職種研究貿易事務
貿易事務の仕事内容と転職
1.貿易事務の仕事内容
貿易事務の仕事は、商社やメーカーをはじめとして、国際物流企業である海運会社、航空会社、倉庫会社、通関業者(フォワーダー)などにもあります。海外からの仕入業務や海外への商品輸出作業に関する事務処理に携わる仕事で、男女ともに活躍しています。
輸出業務と輸入業務の違い
貿易事務には、大きく分けて輸出業務と輸入業務があります。
企業によって業務内容は異なりますが、輸出関連業務では、主に輸出通関に必要な書類作成や運送便の手配などを行います。一方、輸入関連業務は、輸入通関に必要な書類作成や関税・消費税納付などを行うことが多いでしょう。
書類作成やファイリング、電話対応といった業務もあります。
2.貿易事務になるには
貿易関連の業務を行う企業に就職し、配属されれば貿易事務になることができます。
貿易事務になるために必須の知識や資格は必要ありませんが、貿易関係の実務経験や知識、資格があれば有利になるでしょう。関連部署や取引先とのやり取りが発生するので、コミュニケーション能力やパソコンスキル、英語力も重視される傾向にあります。
未経験者が貿易事務になるには
中途採用では即戦力を求められることが多く、未経験者が正社員として採用されるのは狭き門でしょう。就職活動が難航した場合、派遣社員や契約社員からスタートし、経験を積んだのちに正社員雇用や経験者としての転職を目指すのも手です。
また、求人数は多くありませんが、商社や国際物流会社などでは新卒の貿易事務採用を行っていることもあります。
英語や資格はどこまで必要?
貿易事務の仕事では、海外企業と連絡を取り合ったり、英語の書類を扱ったりするため、ある程度の英語の読み書きのスキルが求められます。アパレルや雑貨メーカーなどでは、アジア圏の取引先も多く、中国語や韓国語のスキルが強みになることもあるでしょう。
スピーキング能力は必須というわけではありませんが、英語でのミーティング参加や通訳・翻訳業務が求められる企業では、「TOEIC750点以上」「英検準1級以上」といった高度な語学力を求められるケースもあります。
貿易事務職の採用に当たっては実務経験が最も見られます。ただし、「貿易実務検定」「通関士」「貿易スペシャリスト」などの資格を持っていることで、書類選考や面接時に有利に働くケースもあるでしょう。
3.貿易事務の転職
どの職種にも言えることですが、IT技術の発展により、パソコン上での仕事が自動化されるリスクがあります。貿易事務は、野村総合研究所による「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」のひとつにも挙げられたのです。[1]
ただ、現状では貿易取引が増加しているため、貿易事務の求人数は今後も確保されるでしょう。日々の業務以外に、単純作業や正確性以外のスキルを身につけることを意識すると、今後の転職に役立つはずです。
[1]株式会社野村総合研究所「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」(NRI)https://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx (2018年3月2日アクセス)
未経験からの転職
企業側は即戦力になる人材を採用したいため、未経験からの転職はなかなか難しいでしょう。しかし、同じ業界から貿易事務へ転職するという道があります。例えばアパレル企業の貿易事務に転職したい場合、ファッション業界での実務経験や事務経験があれば、採用される可能性が高まるでしょう。
経験者の転職
国家資格である「通関士」や高い語学スキルを持っていると、転職時に有利に働くことが多いでしょう。また、実務経験年数が長く経験が豊富なほど、企業に求められる傾向にあります。