職種研究経理
経理の仕事内容と転職
1.経理の仕事内容
経理の仕事は、以下のように日次業務、月次業務、年次業務の3つに大別されます。
【日次業務】
入出金の記帳、伝票の入力、経費の精算など
【月次業務】
請求書の発行、売掛金・買掛金の管理、仕入れの管理、給与の計算、社会保険料の計算、月次決算書の作成など
【年次業務】
年次決算書の作成、法人税等の申告・納税、年末調整、償却資産の申告、次年度の予算編成など
月次決算書は、直近の経営状況を把握する必要があるため、早めに作業しなくてはいけませんが、中小企業の場合は作成しないこともあるでしょう。
年次決算(本決算、年度決算)は、会社の年間の利益、財務状況を把握するためのもの。企業は年に一度の決算と税務申告が法律で定められているため、非常に重要な仕事です。
また、上場企業の場合は四半期決算、中間決算も義務付けられています。それに合わせて決算短信や有価証券報告書作成等の業務が発生します。
なお、非上場企業であっても、中間決算を行う企業は多いでしょう。経営状況を把握する、取り引き先や融資を受けている銀行等に対して情報を開示する、といった目的があります。
財務との違い
「財務」は、予算管理や資金調達などを担当します。経理は実際に発生したお金に関する業務を行いますが、財務は企業の「今後の資金」にまつわる業務を担当しているのです。
会社の規模によって業務範囲が違う
上場企業のような大きな会社では、仕事の量も業務範囲も膨大なため、経理の専門部署が置かれていることが多いでしょう。
経理の人数が多いため、仕事の内容は限定的になるでしょう。担当者は特定の範囲の業務のみ行います。例えば、会計・簿記の担当、出納の担当、決算短信の発表や有価証券報告の作成等の担当、といった具合に分業していきます。
2.経理になるには
企業に入社して経理部門に配属されれば、経理職に就くことができます。特に資格は必要ありません。ただし、管理部門のため所属人数は営業部門等に比べて少なめです。希望しても配属されないケースも多いでしょう。
経理の資格
経理に関係する代表的な資格としては、「日商簿記2級」があります。
財務にも経理にも通じる内容を学べるでしょう。専門用語が多く、独特の業務が多い職種のため、簿記2級の内容は知っておいたほうが仕事に役立ちます。
新卒の場合
入社後、適性があると思われる人材が経理部門に配属されるのが一般的です。ただし、新人を数多く配置するケースは少ないでしょう。商学部、経営学、経済学部等の出身者で会計関連の知識がある人材のほうが、業務内容を理解しやすいため、有利な傾向にあります。
3.経理の転職
経理は、どの企業でも活躍しているスペシャリストです。しかし、IT化が進んで便利な会計システムが導入されるようになり、事務的な処理に人員を割く必要はなくなってきました。経理に関わる人数は、今後減っていくことが予想されます。
財務関連を含めた幅広い知識がある人材や、コミュニケーション能力や調整力に長けた人材、IT関連の知識がある人材のほうが生き残りやすいでしょう。
未経験からの転職
実務経験が重視されるので、未経験者OKの求人は限られるでしょう。しかし、ないわけではありません。場合によっては、データ入力や入出金管理などの業務からスタートし、経験を積みながらキャリアアップしていく道もあるでしょう。
資格があることで有利になることはありませんが、簿記2級が必須条件になっていることもあります。必要条件を満たすためにも、学んでおいたほうがいいでしょう。学習意欲の高さや熱意のアピールにもつながります。
経験者の転職
経理への転職で重視されるのは豊富な実務経験です。決算の中心メンバーとして動いた経験や、管理会計、原価計算の経験など、マネジメント経験や専門性をアピールするといいでしょう。外資系企業やグローバル展開をしている日系企業への就職したい場合、英語力も求められます。