きやすいもの。多少のことではめげない精神面でのタフさも重要です。

    新卒の場合

    新卒でいきなり海外営業として活躍するケースは少ないでしょう。はじめは海外営業アシスタントとして下積みを重ねるのが一般的です。

    大手商社やゼネコンの場合、応募条件を「大卒以上」「学部・学科は問わない」としている企業が多いようです。ただし、金融、経営、ビジネス系の学部出身であることや海外留学経験、バックパッカー経験は大きなアピール材料となるでしょう。

    3.海外営業の転職

    国内消費に頭打ち感がある業界も多く、海外との取引に目を向けている企業は増えています。今後、海外営業の需要はますます増えることが予想されます。

    未経験からの転職

    ほとんどの求人広告では、営業経験者や海外との取引の経験者を募集しています。中小企業やITベンチャー企業では未経験者可の求人もありますが、業務にすぐに活かせるような経験や、何らかのスキルが求められることが多いでしょう。

    経験者の転職

    経験者の転職の場合、これまで積み上げてきたキャリアと、志望している仕事内容がどこまで近いかが重要となってきます。

    例えば、メーカーで法人を担当する海外営業の場合、法人の営業活動や現地採用されたスタッフの教育業務が発生するでしょう。そのため、同じ業種での営業経験や法人営業経験、営業リーダー経験が面接で有利に働くでしょう。

    商社の海外営業であれば、取り扱う商品に関する知識、同業種での勤務経験、貿易事務経験などが活かせます。